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出揃った新世代プラットフォーム 日本のクルマの走りはどう変わった?<マツダ・スズキ・ダイハツ編>

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出揃った新世代プラットフォーム  日本のクルマの走りはどう変わった?<マツダ・スズキ・ダイハツ編>

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前回まで、トヨタ、ホンダ、日産、スバルの新世代プラットフォームと、走り、ブランド戦略を俯瞰してきたが、今回はマツダと、軽自動車メーカーのスズキ、ダイハツに迫ってみよう。

フォルクスワーゲンの電気自動車戦略とMEBプラットフォーム

マツダ

マツダは2010年に、スカイアクティブ技術を発表し、企業戦略の舵を大きく切った。次世代の環境技術として注目されるハイブリッド技術、電動化の前にまずは内燃エンジンの高効率化を目指す戦略を打ち立てた。

当初はこうしたパワーユニット戦略がスカイアクティブと命名されたが、その後はシャシー、ボディなどの次世代技術もスカイアクティブ技術として総称されるようになった。またこの技術戦略は、モノづくり革新、つまり「一括企画」、「コモンアーキテクチャー(基本骨格)構想」、「フレキシブル生産構想」がベースとなっていた。

また一括企画は、開発、生産、購買、サプライヤーが一体となり、「将来を見通した商品・技術」を絞り込み、全車種を対象に企画することを意味する。そしてコモンアーキテクチャーはいわゆるモジュラー設計構想を意味し、全シリーズ車種に展開できるように各コンポーネンツのモジュラー設計を徹底することだ。

フレキシブル生産構想は、特定の製造ラインで特定のクルマを生産するのではなく、1ラインで複数の車種を混流生産するというシステムを意味している。このようにモノ作り革新により、量産効率の向上、商品力の向上、リードタイムの短縮を図り、高効率な開発・生産を実現することであった。

そして、エンジン、シャシー、ボディ、デザインなどスカイアクティブ技術をフルに投入した第1弾が、2012年に登場したCX-5である。その後、アテンザ、アクセラ、CX-3などが続いたが、パワーユニットの改良、ボディやシャシーの改良も続けられた。CX-5は2014年に大幅改。そして2016年にモデルチェンジし、第2世代となったCX-5は、さらに2017年、2018年に改良が加えられた。

特に2018年にはエンジンの大幅な改良の他に、ボディではフロアパネル厚の増大、リヤ・サスペンション取付部のパネル厚の増大などを行ない、ロードノイズの低減や静粛性の向上を果たしている。

しかし、こうした改良は各サイズの車種を展開するフレキシブル・プラットフォームの宿命でもあり、結局マツダは、2019年以降にスモール商品群とラージ商品群に作り分けを行なうことを決断した。 この新たな展開はスカイアクティブ・ボディ/シャシーの第2世代と位置づけられている。

現時点での正式発表はないが、スモール商品群は従来通りFF駆動レイアウト、ラージ商品群は直列6気筒・縦置きエンジンの搭載を前提としたFR駆動レイアウトを採用する計画だ。FR駆動を採用する背景にはプレミアム商品へシフトするブランド戦略の存在がある。すでにフラッグシップのアテンザの2018年型モデルではプレミアム商品作りのトライアルが行なわれており、この方向での商品開発が加速していることがわかる。

第2世代のボディ、シャシーは、従来の上下左右の環状構造の連続だけでなく前後の骨格を繋ぎ、「多方向に環状構造」を採用した環状骨格構造だという。またシャシーに関しては、ばね上へ伝える力を時間軸で遅れなく滑らかにコントロールし、フラットでなめらかな乗り心地を目指すとしている。最新のアテンザでは「エフォートレス・ドライビング」を提唱しており、これが第2世代のマツダの走りの理念になると考えられる。

スズキ

軽自動車、小型車をラインアップするスズキも新世代プラットフォーム戦略は2014年に発表している。いうまでもなく、軽自動車や低価格の小型車商品を展開するスズキは、コスト制約が大きく、劇的にクルマ作りを変革することは難しい。

