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業界ニュース 2019.11.5

SUBARU BRZ GT300インサイドレポート チームは成長したのか スーパーGT2019 第8戦ツインリンクもてぎ

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スーパーGT2019シーズンが終わった。スバル/STIのBRZ GT300はチームランキング13位、ドライバーランキング18位という成績になった。スバルファンをはじめ、チームスタッフ、そしてドライバーも決して満足のできる結果ではないだろう。だが、チームに密着して取材してきたオートプルーブは、「内容の充実」という変化を感じるシーズンに見えた。

結果がすべてなのか

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数字で示す結果は自慢できるものではないが、技術をみてきたオートプルーブとしては2018年シーズンより、技術的なトライと結果を残せているシーズンだったと考えている。

最終戦は予選15位からスタートし、決勝は12位でゴールした。オンボードカメラによるライブ配信もあり、コーナー立ち上がりでGT3に離されていく姿はまさにパワー不足。しかし、そのパワーは主催者による性能調整を守っている証拠でもある。

スーパーGTはレースエンターテイメントに位置づけられ、抜きつ抜かれつの白熱した展開がファンを惹きつけているレースだ。そのためには、さまざまなレギュレーションで作られたレースカーの性能を調整する必要があり、主催者から細かな指示が出されている。そうした中で常に上位に食い込むレースをするには、新しい技術的な試みが必要になり、2019年のBRZ GT300は多くのトライを重ねてきていた。

だから、結果を数字だけで判断すれば、下位に沈んだシーズンではあるが、技術的トライについては多くのデータを蓄積できたシーズンであり、データの関連付けも見えたシーズンでもあったわけで、実り多いと言っていいだろう。

最終戦でのトライとは何か

もてぎはスバルファンなら知っているデータだが、2017年までは相性が悪くノーポイントが数年続いているレースだった。その原因を追及し修正して望んだのが2018年のレースだ。現在の渋谷真総監督就任の初年度だ。代表的な改良ポイントを振り返るとブレーキの改良があった。

もてぎのコースレイアウトはストップ&ゴーが連続し軽量、小排気量のBRZが戦うにはブレーキングで突っ込むことがひとつのアドバンテージとなる戦い方だ。リズミカルに連続するコーナーがないため、得意とするコーナリングマシンの特性を活かせないサーキットでもある。そのためブレーキを今まで以上に強化する必要があった。逆に言えば、ブレーキは弱点でもあったわけだ。そこでローター径の拡大、ブレーキ冷却のやり直し、摩材の選び直しとマッチングなどを行なったのが2018年初頭だ。そのため2018年の開幕戦岡山では、その新ブレーキにトラブルを出した経緯もあった。

そして2018年の最終戦もてぎでは公式練習で全体トップ、予選4位、決勝6位の結果を出した。この時、決勝で順位を落としたのはピットストップの時間の長さだった。燃費がGT3より悪い、タイヤも4本交換する必要がある、といったことがあり、4位でピットインし、ピットアウトした時にはマージンを失い、さらに順位を落としていた。

必死の追い上げをしてなんとか6位まで順位を挽回した、というのが2018年のもてぎだ。そこで、今年は、ピットストップの時間を短くするため、タイヤ無交換作戦にトライしていたのだ。

一方で、2018年はタイヤの問題以前にマシンのセットアップに苦しんだシーズンでもあった。そのため年間を通してデータの蓄積を重ね、シーズンオフに2019年仕様の概要をまとめた経緯がある。その結果今季は、空力性能やトップスピードなどBRZ本体の性能に課題を抱えるというより、そこはコースレイアウトや路面のミュー、気象条件に合わせるといった調整レベルに仕上がったことが大きな変化だと言えるのだ。だから2019年はタイヤ性能がクローズアップされるようにもなったという見方もできる。



新技術投入

ダンロップと協力して開発したニュータイヤは2018年のシーズンオフから開発が始まり、今季のシーズン初めから投入できる体制に整えていた。しかし、路面温度の適合や路面のミュー、そしてテスト走行の少なさなどから明確な答えを得ることは難しく、こうした条件は各チーム同じではあるものの、ダンロップユーザーで無交換作戦を取ることができていたチームはない。一方、ヨコハマ、ブリヂストンユーザーはすでに無交換で走り切るレースを数回こなしており、やや開発の遅れは否めなかった。

