今回のドイツ取材で出会ったアウディQ3スポーツバックは実にスタイリッシュ。SQ2も、そうとうスパイシーで面白い。けれど毎日付き合うのだったら、これ。TDIとクワトロの組み合わせはある意味「最強」だ。(Motor Magazine 2019年11月号より)
ロングドライブで体感できた快適な乗り心地
実は今回のドイツ取材の間、もっとも長い時間をともにすることになった1台が、このQ2 TDIだった。往路はミュンヘンからフランクフルト、復路はフランクフルトからネッカーズルムのアウディフォーラムに寄って、ミュンヘン空港へ。あとからグーグルマップでチェックしてみたら、トータル800kmを超えている。
ドライバーとしてハンドルを握るだけでなく、リアシートや助手席でも過ごしてみたのだけれど、どこに座っていても居心地がいい。思えば「スポーツバック」というネーミングこそ与えられてはいないけれど、スタイリッシュなクーペふうシルエットと優れた実用性を兼ね備えたアウディSUVとして、Q2は「元祖」。改めてじっくり乗ってみたことで、アウディが言うところの「クロスオーバー」の魅力の原点を、味わうことができたように思える。
居心地の良さを感じさせてくれたのは、まさに快適な乗り心地のおかげだろう。剛性感の高いボディとしなやかな足まわりのセッティングが、どの席でも実感できる。3Dポリゴンをモチーフに採り入れたボディワークは、基本的にスクエア。個性的なフォルムが優れた居住性を生んでいる。
テストカーの鮮やかなマコウブルーのボディカラーが、どちらかと言えばシックなQ2の印象に華を添えてくれたようだ。街中ではとくに、並走する隣のクルマの助手席や後席の住人からの熱視線を頻繁に感じた。
あるいは、ボディサイドにドーン!と貼られていた「quattro」の大型デカールが目立っていたのかもしれないけれど・・・注目を浴びるほどに気分も当然良くなる。これもまた「居心地がいい」要因のひとつだ。
アウトバーンで味わった抜群の直進安定性
さて、今回のテストドライブの最大のチェックポイント、ディーゼルエンジンとQ2の相性は果たしてどうだったのか?
往路、復路ともに時間に追われていたこともあって、片道400kmちょっとの行程はそれなりに飛ばさざるを得ない状況。ミュンヘン、フランクフルト、ネッカーズルム市内のほか、渋滞を避けるために田舎道を少し走ったが、基本的にはアウトバーンでの高速ツーリングが試乗の中心となった。
ドイツ市場向けのQ2は、出力違いで2種類のディーゼルエンジンを選ぶことができる。テストカーはハイパワーな2L直4ターボを搭載する「35TDI」だった。
150ps/340Nmというスペックそのものはもの凄くハイパフォーマンスとは言えない。けれど、街乗りから高速ランまで、どんなシーンでも扱いやすい。踏めば踏んだだけしっかりトルクがついてくるフラットな出力特性は、とくに燃費志向の穏やかなアクセルワークに慣れているドライバーには向いていると思う。
トップパフォーマンスそのものは決してスーパーなものではない。けれど、公称311km/hの最高速度は掛け値なしにマークすることができそうだ。実際、アウトバーンでは追越車線を走る資格がしっかりある。速度無制限区間では300km/h巡行もこなす。
ここで強調しておきたいのは、そんな高速域でクルーズしていても、怖くない、ということだろう。一見、スクエアなシルエットだがCd値は0.30と、SUVとしてはなかなかのもの。優れた空力特性は、走る速度が上がれば上がるほど、安定感を増してくれる。
そしてなによりも重要なのが、35TDIはSトロニックとともに、クワトロシステムが組み合わされていること。高速域ではまるで地面にタイヤが吸い付いているかのように、頼もしい接地感が伝わって来る。加えて、直進性安定性がすごい。「まるで矢のように」という比喩は、このクルマに関して言えばけっしてオーバーなものではない。
アウディのTDIとクワトロのコンビネーションは、日本では今のところQ5でしか味わうことができない。だからこそこのQ2、日本に導入してもらいたいものだ。(文:神原 久)
■アウディQ2 35TDIクワトロスポーツSトロニック 主要諸元
●全長×全幅×全高=4191×1794×1538mm
●ホイールベース=2601mm
●車両重量=1550kg
●エンジン= 直4DOHCディーゼルターボ
●排気量=1968cc
●最高出力=150ps/3500-4000rpm
●最大トルク=340Nm/1750-3000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=7速DCT
[ アルバム : アウディQ2 35TDIクワトロスポーツSトロニック はオリジナルサイトでご覧ください ]
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