例えば環境技術としてストロング・ハイブリッドや高価なリチウムイオン・バッテリーを大量に搭載する電気自動車化の実現はコスト的にハードルが高いのだ。そのためスズキはマイルドハイブリッドを重視し、将来的にストロング・ハイブリッドの展開を構想している。


スズキは厳しい制約を意識しながら、次世代の環境車戦略、新世代プラットフォーム戦略を新たに構築している。そのポイントは、徹底した軽量化とモジュラー化である。モジュラー化としてはプラットフォームを軽自動車用。Aセグメント、Bセグメント用の3種類に絞り、それぞれを徹底的に軽量化。さらにコンポーネンツも軽量化とモジュール化を推進している。そのため、プラットフォーム、ボディ骨格には冷間プレス加工による超高張力鋼板を採用している。


その結果、新世代のプラットフォームの適用第1弾として2014年に登場した軽自動車のアルトは、連続したつながりのある骨格を採用し、少ない部材でボディ剛性を確保する手法とし、60kgも軽量化をしつつ、曲げ剛性、ねじり剛性とも従来比約30%向上。軽量化、高剛性なボディは、操縦安定性、燃費の向上ももたらしている。アルトの最軽量グレードの車両重量は650kgで、軽自動車の到達点ともいえる存在となった。


そして軽自動車の走りも、軽量、高剛性なボディを活かし、安定性が高く、快適な乗り心地を目指し、小型車に比肩する走行性能を実現している。

またこのアルトで採用された技術はその後のコンパクトカーのソリオ、スイフト、イグニスなどにも適用され、ある意味で他の自動車メーカーでは追従できない程のレベルに達している。

ダイハツ

軽自動車、小型車を展開するダイハツも、ライバルのスズキとは同様な立場にある。どのようにコスト・パフォーマンスに優れた軽自動車、コンパクトカーを造るかは、構想力、技術力の見せ所である。

ダイハツは2014年にムーヴを発売した時点で、新たな軽自動車像を打ち出した。従来の軽自動車ユーザーだけでなくダウンサイジング・ブームにより小型車から軽自動車へ乗り換えるユーザーもターゲットにし、走り、静粛性、乗り心地などで、小型車に匹敵する性能を目指したのだ。この結果、ムーヴの走行性能や乗り心地は軽自動車を新たな次元に高め、市街地はもちろん、高速道路でも小型車並みに安心して走るレベルに到達している。

その一方で、スズキ・アルトのような徹底した軽量化も求められた。それが2017年に登場したミラ イースとして実現している。すでにムーヴで採用していたサイド・アウターパネルを一体の高張力鋼板とするユニークな構造は「Dモノコック」と名付けられてミラ イースに継承され、同時にボディ全体からコンポーネンツ、ホイールに至るまで徹底した軽量化を追求し、従来型に比べて80kgの軽量化を実現し、最軽量グレードではアルトと同等の650kgを実現している。

そしてこのミラ イースのプラットフォーム、Dモノコックはその後のダイハツの軽自動車のベース技術になり、他車種の展開が実現している。さらにダイハツは軽量化技術の一環として、樹脂パネルを積極的に採用している点もユニークだ。フロント・フェンダーやリヤのハッチドアなどの大型パネル部も樹脂化し、自社工場内で内製している。

ダイハツの軽自動車の走りは、ムーヴ以来、小型車と同等の走りを目指し、静粛性や乗り心地などでのレベルを高めており、軽自動車の枠を超える意気込みは斬新である。

一方ダイハツは、トヨタのA、Bセグメントのコンパクトカー開発・製造を担当しており、これらのクルマは中国以外のアジア市場向けのクルマと位置づけられている。こうした海外向けと、日本で販売されるAセグメントのコンパクトカー、ブーン、トールなどの商品競争力を高めるとともに、さらにコスト低減を目指し、現在開発しているプラットフォームがDNGA(ダイハツ・ニューグローバル・アーキテクチャー)だ。

これはトヨタのTNGAと同様に海外生産拠点にも導入されるプラットフォームで、電装プラットフォーム、パワーユニットも含むコンセプトだ。当然、走行性能もグローバル基準でトップレベルが想定されている。このDNGAは2019年頃には登場すると予想されている。

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