SKYACTIVテクノロジーと魂動デザインで新たなファンを獲得している近年のマツダ。一方で、世界で唯一量産に成功したロータリーエンジンとその搭載車に今でもただならぬ愛情を注ぐ人たちがいる。そんなオーナーと貴重な愛車を7日連続でご紹介! 最終日は「チューニング・ロータリー」に乗りたかったというオーナーが所有する3代目RX-7の登場だ。(取材・文:増田 満/写真:伊藤嘉啓)
リアルスポーツとして性能を研ぎ澄ませた3代目
1991年のフルモデルチェンジで3代目になったRX-7は、RX-3から続いた車名であるサバンナを止めてアンフィニを名乗るようになった。これは2代目のFC3S時代に発売された限定車のアンフィニに始まり、3代目FD3S発売時の販売店となったアンフィニ(ENFINI)店にちなんだもの。
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FD3Sになって印象的だったのはスタイル。先代FC3Sまでは5ナンバー枠を守るサイズだったのに対し、FDでは全幅が1760mmと3ナンバーサイズになっていたことだ。日本の伝統美に由来した優雅なデザインは、もはやポルシェを意識するようなことはなく、国産スポーツカーの歴史に新たな金字塔が生まれたと言えた。
エンジンは引き続き13Bターボが搭載されたが、シーケンシャルツインターボに変更された結果、FC時代の最高出力である215psを軽く上回る255psにまでパワーアップしている。とは言え時代はすでに280ps規制が始まりパワー競争が激化していた。それでもボディの軽いFDはライバルを一蹴する性能を備えていたが、商品力向上のため1996年に265psへ、1999年には280psへと徐々に向上していくこととなった。またサスペンションは新開発された4輪ダブルウイッシュボーンを採用し、エンジンだけではなくブレーキ性能やボディ剛性などすべてが刷新されていた。
フル公認の強烈なスタイリングが印象的なFD3S
FDの時代になるとデイトナ24時間レースだけではなく、バサースト12時間耐久レースにも参戦するようになる。だが、海外のレースよりむしろ国内のJGTCに始まりスーパーGTまでRE雨宮からエントリーしたことが印象に残っている。
GT300クラスで1995年に2位になると、翌年からは4位が続いた。だが、やはりRX-7はピュアスポーツカーであり、レースというよりストリートでの活躍が記憶に残る。ここで紹介するFDに乗る矢澤英喜さんも、チューニングされたRX-7が欲しくてこのクルマと出会ったという。
RE雨宮のフルエアロをまとった現車と出会ったことが、ロータリー乗りになるきっかけだった。ロータリーチームRE evolutionの会長から譲り受けたクルマで、その時点でフルエアロを装着していた。そのうえで自らエアロを加工することで、今の強烈なスタイルに仕上げた。しかも外装はフル公認を受けているので、この状態で街乗りすることができる。
もちろんエンジンもチューニングされている。サイドポート加工をしたうえで750ccインジェクターを4基装着し3分割アペックスシールで強化。トラストのTD-06タービンに変更してアペックスパワーFCでセッティングしてある。
500psに迫るパワーとなったためサスペンションを強化しリヤ側はフルピローボール仕様にした。ブレーキキャリパーは純正のままだが、ローターとパッドは強化品に変更することで、十分に止まれるようにした。サーキット走行から通勤にまで使えるFDにしたのだ。
ロータリーエンジンがなければ大事な家族、仲間と出会うこともなかったという矢澤さん。FD3Sの純正部品ですら廃番が多くなってきたことを嘆き、再販される日を待ちわびている。<連載了>
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