さらに、得意としたオートポリス、菅生のレースでポイントを大きく稼げず、またマシントラブルにも遭遇し、ニュータイヤと噛み合わない不運もあった。

そうした中、ようやく最終戦でその新タイヤの性能を発揮するタイミングが訪れたわけだ。タイヤのグリップを落とさず後半もタレないタイヤというのは、二律背反性能であることは容易にわかる。そこにトライしたタイヤは従来のタイヤとは違った性格になるのは当然だろう。

ドライバーの井口卓人、山内英輝両選手ともテストを繰り返してきてはいるものの、路温、ミュー、気温などの条件が本番のレースと同じというケースはゼロ。そうした環境で予選前の公式練習でセットアップを探すことになる。が、およそ5周ごとにピットインを繰り返し、ベストなマッチングを探すが決まらない。結果、ロングランテストもこなせず公式練習は終わってしまう。

ギャンブル

チームはドライバーからのコメントを拾い、アンダーステアを薄くし、フロントのグリップを上げる修正をマシンに施す。そのためにジオメトリーでは、フロントのトレール、キャンバーもつける方向にし、リヤウイングも立てて予選を迎えた。見方を変えると、タイヤ性能を引き出せないときは、マシンでの調整が可能になった。つまり、対応の幅が広がったというのが今シーズンの成長の証拠でもある。

ノックアウト方式の予選ではQ1を山内選手が走る。セットアップがマッチし全体2位のタイムを叩き出し、Q1を楽々クリアした。つづくQ2は井口選手がトライし、ポールポジションを目指すが、タイムが伸びない。逆に朝の公式練習より若干タイムを落としているのだ。

こうしたケースは山内、井口両選手の間では非常に珍しく、おそらく初めてのことではないだろうか。明確にはわからないが、井口選手には乗りにくい状況だったのではないかと想像する。本人に聞けば「マシンはいい方向にセットできたので、問題ないです。自分の乗り方が下手だった」とコメントしているが、本当だろうか。

しかし、山内選手のタイムをQ2に当てはめてみると12位相当になるので、データから推測するとQ2は各チームともソフトタイヤを選択し、タイムアップを狙ったことがわかる。BRZ GT300も当然そうした狙いはあったはずだがQ1、Q2とも同じハードタイプのタイヤを使っている。

その理由は、午前中の公式テストでマッチングを見た時、ソフトではタイムが出せるものの、タレが早く、もし決勝のスタートタイヤに指定された場合、1スティントは無理との判断があった。さらにドライバーも履きたくないという判断をしていた経緯があったため、ハードタイヤを選択してQ2に挑んでいたわけだ。

したがって、ハードタイプはあるレベルまで到達した性能を持っていることがわかるが、ソフトタイプではライバルと勝負できるまでには至っていないという判断になる。したがって、この予選15位のポジションはタイヤの差だったと言えるだろう。

高いレベルでの決勝

予選では好タイムにつなげなかった井口選手ではあるが、チームが提供した走行データを解析し乗り方の見直しと注意点を決勝レースまでの間で、洗い出している。こうした解析データの細かさ、蓄積も渋谷総監督の特徴だ。数値化された走行データを井口選手は自分の走りに重ね合わせる。すると、解決策が浮かび上がってくるのだという。

決勝は曇り空であるが、気温は17度前後、路面温度も22度前後で予選のときより若干低い温度だった。そして迎えたスタートは15位から井口選手がスタートし、順調に周回を重ねる。そして25号車をパスし、マザーシャシー、JAF勢の中でトップに立つ。前をいくマシンはすべてGT3マシンだ。

井口選手は順位を2つ上げ、山内選手に交代。そして給油のみでタイヤは無交換だった。ピットアウト直後からレーシングスピードで走行でき、すぐに順位を取り戻していく。各チームのピットインの混乱が収まり、山内選手も2つポジションを上げることに成功し、12位を走行。

前を走る88号車ランボルギーニ・ウラカン、360号車GT-Rの2台は1分54秒台までタイムを落としていた。BRZ GT300はスタート直後から1分50秒前後でレースができ、後半になっても51秒台で走行している。

