トヨタスープラとBMW Z4、GT-Rとイタルデザインなど、最近、自動車メーカーの提携によって生まれたコラボレーション車や、自動車メーカーとカロッツェリアがコラボしたクルマが話題になっている。
そこで、現行車&歴代車のコラボレーション車のなかからピックアップし、モータージャーナリストの国沢光宏氏と鈴木直也氏が採点チェック! はたしてどんなクルマだったのか? 「あったね~、このクルマ」と個性的モデルたちを懐かしみつつ、読んでいただきたい。
清楚な美少女から野太い中学生男子へ!! 新型ロードスターが大進化
文/国沢光宏、鈴木直也、ベストカーWeb編集部
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2018年9月26日号
■現行モデルで最高のコラボ車はどれだ?
※国沢光宏氏、鈴木直也氏が100点満点で採点
TOYOTA86/SUBARU BRZ 合計点195点
■国沢光宏の評価 :100点
トヨタが企画してスバルで開発&生産しているというOEMのようなモデル。デザインや企画もよかったのだろう。古さをまったく感じさせず。大成功作といっていいだろう!
■鈴木直也氏の評価:95点
FRスポーツを作るにあたり、スバルの水平対向AWDに目をつけた多田哲哉CEの発想力がお見事。低重心という素材のよさを行かし、走って楽しいクルマが誕生!
アルピーヌA110(日産の1.8Lターボエンジン)
■国沢光宏の評価: 80点
よくぞミドシップなど作ったモンだと感心しきり。このプラットフォームを使って日産もなんか作ればいいのに、と思う。今後の展開に期待したい。
■鈴木直也の評価 :100点
アルピーヌは誕生時からルノーのメカを流用してスポーツカーを作っていたので、まさに"復活"。こういう企画がスンナリ通るのが羨ましい。
JEEP レネゲード/フィアット 500X 合計点115点
■国沢光宏の評価: 35点
「でかチンクエ」と呼ばれる不格好なフィアット500Xよりレネゲードはずっとカッコいいクルマだと思う。アメリカじゃソコソコ売れている。日本では中途半端……。
■鈴木直也の評価: 80点
フィアットとクライスラーの合併から生まれたコラボ車だが、イタ車のプラットフォームでジープを作るなんて、ひと昔前は考えられなかったコラボモデル。グローバル化する世界を象徴している1台と言えます。
アバルト 124スパイダー(マツダロードスター) 合計点115点
■国沢光宏の評価 :20点
日本でもヨーロッパでも話題にすらなっていない。やはり中途半端なパフォーマンスのわりに高価なんだと思う。WRCにも出てきたが成績伸びず撤退したのは残念。
■鈴木直也の評価: 95点
ロードスターにフィアットのエンジンを載せたコラボだけど、フィアット側から声がかかってプロジェクトが始まったのがすごい。それがこの点数です。それだけロードスターの評価は高いということ。
NMKV デイズルークス/eKスペース 合計点110点
■国沢光宏の評価: 30点
ベースはそんなに悪くないと思うのだけれど、ドライバビリティや安全性など日産と三菱の足の引っ張り合いに終始してしまった。次期型は日産開発です。
■鈴木直也の評価 :80点
NMKVという企画会社を立ち上げ、日産/三菱の共同開発という形だけど、開発実務は三菱ゆえクルマの仕上がりは三菱次第。弱者連合コラボとなっているのが気がかりだ。
スマート/ルノートゥインゴ 合計点105点
■国沢光宏の評価: 20点
デザイン的にはルノーのほうが圧倒的にオシャレ。ただライバル車と比べリアシートが狭いなどクルマとしての完成度で厳しい。スマートの価格、高過ぎでしょ。
■鈴木直也の評価: 85点
率直に言うと、スマートはこういう風にどこかと組まないと存続がおぼつかない。リアエンジンは個性的だけど、それゆえニッチ狙いに留まるんですよ。
MAZDA アクセラハイブリッド(トヨタのハイブリッドシステム) 合計点90点
■国沢光宏の評価: 15点
マツダが「ハイブリッドを持ってないと厳しい」と考え、トヨタにお願いして技術供与してもらったけど、マツダのお客さんはまったくの無視でしたね。
■鈴木直也の評価: 75点
営業からの圧力で生まれたコラボといえる。走りで本家のトヨタTHSーIIに負けないものに仕上げたのはさすがだけど、営業のもくろみは見事に外れて販売は低調気味。
NISSAN スカイライン200GT-t(メルセデスベンツの2Lターボエンジン)合計点80点
■国沢光宏の評価: 10点
どうして日産のエンジンを搭載しなかったのか理解に苦しむ。なにしろベンツの旧世代ターボです。ユーザーからも支持を得られず出た時から低迷。
■鈴木直也の評価 :70点
クルマの心臓部たるエンジンを社外からOEM調達するなんて、昔はとても考えられなかった。スカイライン存続のためのショートリリーフと理解するしかないです。
■歴代モデルではどのコラボモデルがよかったのか?
