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シルキーシックスを搭載したBMWはクルマだけじゃない!──K1600 Bを試乗する

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シルキーシックスを搭載したBMWはクルマだけじゃない!──K1600 Bを試乗する

クルマは搭載するエンジンによってそのキャラクターが大きく変わるだろうけれど、より軽量でエンジンの占める割合が大きいバイクは、その影響力がさらに強い。

いまや2ストロークエンジンはほとんど消えてしまったけれど、4ストロークでもさまざまなエンジンを搭載したマシンが存在し、それぞれの個性を主張している。そのなかでもレアなのが6気筒エンジン。軽快さ、スリムさを身上とするバイクにとって、多気筒マシンはなかなか市民権を得難かったのだろうか、歴史的に見てもその数は少ない。そして現在、唯一の並列6気筒エンジンを搭載するのがBMWのK1600シリーズである。

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BMWがリリースするKシリーズは、直列4気筒エンジンを縦方向にマウントしたK100からその歴史は始まった。BMWのアイデンティティといえるボクサーツインに対して多気筒のエンジンは異色な存在であったが、そのマウント方法も類をみないものでセンセーショナルだった。その後、Kシリーズは独自の進化を続けていく。マウント方法も通常の方式となり、搭載するエンジンも4気筒から6気筒となる。

4輪のBMWでは代名詞といえるシルキーシックスエンジンだが、バイクに6気筒エンジンが搭載されたのは2011年発売のK1600 GTが最初である。6気筒エンジンというと、大きなエンジンをイメージする人も多いかもしれないが、さすがに2輪用のそれはコンパクトに設計されている。

とはいえ、車格はそれなりに大柄。停車時にそこそこの重みも感じるけれど、ひとたび走り出せばその重量感はサッと消える。ジェントルかつスポーティという、BMWのクルマに感じられるような印象。そして驚くほど軽快なハンドリングとスポーツ性能を有しているのだ。

そんなK1600シリーズの中で、異色といえるのが2017年にラインナップに加わったK1600 Bである。Bはバガーの略で、バッグ……バイクで言えば、パニアケースが付いているようなマシンを呼ぶのがその語源という。

しかし、一般的にバガースタイルと呼ばれるモデルは、単純にパニアケースを装着したツーリングモデルを呼ぶのではなく、それをさらにカスタマイズしたもの。ロー&ロングというカスタムではおなじみのスタイルではあるが、そこに積載能力も併せ持つもの。そんなバガーのBMW流の答えがこのマシンということだろう。

そのスタイリングは実に流麗。ワイルドかつゴージャスでありつつも、アウトローの乗るマシンではないといった上品さも感じさせる。車格は大柄だが、低めのシート高により、165cmの身長でも足つきに不安はない。ハンドル位置もさほど遠くなく、取り回しに苦労しそうなプレッシャーはない。

エンジンを始動すると、重厚で存在感のあるサウンドを放つ。アクセルをブリッピングすると、フゥウォン! と、まさに咆哮と呼べるエギゾーストノートを奏でる。このサウンドだけでも買う価値があると思わせるほどの音色である。しかもそこに野蛮な要素は感じられない。ここでも気品を感じさせるのだ。

クラッチを丁寧に繋ぐと、アイドリング状態からでも重量のある車体を軽々と発進させる。驚くほどシルキーで滑らかな吹け上がり。そのスタイリングからエキスパートの乗る……とイメージされがちな同車であるが、呆気ないほどイージーな取り回しとのギャップが面白い。

通常、ローダウンに伴うサスペンションのショート化は乗り心地の低下を招くことにつながり易いが、じつはこのマシン、ベースモデルとなるGTと、サスペンショントラベル自体に変更はない。全体的に低くみえるのは、リア周りの大胆な設計によるもので、ストロークをしっかり確保している恩恵が乗り心地にも現れているのだ。

そして、専用設定となる電子制御サスペンションに加えて、BMW独自のサスペンションシステム、デュオレバーによってそのしなやかさは、猫脚と評したいほど。エンジン振動の少ない滑らかさと相まって、マジックカーペットに乗っているようなフィーリングなのである。

クラッチ操作を必要としないギアアシストプロにより、スコンスコンとギアを上げていく。ショックの伴わないシームレスさと、極低速域から発揮する頼もしいトルクによってなんともいえない上質なフィーリングが味わえる。

例えば、ハーレーは退屈な直線路でも適度な鼓動感とサウンドで飽きさせないという手法をとるが、こちらはBMW流の味わいでこれに対抗している。さらに、それだけで満足させないプラスαがあることも見逃せない。

大柄な車体を感じさせないほどの軽快なハンドリングに驚く。そして、旋回中の接地感、安心感が抜群に高いことにさらに驚く。低い車高のマシンにありがちな、コーナーリングに神経を使うといったことがなく、純粋に楽しめてしまうほどスポーツ性が高いのである。

ロングホイールベースのマシンに多い剛性の頼りなさ=前後のホイールが別々に動いてしまうような兆候もなく、タイムラグを感じさせずしっかり狙ったラインをトレースしていく。

そしてエンジンの底力は凄まじく、アクセルをワイドオープンすれば振り落とされてしまいそうなほど恐ろしいダッシュ力を備えている。ジェントルと思っていたら……そんな二面性が魅力でもある。

安全性に関しては言わずもがなであり、強力なブレーキとともに高い剛性を確保。そして、ライディングをアシストする電子制御は最高級のものが備わっているのだ。

K1600GTに初めて乗った時「バケモノだ!」と思った記憶が蘇った。スタイリングからは想像出来ないトータル性能の高さ。そんな衝撃がここにも待っていた。

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