MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)分野でライバル交通機関同士が相次いで提携している。小田急電鉄と東日本旅客鉄道(JR東日本)は、鉄道会社の境界を越えたサービスの提供を目指して、立川駅周辺エリアでMaaSの実証実験を実施する。JR東日本は2019年8月、新幹線ではライバルである全日本空輸(ANA)ともMaaS分野で提携することで合意、「陸と空」が連携したサービスの展開を検討する。MaaSは多くの交通事業者が参画することで、より競争力の高いサービスを展開できることから、業態やライバル関係を超えた連携が加速しそうだ。
小田急とJR東日本は、ヴァル研究所(東京都杉並区、菊池宗史代表取締役)の協力も得て、MaaSを展開する。第1弾としてJR東日本・中央線の東京~甲府間と南武線、小田急グループの立川バスのリアルタイム運行データを使った経路案内と、多摩モノレールの1日乗車券、多摩動物公園などの沿線施設の利用券をセットにした電子チケットを1つのアプリで提供する実証実験を実施する。鉄道とバスのリアルタイム運行データの両方を使った経路案内の提供は、日本で初となる予定。
アプリの提供で立川エリアの外出をサポートするとともに、公共交通機関の利用を促進して周辺道路の混雑緩和や、商業・観光施設の来訪者満足度の向上を図る。実証実験の時期は未定。
JR東日本はANAともMaaS分野で連携していくことで合意、モバイル端末などのデジタルテクノロジーを活用して、旅行の計画段階から完了まで、シームレスな移動サービスの提供に向けて連携していくことで合意している。
複数の公共交通やさまざまな移動サービスを最適に組み合わせて、スマートフォンアプリなどで検索・予約・決済を一括で提供するMaaSは、多くの事業者が参画しているが、より多くの交通事業者や、移動サービス提供会社と連携することが競争力を左右する。新しいサービス領域を開拓するため、ライバル同士が手を組む動きが本格化しそうだ。
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