平成が終わろうとしている今、あえて魅力的モデルが多い昭和のクルマたちを4つのカテゴリーに分けて再評価する、題して「最後の昭和ランキング」。最終回となる今回はセダン編である。
現在のようなミニバンやSUVが少なかった昭和の時代、ファミリーカー、高級車、と幅広い層に選ばれたのが4ドアセダンだ。
セダンは!? ツーリングはどうなる!? GT-Fourもでるの!!? 新時代カローラ 百花繚乱!!!
高級セダンではクラウンやセドリックが王道であり、大衆車ではカローラやサニー、コロナ、ブルーバードなどが定番に。バブル期にはシーマが誕生して大きな注目を集めた。
エントリーは17車種。評価基準は、「そのクルマが登場した時、いかに一般ユーザーやクルマ好きをときめかせたか」「その時代のエポックメイキング的クルマだったか」である。
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※本稿は2019年3月のものです
文:御堀直嗣、国沢光宏、、片岡英明、石川真禧照/写真: NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月26日号
■1位はトヨタカローラ。2位にマツダカペラ 3位に日産セドリックと続く
名前横の数字は「昭和●●年」を表す
1位は当時のベストセラーカーのカローラ。2位にカペラ、3位にセドリックが続く結果となった。
3氏、2氏が高い評価を与えながら上位に食い込めなかった車種としてはシーマ、サニー、コロナといったあたりが挙げられるだろうか。シーマについては国沢氏、コロナについては片岡氏に尋ねてみた。
●1位 トヨタ 初代カローラ(昭和41年)
1位と2位がひとりずつ、4位がふたりと、4人とも高く評価した初代カローラ。競合車のサニーに対して“100ccの余裕”というキャッチコピーを採用し、1.1Lエンジンを搭載。高い人気を獲得したセダンだ。
●2位 マツダ 3代目カペラ(昭和57年)
2代目まであったロータリー車がなくなり、3代目は1.6L、1.8L、2Lエンジンを搭載したファミリーカーになった。
●3位 日産 3代目セドリック(昭和46年)
3代目からグロリアと基本コンポーネンツを共有する姉妹車となった。4ドアはセダンのほかにハードトップも設定。
●4位 トヨタ初代パブリカ(昭和36年)
昭和30年代の国民車構想を受けて開発されたトヨタ初の大衆車。発売当初は697cc空冷水平対向2気筒エンジンを搭載。
●4位 日産6代目ブルーバード(昭和54年)
日産の1.6L~2Lクラスで、ブルーバードでは最後のFR車。直線基調のスタイルもウケて510型以来の大ヒットとなった。
■セドリック3位(全体でも3位)、クラウン13位(全体では10位)。自身の評価と全体の結果をどう見ますか?
(TEXT/御堀直嗣)
230型のセドリックは、それまでに比べてぐっと豪華になり、クラウンをしのぐ勢いを感じさせる4ドアセダンだった。
また、それまで4ドアセダンといえば前後ドアの間に支柱があり、四角張った造形の印象があったが、4ドアハードトップという新たな価値を提案し、そのハードトップのスタイルの格好よさと、4ドアの利便性を併せ持つ魅力は大きかった。
グロリアと姉妹車となった3代目(230系)セドリック
グロリアと共通の車体を用いた最初の世代であり、豪華さや斬新な価値の提案によって、当時はクラウンの販売台数をグロリアと合わせると抜いたはずだ。
S12クラウンは、ここから「いつかはクラウン」の言葉が生まれ、クラウンらしいクラウンの一台だが、「アスリート」グレードを設けるなど、クラウンがこの先を模索していた時代ではないか。
時代の評価という意味で、セドリックは、日産がトヨタと堂々と戦っていた時代への郷愁も思い起こさせる。
7代目 S12クラウン
■ずばり、初代シーマを1位(全体では6位)にした理由は何ですか?
(TEXT/国沢光宏)
昭和を代表するセダンといえば、やはりシーマか7代目セドリック&グロリアにラインナップされていたグランツーリスモでしょう!
昭和の終わりの社会に大きな影響を与えたが、バブル景気の面白さを挙げるなら「ホンモノは間に合わなかった」ことだと思う。
バブル景気の間に開発を開始し、それまでの日本車とハッキリ違う完成度やクォリティを持つセルシオなど出てくるの、景気が落ち込む平成ですから。昭和って戦後のドタバタや「急ごしらえ感」こそ味になっている。
大ヒットした日産の初代シーマ
という観点からシーマを見ると、セドリックのボディを強引に拡幅し、新しくないエンジンにターボ付けてドーピング。
冷静になって評価すると、いろんな意味で昭和の味が濃いですワな! 当時、バブル景気で舞い上がる日本人の気持ちを満足させる押し出しの効くクルマって、シーマしかなかったと思う。
クラウンもワイドボディを出したけれど、シーマの前に完敗しちゃいました。トヨタにとって一番手厳しい「負け」だったかもしれません。
■ほかの3人と違い、3代目トヨタ コロナが3位の高評価。この理由は何ですか?
(TEXT/片岡英明)
3代目のコロナは国際商品を掲げて1964年9月に登場した。
2代目まで、コロナはメカニズムの信頼性はもちろん、販売面においても日産のブルーバードの敵ではなかったのである。この時期まで、ファミリーカーといえばブルーバードだったのだ。
1964年に登場した3代目コロナ
が、トヨタはブルーバードを徹底的に研究し、デザインにも新しい感覚を積極的に盛り込んでいる。
ストレート基調のダイナミックなアローラインと堂々とした4灯式ヘッドライトの3代目コロナは、デザインが美しかった。女性層をも魅了し、発売されるや大ヒット作となっている。
開通したばかりの名神高速道路を使って耐久信頼性をアピールし、メカの優秀性もアピールしたから、尻下がりの2代目ブルーバードを販売面で圧倒した。
この3代目RT40系コロナはベストセラーカーになっただけでなく、日本初の2ドアハードトップや使い勝手のいい5ドアのHBセダンも送り出している。
日本のファミリーカー文化を花開かせた傑作だから、迷わず3位としたのだ。
■3代目カペラを1位に選出した理由は?
(TEXT/石川真禧照)
ボクがこの年代のカペラを評価したのは、日本でではなく、ヨーロッパでの体験からだ。当時、TVの仕事で「ヨーロッパの道を走る」という企画があり、ドイツに飛んだ。
クルマは現地で調達し、そのクルマでドイツ国内を走った。
ロータリーの搭載を止め、ファミリーカーとしてフルモデルチェンジした3代目カペラ
カペラはヨーロッパでは「マツダ626」と呼ばれていた。4ドアセダンのそのクルマは、見た目はハンドルの位置が日本仕様とは違う左側だが、カペラそのものだった。
しかし、驚いたのは、ハンドルを握り、走り出してから。ハンドルを切った時の動きだった。
ドイツは郊外の一般道なら時速100kmくらいで走る。そして、ワインディングやS字コーナーも平気で突っ込んでいく。
そこをカペラは同じようなペースで走ったのだ。「日本車がこんなに走るなんて」とビックリ。
確かに当時から欧州仕様車はサスペンションやショックアブソーバーは日本仕様とは別ものだったが、ここまで走るとは思ってもいなかった。当時からヨーロッパでも通用するクルマ作りを行なっていたマツダに、感心したのだった。
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