■リッターカーの常識を変えた偉大なクルマたち
日本の税法上で有利な登録車というと排気量が1000cc未満のクルマ、つまりリッターカーです。現行モデルでもリッターカーは販売されていますが、かつてはコンパクトカーの主役的な存在でした。
そんなリッターカーのなかには、後世に語り継がれるような性能や装備を持ったモデルがあります。
そこで、コンパクトながらもキラリと光るものがあったリッターカーを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産「マーチ スーパーターボ」
1982年にデビューしたグローバルコンパクトカー日産「マーチ」は600kg台前半と軽量なFF車で、シンプルながらもスタイリッシュなデザインも相まって、若い女性を中心に大人気となりました。
当時の国内市場ではターボブームが到来したこともあり、1985年2月のマイナーチェンジ時に最高出力85馬力を発揮する1リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した「マーチ ターボ」がラインナップに加わります。
軽量コンパクトなボディに強力なエンジンを搭載したことにより、加速性能はワンクラス上のクルマと互角でした。
そして1986年には、モータースポーツ用車両だった「マーチ R」と同じ、ターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類の過給機を備え、最高出力110馬力を誇った「MA09ERT型」エンジンを搭載した「マーチ スーパーターボ」を発売。
マーチ スーパーターボは、低回転域ではスーパーチャージャーによる過給でレスポンスの良い瞬発力を持ち、高回転域ではタービンの過給による余裕のあるパワーを発揮。
パワーステアリングを搭載していなかったため、雨の日などはトルクステアも強く、乗り手を選ぶじゃじゃ馬ぶりでしたが、ベーシックなコンパクトカーにツインチャージャーのエンジンを搭載したのは、偉業といえるのではないでしょうか。
●ダイハツ「シャレード ディーゼルターボ」
ダイハツは、FF駆動による広い室内空間の、新世代のコンパクトカー「シャレード」を1977年に発売。
エンジンは1リッター直列3気筒で、当時の主流だった4気筒エンジンよりもコンパクトにできる点や、シリンダー1気筒当たりの容量が内燃機関の効率として有利なサイズであることから開発されました。
当時は、オイルショックによる省エネブームという背景があり、経済性に優れるシャレードは一躍人気車となります。
さらに1983年にモデルチェンジした2代目では、当時の乗用車としては世界最小排気量の1リッター3気筒ディーゼルエンジンを搭載した「シャレード ディーゼル」がラインナップされ、さらに1984年には最高出力50馬力を発揮するパワフルなディーゼルターボエンジンも登場しました。
ガソリン車よりも燃費が優れ、燃料代もガソリンよりも安いということで、シャレード ディーゼルターボは注目されましたが、3気筒独特の振動に加え、ディーゼルエンジン固有の騒音と黒煙の発生は避けられませんでした。
また、出力がガソリン車よりも小さいということもあり、3代目の途中で搭載グレードが絞られ、1993年に4代目にバトンタッチする際に消滅してしまいました。
しかし、常識を覆すほどの小排気量ディーゼルエンジンに挑戦したことは、高く評価されています。
●ダイハツ「ブーン X4」
2004年にダイハツ「ストーリア」の後継車としてデビューした初代「ブーン」は、1リッターと1.3リッターエンジンを搭載するベーシックカーです。
トヨタにもOEM供給され「パッソ』として販売され、現在もラインナップされています。
そして2006年に、ブーンのラインナップにモータースポーツ用ベース車両である「ブーンX4(クロスフォー)」が追加されました。
X4に搭載されたエンジンは、1.3リッター直列4気筒エンジンをベースに1リッター(936cc)にダウンサイジングされた直列4気筒ターボ「KJ-VET」型で、最高出力は133馬力という大出力を発揮。
駆動方式は4WDでトランスミッションも5速MTのみとされ、ラリーやダートトライアルなど、国内のモータースポーツで勝利を重ねました。
また、普段使いにも適する装備が充実した「ハイグレードパック」が用意され、まさに「羊の皮を被った狼」と形容されるスポーツカーとなっていました。
■国内外で絶賛されたコンパクトカーとは!?
●トヨタ「ヴィッツ」
大人4人が快適に過ごせる空間と優れた基本性能をコンセプトとしたトヨタ「ヴィッツ」は、従来の「スターレット」に代わるトヨタのエントリーモデルとして1999年にデビューしました。
搭載されたエンジンは発売当初は最高出力70馬力の1リッター直列4気筒のみで、後に1.3リッターと1.5リッターが加わります。
ボディタイプは3ドアハッチバックと5ドアハッチバックで、内装にはセンターメーターを採用し、安い素材を使いながらも質感を高めるよう巧みにデザインされていました。
その独自のパッケージングと経済性は高く評価され、ヴィッツは「プラッツ」「ファンカーゴ」と並んで第20回日本カー・オブ・ザ・イヤー1999-2000を受賞します。
また、欧州を中心に海外でも高く評価され、コンパクトカーのベンチマークとして、他メーカーにも影響を与える存在となりました。
そして、ヴィッツは代を重ね、2020年2月発売の「ヤリス」へとコンセプトが受け継がれました。
●スバル「ジャスティ」
1984年に発売されたスバル「ジャスティ」は、シンプルでオーソドックスなスタイルの3ドアと5ドアハッチバックです。
搭載されたエンジンは1リッター直列3気筒で、駆動方式はFFと、シフトノブのスイッチを押すだけでFFと4WDの切り替えが可能なパートタイム4WDがラインナップされていました。
そして1987年、1リッター車に量産車世界初採用となったスチールベルト式変速機「ECVT」仕様が登場。
変速ショックがなくスムーズに加減できるだけでなく、車速にかかわらずエンジンを効率の良い回転数と負荷領域で運転できるため、アメリカでは燃費ベストカーに選出されるほどの低燃費を誇りました。
1994年に、ジャスティは一度もフルモデルチェンジすることなく生産を終了し、後継車もありませんでした。
しかし、現在の国産コンパクトカー、軽自動車、中型車、SUVまで、トランスミッションの主流はCVTですから、ジャスティは歴史的に名を残したクルマといえます。
なお、ジャスティの名は、ダイハツからOEM供給されているトールワゴンとして、いまも使われています。
※ ※ ※
2019年11月に発売され、大いに話題となったコンパクトSUVのダイハツ「ロッキー」/トヨタ「ライズ」は、1リッターターボエンジンを搭載。また、前出のヤリスも1リッターモデルをラインナップしています。
欧州車でも0.9リッターターボエンジンを搭載したモデルが複数車種ありますから、リッターカーは日本だけでなく世界的にも注目されはじめました。
とくにリッターカーは維持費の安さ以外にも、日本の道路事情にもマッチしているので、もっと見直されても良いのではないでしょうか。
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ここに出てきたクルマ達も、初期の志を維持するのが難しく、肥大化したり、半ば放置プレイになったりで消えてしまったものも多いですからね。