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どう事故防ぐ? 社会問題化する交通事故の対策方法とは

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どう事故防ぐ? 社会問題化する交通事故の対策方法とは

■事故を減らしたい!ユーザーの改善要望はどこへ出す?

 連日、一般道や高速道に限らず全国のさまざまな場所で発生している交通事故。あおり運転や無理な追い越しなど、原因が明確なものや、操作ミスによる人為的なものまで多くの事故が起こっています。

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 なかには、以前から事故が多発していたにも関わらず、対策が施されていない場所も存在。社会問題ともなっている交通事故は、どうすれば減らすことができるのでしょうか。

 日本の交通事故死者数は、昭和45年にピーク時(年間1万6765人)に比べて、平成30年は過去最小(3532人)と減少傾向です。しかし、依然として生活道路といわれる幹線道路ではない場所での死傷事故件数の減少割合には少ないといえます。

 2019年5月8日には、滋賀県大津市の交差点で、直進車と右折車による2台による衝突事故が発生。歩道で信号待ちをしていた保育園児らの列に軽乗用車が突っ込み、多数の死傷者がでました。

 事故が発生した場所は見通しの良い直線道路となり、一見では事故の危険性が高い箇所とはいえないようです。しかし、実際にこの道路を走行するユーザーは「見通しが良いが過去にも事故は起きていました。また、片側1車線の道にしては流れがよく、その脇に歩行者がいるためガードレールがあると良いと思っていた」と話しています。

 国土交通省によると、ガードレールが設置される区間は『防護柵の設置基準』によって決められています。歩行者や自転車に対する危険を防ぐため「車両の歩道、自転車道、自転車歩行者道への逸脱に よる二次被害の防止」を目的とし、歩道と車道との境界に設置しているようです。

 ガードレールは、速度域が高い道路や住宅街、学校・病院といった生活道路に多く設置され、クルマとの接触事故を防ぐ役割を持っています。また、事故が多発するなどガードレールを設置することで事故を減らす効果があるという区間や、そのほかの事情により必要と認められる場所にも設置されます。

 では、自分の住んでいる地域の危険箇所にガードレールが未設置の場合はどうしたらいいのでしょうか。

 国土交通省関東地方整備局の東京国道事務所は、次のように話します。

「ガードレールや標識などの設置要望については、該当する道路によって問合せ先が異なります。国道であれば、その道路を管轄している国道事務所や出張所に問合せして頂く形となりますが、都道・県道や市道などはそれぞれのところが担当です」

※ ※ ※ 

 また、国土交通省は、過去のさまざまな事故データによって事故の危険性が高い区間を明確化し、「生活道路対策エリア」としています。このエリアとは、速度超過、急ブレーキ発生、抜け道などの潜在的な危険箇所を特定し、凸部(ハンプ)や狭さくなどを効果的、効率的に設置することにより、速度抑制や通過交通の進入抑制を図るものです。  実際に、新潟県新潟市では、小学校移転に伴う通学路の安全確保について、学校関係者をはじめ、国土交通省、新潟中央警察署、新潟市などの協働で検討した結果、「ゾーン30指定」やポール設置、歩道設置などの対策が施されています。

■「クルマの速度を抑えたい!」ゾーン30という取組みとは

 子ども達の安全を守るという点では、住宅街や学校周辺で見かける機会の多い「ゾーン30」という取組みも存在します。これは、定められた区域に最高速度30km/hをはじめとするさまざまな規制がかけられたことを示すものです。

 該当する区域が始まる場所には「ゾーン30」と表記されるほか、30という数字の下に「区域ここから」と書かれた標識が立てられ、ドライバーに分かりやすく明示されています。この「ゾーン30」とはどのような取組みなのでしょうか。

「ゾーン30」の適応場所について、警察庁は次のように説明しています。

「生活道路における歩行者などの安全な通行を確保することを目的として、区域(ゾーン)を定めて最高速度30km/hの速度規制を実施しています。

 そのほかの安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内における速度抑制やゾーン内を抜け道として通行する行為の抑制などを図る生活道路対策です」

※ ※ ※

 通常の道路に対する速度規制は、個々の道路(路線)ごとに実施するのが一般的ですが、「ゾーン30」では、区域を定めて速度規制を実施することで、対象区域内の道路に30km/hの速度規制が適用されるのです。

 また、30km/hが規制速度になる理由については、クルマと歩行者が衝突した場合、速度が時速30km/hを超えると、歩行者の致死率が急激に上昇するためとしています。

 この「ゾーン30」は、交通量や交通事故の発生状況などをもとに、警察が道路管理者や地域の住民と協議・調整して決定。それ以外にも地域の住民からの要望を踏まえて整備の必要性等を検討して決定する場合もあります。

 生活道路が集まった区域に通学路が含まれている場合に、通学路の安全対策上も有効であるともされ、「ゾーン30」を整備することが多いのです。

 また、住んでいる周辺の環境が「ゾーン30」に該当しない場合でも、利用しているクルマの速度が高く危険と感じた場合には、規制速度の見直しを要望することもでき、問合せについて警察庁は次のように話します。

「近隣住民などからの要望があれば、必要に応じて当該最高速度規制を実施する箇所周辺の道路や交通安全施設などの設備状況に加えて、交通流・交通量の交通状況、道路利用者のニーズに変化があるか否の確認を行ないます。

 その上で、現在の交通規制と実態が合わなくなっていた場合には、必要な見直しを実施することになります。変更の要望については、当該の道路を管轄する警察署または都道府県警察本部へご相談ください」

※ ※ ※

 交通事故を防ぐために、クルマ自体の安全性能を自動車メーカーが改善し、交通インフラや安全対策については、国や警察がさまざまな取組みを行っています。しかし、全国隅々までの危険箇所を把握しきれていないのが現状ということもあり、ユーザー自身が危険な箇所の改善を要望することも「交通事故の減少」に繋がるといえます。 【了】

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