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業界ニュース 2018.7.10

フレームの強化は走りに大幅貢献! 新型スズキ・ジムニー開発責任者インタビュー

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 オンロードでも体感できるジムニーの進化

“世界最強のオフローダー”スズキ「ジムニー」が7月5日、20年ぶりにフルモデルチェンジし4代目へと進化した。その誕生秘話や開発の狙いなどについて、チーフエンジニアの米澤宏之(よねざわひろゆき)さんに聞いた。

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──先代ジムニーを20年間作り続け、そして今このタイミングで世代交代した技術的、あるいは法規面での要因は?

米澤:歩行者保護の安全法規がメインですね、前面・側面衝突もありますが。

──今年6月15日以降の新型車に適用される、ポール側面衝突基準がとくに厳しいように思えますが、それで新型ではサイド&カーテンエアバッグを全車標準装備したのですか?

米澤:そうですね、それもあります。あとはエンジン、K6A型を搭載するのは先代ジムニーが最後になりました。

──排ガス・燃費基準がWLTCモードに切り替わると、K6Aでは厳しいですか?

米澤:できると思いますが、商用車を含め軽自動車のエンジンは全てR06A型に換わってしまいましたので、K6Aを再適合させるのは不要かなと。シエラの方は、海外のWLTCではエクストラハイ、135km/hまでをカバーするモードもありますので、全世界での販売を考慮して従来のM13A型より排気量が大きく、なおかつNAエンジンのK15B型にしました。

 ジムニーでなければ走れない道がある

──今回プロユーザーをメインターゲットにしたのはなぜですか?

米澤:「プロユーザー」とはつまり、ジムニーユーザーの中でもジムニーでなければ仕事に行けない、その道を走っていくことができない人、ということですね。海外でも森林組合、ハンター、電設業などの人は、ジムニーでなければ走れない道を走るわけですから、必然的にジムニーがまさに仕事に使うクルマになるわけです。 それは本当に山奥になるんですが、例えば地方でも坂がきつい、雪が深い、除雪がなかなか進まないような所でも走って行かなければならない人は、ジムニーでなければその地域の家にものを届けられないわけです。

あぜ道を走るキャリイにとって、小まわり性能が非常に重要なのと同じですね。そういう人たちにずっとジムニーに乗ってもらっています。 都心に住むユーザーは4Lモードをずっと使わないかもしれませんが、雪が降ったときや、年に2回キャンプへ行くときなどに、ジムニーの性能が役立ちます。 そうした使用実態を踏まえ、新型ジムニーにはイメージカラーを2つ、目立つ黄色(キネティックイエロー)と目立たない緑(ジャングルグリーン)を設定していますが、テーマのあるカラーというのはなかなか珍しいと思うんですよ。

──ラダーフレーム、縦置きFRレイアウト、副変速機付きパートタイム4WD、4輪リジッドサスペンション、5速MT&4速ATといったメカニズムは全て踏襲されましたが、その中でとくに重点的に進化させたところは?

米澤:まずはフレームですね。衝突安全性能ももちろんですが、安全安心かつ快適に移動できるようフレームを強化。さらにサスペンションの取り付けをしっかりさせ、ステアリングダンパーを新たに採用することで、操縦安定性と同時に乗り心地を良くしています。 悪路走破性についても、思わぬ大穴に遭遇した場合も安全に乗り越えられるよう、ブレーキLSDトラクションコントロールやヒルホールドコントロール、ヒルディセントコントロールを採用しました。

──先代に対する走りの進化は、オンロードの方が大きいですか?

米澤:オンロードの方が体感しやすいでしょうが、オンロード性能を良くしたことで、オフロードでの四輪の接地感もわかりやすくなっています。先代ではフレームがよじれていたところがよじれなくなりましたので、2WDでも気持ちよく走れると思います。

──ジムニーとジムニーシエラとで設計の差が大きくなったように思いますが、走りの味付けはどのように変えていますか?

米澤:コンセプトは両車で変わりませんので、味付けの方向性も変えてはいません。ただし欧州は最高速が高いので、シエラはその点も重要視し、トレッドを拡大しています。

──シエラはタイヤサイズが変更されています(205/70R15 95Sから195/80R15 96S)が、その理由は?

