一見すると、キレイにレストアされただけに見えるクリーム色のビートル。フォルクスワーゲンのアイコンともいえるモデルで世界中にファンがいるクルマだけに、レストアして乗っている人がいるのは珍しいことではないが、このビートルは単なるレストア車ではない。その中身は最新モデルにも勝るメカニズムとなっている。
なんと、日産リーフの再生バッテリーを用いた電気自動車に改造されているのだ。いわゆるコンバージョンEVである。ビートルの特徴ともいえる空冷・水平対向エンジンを降ろし、そこに100kW、235Nmのスペックを持つモーターを搭載。ベース車のトランスミッションを活かしているため変速を楽しむこともできるし、ギアを固定してATとして乗ることも可能となっている。
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そして、リアのエンジンフードを開けると縦置きされたモーターの左側に水冷インバータと、そのための小ぶりなラジエターが確認できるのがおもしろい。モーターの右側には充電口を置くが、これはJ1772という普通充電(200V)のデファクトスタンダードに則ったもの。つまり、コインパーキングなどの駐車場に設置された普通充電インフラを利用できるというのもポイントだ。
また、EV化した上でナンバーを取得して公道を走るには、しっかりと改造車検を通す必要が出てくるが、車検をクリアすることはオフィシャルにも認められたエコカーになる。そのため、年式が古いことによる自動車税などの重課、いわゆる「旧車増税」の対象外となるというのも、うれしいポイントだ。もっとも、電気自動車に改造するコストは250万円以上というから節税対策でEV化するというのは現実的ではなく、あくまでも愛車の命を永らえさせようというオーナーの愛情あっての改造になるだろう。
さて、このビートルをEV化したのは横浜にあるオズコーポレーション。過去に何台ものコンバージョンEVを製作した実績のあるプロフェッショナルだ。ビートルについてはEVに改造した状態での販売も行なっており、その場合は280万円~の価格となるが、いずれにしてもベース車が中古となるため価格は変動的だという。同社ではDIYでEVにコンバージョンして楽しみたいというユーザー向けの部品販売やサポートなども行なっている。海外では大人のクルマ趣味として、愛車をEVに改造しているユーザーも少なくないというが、必要なパーツがワンストップで入手できるようになると、そうした趣味を楽しむ人が日本でも増えていくかもしれない。
ちなみに、バッテリー電力量については、ビートルEVの場合、12kWh・24kWh・30kWhから選択でき、それぞれ航続可能距離は70km・120km・150kmとなる見込みだが、コンバージョンEVは実用性よりも、ヴィンテージなルックスと最新の電動パワートレインという組み合わせが生み出す新しい乗り味を楽しむためという部分が大きく、実用性にこだわる必要はないだろう。また、そもそもの車重が軽いこともあり、サスペンションやブレーキのキャパシティを考慮すると、大量のバッテリーを積んで重くしてしまうというのは、ヴィンテージカーの良さをスポイルすることになりかねない。
ビートルのようなヴィンテージカーは、もともとエアコンやパワステ、パワーウインドウといった電装パーツを備えていないため、コンバージョンに向いている。一方で先進安全装備が皆無な点は現代的なアップデートをするには課題となるが、オズコーポレーションでは後付の衝突防止警報システムも取り扱っている。警報だけのシステムだが、こうしたパーツも合わせて取り付けることで旧車のプリクラッシュ性能は向上する。
走行時にゼロエミッションで、安全性もアップデートしたヴィンテージカーは、従来の旧車ファンとは異なる、新たな市場を開拓する大いなる可能性を感じさせる。
オズコーポレーション
URL:www.o-z.co.jp
住所:神奈川県横浜市都筑区大熊町224-5
(文:山本晋也)
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