相変わらず納車まで長い期間がかかるという、大ヒットモデルとなったスズキ「ジムニー」。これにより日本では「クロスカントリー4WD」や「オフロード四駆」と呼ばれるクルマが復権しています。
そんななか、クロスカントリー4WD向けのカスタマイズパーツ市場にも変化が生じているといいます。ジムニーの人気によって、カスタム業界には何が起きているのでしょうか。
快進撃止まらないスズキ「ジムニー」 都市伝説化した5ドアモデルの発売近し?
RVパーク内の四駆ショップ「梯子車体」によるトヨタエンブレム付き「ジムニー」カスタム SUVのカスタマイズパーツの市場において、以前は都会的な雰囲気を持つ乗用車系のSUVに人気が集中していたたため、エアロパーツやアルミホイールといった、オフロード四駆以外にも装着される商品に人気が集まっていました。
ところが、2018年のジムニーをはじめ、メルセデス・ベンツ「Gクラス」やジープ「ラングラー」が立て続けにフルモデルチェンジを果たしたことで、状況が変わったといいます。
おもにクロスカントリー4WD向け用品を取り扱う某パーツメーカーの社長は、次のようにコメントします。
「1980年代から1990年代の『四駆ブーム』以降も、ジムニーだけは特別な存在でした。数は多くありませんが根強いファンがいて、昔ながらの手法のチューニングが20年以上受け継がれていたのです。
ところが、2018年7月に新型ジムニーが登場して以降、これまで四駆と縁の薄かったユーザー層が市場に来たことで、『このスタイルは新しい!』ということになり、市場が活性化されています」
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2019年7月5日から7月7日の3日間、群馬県・高崎市で「群馬パーツショー2019」が開催されました。これは毎年おこなわれている群馬県内最大級のカスタマイズのイベントで、高崎市内でオフロードコースを持つトヨタ系販売店「群馬トヨタRVパーク(以下、RVパーク)」が事務局を務めています。
イベントには群馬県内外から75社のパーツメーカーや販売店が、オリジナルパーツや個性的なデモカーを出展。ユーザーは、会場で直接パーツなどを買うことができます。
RVパークはあくまでもトヨタ系の販売店のため、基本的には「ランドクルーザー」やピックアップトラックの「ハイラックス」のデモカーが多かったのですが、そうした出展車のなかでもひときわ目立っていたのが、ジムニーです。
東京オートサロンでも人気を博した、RVパーク内の四駆ショップ「梯子車体」が製作したトヨタエンブレム付きのジムニーも展示されました。
RVパークの関係者は、次のようにいいます。
「今の四駆系カスタマイズパーツの市場をけん引しているのは、間違いなくジムニーです。弊社はトヨタ系の販売店ですが、『トヨタからもこういうクルマを発売してほしい』という願いもあって、ジムニー関連のメーカーさんやショップさんに出展していただきました」
その一方、群馬県内でSUV用カスタマイズパーツを製造するメーカーの社長は、次のようにコメントします。
「ファッションでも流行は15年周期で巡るなどといいますが、近年のクロスカントリー4WDの人気により、再び昔のスタイルが注目されています。
安全面の基準によって一度は廃れたパーツもありますが、昨今は素材や形状などが変わり、コンプライアンス的にも問題がなくなりました」
具体的なパーツとしては、フロントバンパーガードやランプステー、リアラダー、ルーフラック、大径丸形フォグランプなどです。
これらにサイズアップしたアルミホイールとオフロード系タイヤ、リフトアップサスペンションを加えれば、かつての四駆ブームを経験した人にとって懐かしいスタイルが完成です。
カスタマイズにおいても「目立てば勝ち」から変化 懐かしのスタイルに脚光が集まるのは、懐古主義によるものだけではないようです。
東京オートサロン2019で展示されたエヌズ・ステージによる「ジムニー」カスタム 前述のRVパーク関係者は意外な事実を語ります。
「じつは、昨今こうしたオフロード系のクルマを購入したり、パーツを付けてくれるお客様は、ほとんどが新規参入の人たちです。かつて四駆に乗っていたとか、なにかアウトドアスポーツに興じているとか、そういう人が多数派ではありません。
これまでスポーツカーやミニバンに乗っていたものの、あの四駆のスタイルに魅力を感じて、ランドクルーザーやハイラックスを購入して同じような形にしたいという人が圧倒的に多いんです。
もちろん、昔乗っていたという人もいますが、そういうリターン組はわずかです」
ジムニーのヒットの要因がそうであったように、いまの四駆は「新しいスタイル」としてユーザーに受け入れられていると、関係者は口を揃えていいます。それだけに需要の伸びが望めるというのです。
群馬県内で照明器具を製造するメーカーの関係者は、昨今の四駆ユーザーの質の高さも指摘します。
「かつては、『目立てば勝ち』という風潮がユーザー側にありました。そのため、販売側も売れればいいということで、安全性に問題のあるパーツも市場にあったと思います。
しかし、昨今のユーザーは法律に触れるもの、車検に通らないものは付けないという人が多く、当然メーカーは何重にも安全性を担保した製品造りをしています。
ユーザーも市場もかつてより成熟しているため、これから四駆系カスタマイズパーツの市場は健全に成長していく可能性が大きいのではないでしょうか」
実際に製品を見てみると、前面衝突や歩行者保護の基準が厳しいフロント周りのパーツは、金属と衝撃吸収性のある樹脂のパーツを組み合わせていたり、衝突時に歩行者へのダメージを抑える形状になっていたりと、かつての製品とは、さまざまな部分で違いがあります。
グリルガードやリアラダーなどは、海外では実用部品として使われているものの、かつての日本ではその無骨なスタイルが多くのユーザーを魅了し、大ヒットを記録しました。
安全性への危惧や四駆ブームの終焉によって市場は大幅に縮小しましたが、そのスタイルは色褪せてはいません。
再びヘビーデューティなスタイルのクルマを街で見かけることが増えていくのか、注目されます。
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