ベントレーは2019年、創立100周年を迎えた。今から100年前の1919年、ロンドン北部コンデュイット・ストリート16番地に創立された「ベントレー・モーターズ(Bentley Motors)」社は、「W.O.」ことウォルター・オーウェン・ベントレーという、きらめくような才気とモータースポーツに懸ける情熱に溢れた青年エンジニアが、理想のスポーツカー創りを目的として、31歳という若さで興した自動車メーカーである。創業から2年後の1921年、初の市販モデルである「3Litre」を販売開始した。
1924年のル・マン24時間レースで総合優勝を果たした、「3Litre」。それからというもの、「ベントレー・ボーイズ」とともに展開したル・マン24時間レースでの大活躍、そしてモータースポーツへの過大な傾倒がもたらした経営破綻。さらには、1931年から67年間にも及ぶ、ロールス・ロイス社傘下での栄光と苦難のときを経て、2003年以降、フォルクスワーゲン・グループ傘下で果たした鮮烈な復活劇など、まさしく波乱万丈のヒストリーを紡いできたベントレーは、世界各国のエンスージアストを魅了してきた。
2003年に登場した「コンチネンタルGT」は、フォルクスワーゲ製のW型12気筒エンジンを搭載する。ちなみに、ベントレー モーターズ社が「100周年」の期日としているのは、2019年7月10日である。今回、前日の7月9日に、ベントレー本社でメディア向けのシークレット・イベントがおこなわれた。会場になったのは、ロールス・ロイス傘下時代から約80年に亘ってベントレーの「故郷」であり続けているクルー本社工場である。
1946年より、クルー本社工場でベントレー車の製造がはじまった。今回のメディア向けイベントの直前、おなじ英国内で開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」において、ベントレーは、創業から現代にいたるまでの、さまざまな歴史的名モデルを出展した。ゆえに、メディア向けのイベントも、クラシック・モデルとともにベントレーの“ヘリテージ”をアピールする内容になるかと思いきや、筆者の予想とは大きく異なったのであった。
随所に感じたクラフトマンシップ2019年7月9日の朝、世界各国からクルー本社に集まったメディア陣が、まず案内されたのは、第2次大戦中から存在するファクトリーである。改装を施されたファクトリー内には、現代の最新機器が並ぶ。
工場内では、ミュルザンヌなど最新のベントレー・モデルがつくられていた。ここでは、1台1台の組付け状況を計測する高度な電子機器や、組み立て用のロボットなど、最新機器がふんだんに投入されている。またインテリアについても、天然素材にくわえて、上質ながらサステイナブルな人工素材(アルカンターラなど)も使用されているのが見学によってよく分かった。でも、その製作過程を支えるのは、あくまで伝統的な“クラフツマンシップ”だった。
インテリアのシートなどの組み付けは、複数人のスタッフが手作業でおこなっていた。インテリアのレザー部分は手縫いだ。ステッチ用の糸には、さまざまな色があった。今回の見学で、筆者がなにより感銘を受けたのは、ベントレーが今なお「人」の創るクルマである点だ。説明役だった各パートの責任者たちは、自身が属する部門の仕事を誇りとともに語った。また、ロールス・ロイス傘下の時代から、長らくハンド・メイドに携わってきたベテラン職人から、次世代を担う若きアプレンティス(見習い工)まで年齢や性別を問わず、ただただベントレーへの愛情とともにそれぞれの職務に当たる姿は、なんとも感動的だった。
木目パネルの加工も、すべて手作業だ。木目パネル用の倉庫には、種類の異なるさまざまな木材が保管されていた。出荷前、検査中の最新ベントレー。2035年のベントレー製グランドツアラー見学後、2019年7月2日にティーザーフォトのみが公開されたコンセプトカー「EXP100GT」のワールドプレミアがおこなわれた
本社工場近くに設けられた特設会場でお披露目されたEXP100GTは、ベントレーが考える「2035年のグランドツアラーの姿」を体現したものという。
ドアはディヘドラルタイプ。Jonathan Fleetwood 2018EXP100GTは、4基のモーターを搭載する電動モデルだ。最高速度は300km/h超に達するという。また、700kmを上まわる航続距離も実現したとのこと。
くわえて、ステアリングも「ホイール」とは言い難い、最小限の大きさと形状のものになっている。なぜなら、「レベル5(完全自動運転)」の自動運転時代を想定し、設計されているからだ。さらには、人間の感性や体調まで感知するAIを搭載する。「ベントレー技術陣が今後の16年間で、構築可能とおもわれるテクノロジーを想定している」と、解説された。
インテリアは、完全自動運転(レベル5)を見据えたデザイン。Oli Tennent優美なボディは、全長5.8m/全幅2.4mにも達する。そのボディに使われている塗料は、もみ殻を燃やした灰を原料にした次世代タイプという。さらに、インテリアのウッドは、泥に埋まっていた倒木を使っているそうだ。従来なら捨てられていたはずの廃材を生かした、サステイナブルな素材を複数使っているのが特徴である。
インテリアのウッドは、泥に埋まっていた倒木をつかっているという。100周年という重要な節目を祝う場で、現在のベントレーが取り組んでいる試みを見せ、これからの100年を占うがごとき先鋭的なコンセプトカーを世に問うたのはなぜか? おそらくベントレーが、次世代のプレステージ・カー・カテゴリーでも存在感を示すためだろう。2035年がいまから楽しみだ。
文・武田公実
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