ISUZU ジェミニ(GMの世界戦略車) 合計点130点
■国沢光宏の評価: 55点
いすゞがベレットの後継モデル開発に悩んだ末、オペル カデットベースのクルマにすることを決めた。さすがドイツの設計だけに、長生きしました。
■鈴木直也の評価: 75点
日本向けにカデットをモディファイしたのが初代ジェミニ。アンダーは強いが欧州車風の乗り味が人気で、自動車メディア関係者にもユーザーが多くいたのを思い出します。
フォード フェスティバ(実際はマツダの開発) 合計点130点
■国沢光宏の評価 :60点
マツダとフォードの提携が緩かった時代の作。ちょっとオシャレな雰囲気のクルマで悪くなかった。ただディーラー数が少なく売れませんでしたね。
■鈴木直也の評価: 70点
初代フェスティバの末期に登場したGT-Aもスカラ社という謎のデザイン会社とのコラボでした。赤いボディでフロント部分だけ白に塗り分けられていたのを覚えています。
MITSUBISHI エクリプス(プリムスレーザーなど) 合計点105点
■国沢光宏の評価 :40点
これは三菱が小型車の開発が超苦手だったクライスラーと提携していた頃のOEMモデルですね。上写真にあるが、プリムスもイーグルもクライスラーのブランド。日本では存在価値薄かったですね。
■鈴木直也の評価 :80点
三菱とクライスラーが親密な関係にあった1980年代、スポーツカーの企画も両社コラボが前提だった。プリムス レーザーは初代のみだけど、イーグル タロンは2代目まで存続。
MAZDA トリビュート(フォードエスケープとの共同開発) 合計点120点
■国沢光宏の評価 :50点
世界規模で見るとエスケープのほうが圧倒的に売れましたね。フォードにとってもディーラーの利益改善に寄与したいい商品だったと思う。日本はソコソコ売れた。
■鈴木直也の評価 :70点
マツダがフォード小型車部門開発の中心だった時代に生まれた双子車。コラボというよりは、マツダが開発してフォードにOEM供給したというほうが正しいSUV。
SUBARU レガシィブリッツェン 合計点110点
■国沢光宏の評価: 20点
三菱のAMGと同じく、スバルのトライもうまくいかなかったんだと思います。その証拠に、ほとんど皆さんの記憶にないと思います。クルマはカッコよかったんだけどね。
■鈴木直也の評価 :90点
ポルシェデザインとのコラボという珍しいケース。いかにもドイツっぽいカタマリ感のあるデザインが印象的で、いまだに復活を望む声がある人気モデルでしたね。
アストンマーチン シグネット(トヨタiQ) 合計点105点
■国沢光宏の評価 :15点
アストンマーチンも顧客ニーズのため小さい高級車が欲しかったんだと思う。とはいえ、いろんな意味で007に似合わないクルマはアカンでしょう。
■鈴木直也の評価: 90点
好燃費の小型車を売ってCAFE(メーカー別平均燃費)の数字を下げたいアストンマーチンの要望にトヨタがiQで応えたコラボ車。シグネット単独では売ってもらえない売り方が珍しかった。
MITSUBISHI GTO(ダッヂステルス)合計点105点
■国沢光宏の評価 :30点
当時の日本車のスポーツモデルは、ヨーロッパ車を強く意識したモデルばかりでした。そんななか、GTOだけアメリカ風だったことを思い出します。
