都市型コンパクトサイズのSUV「レクサスUX」がまもなく日本でも発売される。比較的コンパクトなサイズで、都市型をうたう新世代のSUVだ。
結論から書くと、レクサスUXはとてもいいクルマだった。ストックホルムで試乗したのは欧州仕様であったが、その出来栄えに感心した。
次世代のクルマを予感するコンパクトSUV──レクサス新型UX海外試乗記 Part.1
2018年春の発表以来、海外のイベントで実車を見る機会はあったものの、走らせたのは今回が初めてだ。約4.5メートルの全長に、1.5メートル弱の全高という比較的コンパクトなボディは、デザイン的なまとまりもよく、興味しんしんだっただけに、試乗の機会を待ちわびていた。
試乗会場となったストックホルムで用意されていたのはガソリンモデルの「UX200」と、ハイブリッドモデルの「UX250h」という2つのモデル。前者は171psの最高出力と205Nmの最大トルクを持つ2リッターガソリンエンジンを搭載。ダウンサイジングターボエンジンが主流のなか、今どき珍しい自然吸気エンジンだ。
ハイブリッドのUX250hはUX200と基本的に同じユニットを用いながら、エンジンの最高出力は107kW(146ps)に抑えられ、最大トルクは180Nm。これに最高出力109ps、最大トルク202Nmの電気モーターを組み合わせる。
両モデルともに前輪駆動が基本で、UX250hにのみ「E-Four」という4輪駆動モデルの設定がある。くわえてサスペンションが硬めの設定になり専用の内装を持つ「Fスポーツ」を両パワートレーンに用意する。
「単なる(サイズの)大小や車格にとらわれない独自の個性を持ったモデルにしたい」。女性のチーフエンジニア、加古慈氏がレクサスUXにこめた思いはこういうものだったそうだ。たしかに、実車は明確なキャラクターを持っていた。
ストックホルムでの試乗の舞台は、高速道路、市街地、カントリーロードとさまざまなシチュエーションがあった。要するに、日本を含めた世界各国の都会に住む人の走行パターンそのものである。
レクサスは、「都会派コンパクトクロスオーバー」という都市型SUVのコンセプトに沿って、市街地における使い勝手のよさを体験してほしいと強調していた。事実、信号からの発進や小さめのコーナーを曲がるときのきびきび感では、街中の使い勝手は実によいクルマであった。
ガソリンとハイブリッド、どちらのパワートレーンでも発進から加速にいたる流れはスムーズだ。少し重めのステアリングホイールを操作してのハンドリングは素直で、応答性にも優れる。
加速のスムーズさでいうと、とりわけハイブリッドの印象がすばらしくよかった。こんなに気持ちよく自然な感覚を体験したのは初めてといっていいぐらいだ。発進から周囲の交通の流れに乗るまでの力強さに加え、速度を上げていってもトルクの落ち込みはいっさい感じさせない。聞けば、ハイブリッドシステムは新開発の2リッターエンジン専用という。チューニングの妙もあるのかもしれない。
試乗したUX250hは18インチのランフラットタイヤを履いていたが、サスペンションはしなやかに動き、ゴツゴツした乗り味は皆無である。前輪駆動版でもAWD(4輪駆動)版でもその印象はおなじだった。
荒れた路面ではショックを吸収し、うねる路面でのダンピングもしっかり効いている。はねるときに不安定さを感じる場面はなかった。いたずらにスポーティさを強調することなく、スタイリングは多少若々しいが、おとなも感心する繊細なチューニングを味わうことができたのだ。
コクピットのデザインもエクステリア同様にスタイリッシュだ。吟味されたマテリアルの数々は、レクサスらしくクオリティの高さも感じる。
インフォテインメント機能の充実ぶりと使い勝手もよく考えられている。例えば走行中にオーディオやエアコンなど各種コントロール類を、シフト横に設置した「レクサス・リモートタッチ・インターフェース」によってブラインドタッチで操作出来るのはスマホに使い慣れた身としては嬉しい。
また、レクサスUXらしい装備のひとつにオーディオコントローラーが、インパネではなくアームレストの先端(パームレストという)に設けられたことが挙げられる。
たいていのモデルと同じく、UXにもステアリングホイールのスポーク部にオーディオコントローラーを設けているが、運転支援システムの操作ボタンが増えているため、オーディオを頻繁に楽しむ向きにはパーム部分で操作できるほうが便利かもしれない。
パッケージングもおとな4人が乗ってきゅうくつな思いはしないように、スペース効率がよく考えられている。後席乗員が着座した際も目線はそれなりに高く、穴ぐらに閉じ込められたような閉塞感はないだろう。上質なトリムで覆われたラゲッジスペースも必要十分な広さだ。多分、レクサスらしくゴルフバッグの積載性も考慮しているはずだ。
「女性ユーザーを積極的に獲得したいモデル」と、レクサスの担当者は語るが、運転好きの男たちにも”ぜひ”と勧められるモデルであった。
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