米澤:タイヤ全体の径を大きくすることで、サイドビューをしっかり見せつつ、悪路走破性上げたいという狙いからです。また、交換用タイヤの入手しやすさにも配慮しました。

──オフロードを走るための設計・セッティング上のポイントは、ほかにも何かありますか?

米澤:まずはオンロードを重点的に考えました。オフロードで傾斜や片輪が浮いた時にはESPで制御し、さらに4Lモード時にはブレーキLSDを入れて脱出性を高めています。オフロードという観点では、とくにESPの発進時の制御を走行モードごとに変えています。また、旧型はメカニカルスロットルでしたが、新型はエンジンが換わり電動スロットルになったことで、ESP作動時にスロットルも制御できるようになりました。

──オンロードでの快適性アップでは、どのような点で苦労しましたか?

米澤:とくにフレームをしっかりさせるところですね。そこが一番キーになっていると思います。先代のものを使いながら開発車両を仕立てて、目標を設定してから設計に入りました。フレームがしっかりすると取り付け点の剛性も上がり、スタビライザーやダンパー、スプリングのチューニングの幅も広がって、セッティングが取りやすくなりました。

──フレームは完全に新設計ですか?

米澤:ほぼ完全に新設計です。形状も溶接点も全然違います。さらにハイテン化で、衝突安全性能と剛性と軽量化を両立しています。

 スイフトにも採用する最新の安全装備を採用

──予防・衝突安全装備も大幅に充実しています。

米澤:スイフトなどに採用されているDSBS(デュアルセンサーブレーキサポート)を同じように搭載しています。最上級グレードはMT車も含め標準装備で、そのほかのグレードにもオプション設定しています。

──新型では運転席周りの設計が変更されたことで、トランスファーレバーが装着されたのに加え、トランスミッションの出っ張りが減って、左足を疲れにくい姿勢で置きやすくなったように感じられます。

米澤:そこは一番難しいところですね。エンジンの位置がほぼ決まると、トランスミッショントンネルもほぼ決まってしまうんですね。本当はあのトンネルを小さくしたいんですが、やはり必要な寸法は確保しなければなりません。そのせめぎ合いのなかで、「なんとか工夫をしてくれ」と開発陣にリクエストした結果が、新型の状態です。センターコンソールにスイッチ類を集約してドアトリムを薄くしたことも影響していると思います。

──トランスミッションのケース形状は変わっていないのですか?

米澤:エンジンの変更に合わせて取り付け面の形状は変えていますが、ほぼ変わっていません。ホイールベースが先代と同じですので、エンジンとトランスミッション、アクスルの位置もほぼ変わっていません。 また、新型では荷室の開口面積拡大やフラット化を重点項目に据えたのですが、それに伴ってフロントシートを旧型よりも後ろにスライドできるようにしました。リヤシートはそのぶん後ろに移動させています。

──先代に対する重量増は?

米澤:軽のジムニーは50kg、シエラは10~20kg増えています。シエラは先代のエンジンが重く、また新型ではオーバーフェンダーが樹脂化されましたので、その分重量増が少なくなっています。重量増の要因としては、フレームとボディですね。とくにボディが、先代は絞られた形状だったのに対し、新型は機能性重視ということで直線的になり、形状で剛性や衝突安全性能を確保しにくくなったため、より重くなっています。

──新型ジムニーの海外展開は?

米澤:先代は北米を除くほぼ全世界、192カ国で販売していました。新型も各国の法規に適合させ次第、順次導入します。欧州各国にはもちろん展開していきたいですね。

──先代は特別仕様車が多彩に展開されましたが、今後のバリエーション追加は?

米澤:特別仕様車は将来的には必要と思いますが、当面はカタログモデルだけで行けるかなと。市場の反響が大きければ、特別仕様車を出す以前に、カタログモデルだけで生産が手一杯という可能性もありますので。

──そうなることを期待しています。ありがとうございました。

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(WEB CARTOP 遠藤正賢)

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