■鈴木直也の評価 :75点
GTOの開発は三菱主体だが、スポーツカーはコラボ車で台数を稼がないと採算がとりにくい。北米市場ではダッヂ版のステルスがGTO以上の台数を売り上げていました。
HONDA コンチェルト(ローバーとの共同開発) 合計点95点
■国沢光宏の評価 :25点
今になって思えばホンダもがんばったと思う。インテリアなどオシャレなクルマでしたね。ただ機械的な信頼性がイマイチで個性も薄めでした。
■鈴木直也の評価 :70点
ホンダがオースチンローバーグループを支援していた1980年代のコラボ車。メカ部分は100%ホンダだけど、レザー内装などインテリアの味付けに英国風味が感じられました。
オーテック ザガートステルビオ 合計点90点
■国沢光宏の評価: 5点
デザインからしてザガートの美しさや繊細さを感じさせない。日産のようなマスプロ生産メーカーとカロッツェリアの相性はよくないんだと思う。
■鈴木直也の評価: 85点
量産車をベースにカロッツェリアが独自のボディを架装する……。国産車でも1960年代まではこの手法で生まれたクルマがあったけど、1990年代にこれを復活させたのは珍しい。という意味で高採点。
MITSUBISHI ギャランAMG 合計点85点
■国沢光宏の評価: 10点
見た瞬間「なんで?」と思った。いろんな意味で三菱の親会社がベンツだったということのメモリアルかもしれない。クルマもきわめて普通です。
■鈴木直也の評価: 75点
ギャランAMGはエクステリアのモディファイだけではなく、専用チューンのNAエンジンが注目。バルブスプリングリテーナにチタン部品を使うなど、かなり本格的なモディファイだった。
MAZDA ロードペーサー/いすゞステーツマンデビル 合計点85点
■国沢光宏の評価: 25点
このクルマ、ほとんどみなさん知らないと思う。昔マツダはセンチュリーやプレジデント、デボネアのようなVIPカーを作っていた。そいつにいすゞも乗った。
■鈴木直也の評価 :60点
コラボというよりは、豪ホールデンからOEM供給された法人向け高級車。マツダ版は13BRE搭載で独自性があるが、いすゞ版は法規に合わせた手直しのみでした。
MITSUBISHI デボネアAMG 合計80点
■国沢光宏の評価: 5点
これは厳しかった。ギャランと違いエクステリアも大幅にAMGの意見を取り入れたのだろうけれど、宇宙船のようになっちゃいました。超稀少車です。
■鈴木直也の評価: 75点
今やAMGはメルセデスの一部だが独立チューナー時代はこんなこともやってました、という珍しい例。デボネア本体がレア車なのに、そのAMGバージョンはまさに珍車です。
TOYOTA ハリアーザガート(初代) 合計点80点
■国沢光宏の評価: 5点
やはりデザイン的に美しくない。もっと少量生産じゃないとザガートの持ち味は引き出せないいと思う。ザガートの安売りになってしまった。
■鈴木直也の評価: 75点
1990年代のザガートはチーフデザイナーを日本人が務めていたこともあり、日本車とのコラボに積極的。ハリアーは追加パーツによるモディファイだが、モデルチェンジまで行っていた。
■日本メーカー“コラボ”の歴史を振り返る。トヨタ2000GTはヤマハとのコラボで誕生した!
