■神話や神の名前からクルマの名前を付ける
クルマの名前の由来はさまざまです。完全な造語や、単純に形容詞や名詞などから採用することもあります。
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一方「マツダ3」のように数字や記号で、車格をわかりやすく表現するような名称もあります。
車名はデザインと同じく、売上を左右するほど重要なものなので簡単に決めるわけにはいけません。メーカーとしては、まさに神頼みしたくなるのではないでしょうか。
そこで、神話に登場する名称や神の名前のついたクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ヤリス」
トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」は欧州では「ヤリス」という名前で売られています。世界ラリー選手権などモータースポーツで活躍することもあるため、日本でもニュースなどでヤリスがヴィッツの欧州名であることを知る人も多くなってきました。
ヤリスの名前はギリシャの美と優雅さの女神「カリス」にちなんで命名されたものです。ヤリスの発表は1998年10月のパリモーターショーですから、日本でのヴィッツの発表よりも先になります。
また、開発は日本だけでなくヨーロッパでも行なわれたこともあり、本来ならばヴィッツよりもヤリスのほうがピッタリくるのかもしれません。
なお、ヴィッツは次のモデルチェンジから日本でもヤリスになるという噂もあります。
ヤリスが活躍する世界ラリー選手権が日本開催となれば、同じ形のクルマが違う名前で走っていることになりかねませんから、名称統一は自然な流れといったところなのでしょう。
●ホンダ「オデッセイ」
「オデッセイ」という名前自体は、古代ギリシャでギリシャ神話と並んで有名な長編叙事詩である「オデュッセイア」を語源とし、英語圏では長い航海という意味あいでよく用いられます。
そうしたことから、アメリカの火星探査機の名前や、映画化された有名なSF小説『2001年宇宙の旅』の原題『2001:A Space Odyssey』や、その後の映画のタイトルにも「オデッセイ」が使われました。
ホンダ「オデッセイ」は1994年登場の3列シートのミニバンです。それまでの3列シートの多人数乗車のクルマといえば貨物車ベースのワンボックスカーばかりというなか、乗用車に近い背が低いタイプで、走行安定性も高いとなれば、車名のとおり長距離の旅行にも適したクルマといえます。
オデッセイはその後、さらに低床化が進められ走行性能を高めています。また、オデッセイの後に登場した上級ミニバンの「エリシオン」は「オデュッセイア」に登場するギリシャ神話の楽園の名「エーリュシオン」の英語読みです。
このことから、エリシオンは現在、オデッセイに統合されたモデルになっているという点で興味深いところです。
●日産「シルビア」
日産「シルビア」の名前は、ギリシャ神話の美しい女神である「シルビア」に由来しています。
1965年に発売された初代シルビアは、その名の通り流麗な外観が特徴で、セミハンドメイドで作られたたことから非常に高価なスペシャリティカーでした。
2代目は「ニューシルビア」となり、初代とはだいぶ性格が異なったクルマでした。また、4代目ではモータースポーツでの活躍、そして5代目からは走り屋の印象が強いクルマになりました。
シルビアという名前は歌手やアナウンサーでも有名なため女性の名前として知られていますが、日産シルビアは名前の由来とは別の方向に向かってしまったようです。
■神のダブルネームが与えられたクルマがある!?
●マツダ「タイタン」
マツダのトラック「タイタン」の名前はギリシャ神話に登場する巨大な体を持つ神々の兄弟姉妹を指す「ティーターン」を英語読みしたものとなります。
ティーターンを由来とした名称では巨大な豪華客船「タイタニック」があるほか、アニメ「Zガンダム」に登場する組織「ティターンズ」も同じ由来です。
マツダのタイタンは、1971年に自社設計のトラックとして発売されました。名前は巨大な神ですが、マツダでは大型トラックは扱っていないため、小型~中型トラックの名称として使われています。
なお、2004年に登場した5代目からはいすゞ「エルフ」をOEMとして供給されたモデルとなっています。
ちなみにマツダの英名「Mazda」は、西アジアでの人類文明発祥とともに誕生した神、「アフラ・マズダー(Ahura Mazda)」が由来です。
したがってマツダ「タイタン」は神の名前がふたつ入った、じつにありがたい名前のトラックといえるでしょう。
●トヨタ「アバロン」
ケルト神話に登場する楽園の島から名前を取ったのがトヨタ「アバロン」です。「アーサー王伝説」ではアーサー王が伝説の島「アバロン」に渡って最期を迎えるということが記されています。
アバロンは1994年にアメリカで製造し、北米市場向けの大型セダンとして登場しました。日本には翌1995年にアメリカ工場製のものを右ハンドル化など行ない日本仕様にして導入しました。
北米ではフロントシートがベンチシートでコラムシフトという仕様もありましたが、日本ではフロアシフトのセパレートシートのみで、広い室内が特徴でした。
ただし、日本への導入はこの1代限りで、2000年に登場した2代目アバロンは日本では「プロナード」という車名で販売され、前席3人がけベンチシートとコラムシフトの6人乗りなども導入しましたが、セダンの人気の陰りもあり、2004年に販売を終了します。
日本では名前を変えて2度も最期を迎える不運なクルマでしたが、北米ではモデルチェンジが進み、現在もトヨタブランドの大型セダンとして販売されています。
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