今季新規開発したタイヤが性能を発揮しているシーンでもあった。だが、GT3の大排気量マシンの加速力には勝てず、コーナーで差を詰めるものの、立ち上がりで離される展開から脱却できず、そのままフィニッシュとなった。



BoPの凄さ

「あと数馬力あれば・・・」という展開なのはライブ配信を見た全員が思ったことだろう。だが、冒頭書いた性能調整されているため、そうはいかないのがスーバーGTでもあるわけだ。

この違いはピークパワーには大差ないものの、トルクの出方にはエンジンの素質によって違いが出る。ランボルギーニの5.2L・V10という大排気量NAエンジンの太いトルクと小排気量ターボのトルクの出力曲線の違いがあの映像ということになる。こうした不利をどこでカバーしてきたのかと言えば、ブレーキングとコーナリングだ。しかし、追いつけても抜けないのだ。ここが来季の課題になる。BoPの中で、どこまで性能アップできるのか、スバルの技術に期待したい。

また、スーパーGTでは連勝はかなりレアケースであり、連続表彰台も難しい。主催側としては全戦で勝者が代わり、最終戦でチャンピオンが決まるというシナリオを理想としている。だから、ハンディウエイトといった制度や過給圧制限、吸気制限(エアリストリクター)、給油速度制限などによって、レースがコントロールされている。

したがって、チームとしては勝ちに行くレースとポイントを取るレース、そしてウエイトを下ろすためのレースといった戦略が重要になり、BoPに合わせた戦い方が必要になってくるわけだ。盲目的に、すべてのレースで優勝を目指すわけではないのがスーパーGTの本当の姿だ。応援するのであれば、このあたりにも注目してみると面白いと思う。

チームによってはあえてQ1をクリアしない戦略もあるという噂だ。タイヤの温存作戦だ。これまでのBRZ GT300ではあり得ない作戦でもある。シリーズチャンピオンを取るためには、ありとあらゆるケースを想定し、英知を集めストラテジーを組み立てる必要があるだろう。

内容の充実

さて、12位に沈んだ最終戦だったが、内容はトップチームに匹敵するものだった。すべてのシーンでミスがなく、スムーズに展開した。マシンは安定し、ただただ、順位を挽回する走りに徹することができていた。

これまでトラブルが出た部品に対しては、新たにサプライヤーの協力を得たり、違うサプライヤーへと変更したりとパーツの管理を徹底する施策が取り入れられている。またエンジンやミッションといった駆動系のパーツ管理も徹底し、絶対にトラブルを出さない取り組みを行なっていた。

2018年試行錯誤した空力性能もひと段落し、コースごとに、あるいはコーナーごとにタイヤにかかる荷重の計測からボディ形状、サスペンション設定、ジオメトリーなどの関連付けが深まるようになっている。前回もレポートしたがSTIが取り組む解析技術によって、セットアップに迷うことが少なくなっているわけだ。

ちなみに、今回装着していたフロントスプリッターは第3戦の鈴鹿で使った仕様になっていた。菅生、オートポリスとも異なるエアロパーツをチョイスしている点でも、そうした技術的裏付けがあるからこその判断であるのは言うまでもない。

そしてタイヤの性能についても、コーナーごとの最大荷重、横Gなどのデータから、タイヤ性能の向上に役立っているのは間違いない。その結果がこの最終戦でのタイヤ無交換作戦の成功につながったわけだ。

EJ20型エンジンの終焉?

スバルファンには常識だが、BRZ GT300にはEJ20型+ターボを搭載している。その市販車に搭載するEJ20型は30年の歴史に幕を閉じた。スーバーGTのBRZとニュルブルクリンク24時間レースに出場しているWRXは、市販エンジンのEJ20型をベースにレース向けにチューニングしたものだ。また90年代に大活躍したWRCでもこのエンジンを使い、世界チャンピオンに輝いている。

しかし、次期型ハイパフォーマンスエンジンの話は聞かない。2020年のスーバーGTに参戦するとすれば、どんなエンジンでどんなマシンになるのか?期待は膨らむが、現状体制のままで、より研ぎ澄まされた戦略で戦うのではないかと予想する。スーパーGTのスバル/STIチームを運営するR&Dスポーツ代表の本島氏も「チャンピオン取るまでは止められない」と話す。どこかで次期レースマシンの情報を得たら報告したいと思う。

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(Auto Prove Auto Prove 編集部)

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