自動車メーカー同士の協業、つまりコラボレーションは最近になって始まったものではない。トヨタ自動車とヤマハ発動機の関係性は非常に古く、1964年末にトヨタとヤマハは共同プロジェクトとして2000GTの開発をスタートさせたのだ。
トヨタが2000GTに相当するスポーツカーを開発するというプロジェクトは前年より立ち上がっていたが、当時の経験値では独自での開発が困難だった。一方、四輪車開発の壁に行き当たっていたヤマハは日産との共同プロジェクトが頓挫しており、両社の思いが一致したことで2000GT開発への道筋がついたのだ。
具体的には、トヨタ側の開発チームがヤマハの開発拠点に常駐する形でプロジェクトは進行。車体デザインやシャシーの基本設計などはトヨタ側が主導し、エンジンや内装、シャシーの細部のチューニングなどにはヤマハの技術が投入されたが、「1台の市販型自動車としてまとめ上げていく」部分ではやはり多くの経験を持つトヨタの力が大きく寄与したのは言うまでもない。
2000GTはトヨタだけでは完成できなかったし、もちろんヤマハだけでも作り上げることはできなかったモデルだ。2000GT以降もトヨタとヤマハの関係は継続し、DOHCエンジンなど、トヨタの高性能エンジン開発にはヤマハの技術、ノウハウが大きく活かされているのは有名な話である。
■まだまだある! 意外なコラボ車!
文/ベストカーWeb編集部
国沢光宏氏と鈴木直也氏に挙げてもらった意外にもまだまだコラボ車はたくさんある! これは外しちゃいけないと思ったコラボ車を一挙紹介しよう!
ISUSU ハンドリングbyロータス&イルムシャー
1985年登場のFFジェミニはいすゞ独自の設計で、のちにGMの世界戦略車としてGMモデルも登場した。1986年には足回りのチューニングをドイツのイルムシャー社とコラボしたモデルを追加。イルムシャー仕様はジェミニ、ピアッツァ、アスカなどにも設定されることとなった。
また1988年にはイギリスロータス社と足回りチューニングでコラボした「ハンドリングbyロータス」を投入した。ジェミニやピアッツア、ビッグホーンにラインアップされた。
イルムシャー、ハンドリングbyロータスともに人気商品となった。勢い余ったのか、ISUSUの認定中古車ではアスカ・カゲムシャーやピアッツァ・ムシャブルイなどの商品化車を発売した。
■ありえないコラボが実現?! シャレード・デ・トマソ
マングスタやパンテーラなどエキゾチックカーを生産するイタリアのデトマソ社が、ダイハツとコラボして生まれたのがシャレード・デ・トマソターボ。なぜ世界のデ・トマソがダイハツへと疑問に思うが、ダイハツは当時、アレハンドロ・デ・トマソ氏が代表を務めるイノチェンティへエンジン供給(イノチェンティミニ・デ・トマソターボ)した関係でシャレード・デ・トマソターボが生まれたのだ。
■異業種合同コラボ「WiLL」プロジェクト
トヨタ、花王、アサヒビール、パナソニックなどの企業が参加した異業種合同プロジェクト、WiLLプロジェクトによってトヨタから2001年1月にVi、2001年10月にVS、2002年10月にサイファの3台が誕生した。
画期的な異業種コラボによるコラボ車だったが、クルマ以外の商品を含め、大成功とはいえず2004年には大多数の企業はプロジェクトを中止した。
■こんな意外なコラボもあった!
最後はアニメやウルトラマンとのコラボなど意外なコラボ車を紹介しよう。 これ以外にもハローキティ(三菱ミラージュ、ムーヴ、ミラジーノ)や阪神タイガース(ダイハツミラ、ekスポーツ&ekクラッシィ)、ディズニー(スマート)とのコラボ車なども販売されている。
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