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クルマの税金は全部で9種類!? なぜこうなった?不可解な自動車の税金

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クルマの税金は全部で9種類!? なぜこうなった?不可解な自動車の税金

■クルマの税金は全部で9種類!?

 自動車の税金は不可解です。クルマの税金は全部で9種類もあります。なぜこんなにも増えているのでしょうか。

古いクルマに乗ることは「罪」なのか? 「自動車税のグリーン化」を考える

●クルマや燃料に課せられる税金は下記の9種類(※消費税は1つとみなす)

・車体課税(自動車取得税/自動車重量税/自動車税/軽自動車税/消費税)

・燃料課税(揮発油税/地方揮発油税/軽油引取税/石油ガス税/消費税)

 税制の変更で課税根拠を失った税金を存続させる一方、一定の燃費基準を達成した車種は、エコカー減税の名目で減税します。法的に考えれば、まずは法律に合った税金のあり方を実現させた上で、減税すべきですが、実際はそうなっていません。

 さらに古い自動車の税金を増額する不可解な制度もあります。今の自動車税制は、膨大な矛盾を抱えているのです。

 まず自動車ユーザーが負担する税金ですが、車両価格や販売店に支払う各種サービスの手数料には、「消費税」が含まれます。さらに自動車特有の税金として、登録(軽自動車は届け出)に際しては「自動車取得税」を納めます。登録とその後に車検を受ける時は、「自動車重量税」も徴収されます。「自動車税」ないし「軽自動車税」も毎年納めます。

 燃料にも消費税以外の税金が含まれます。ガソリンであれば、「揮発油税」が1リットル当たり48.6円、「地方揮発油税」が5.2円ですから合計53.8円です。ガソリン価格が1リットル当たり140円とすれば、本体+消費税は86.2円です。本体だけなら約80円まで下がります。ディーゼルエンジン車が使う軽油にも、消費税と32.1円の「軽油取引税」が含まれます。

 消費税と自動車税(軽自動車税)以外の税金は、すべて1950年代から1970年代にかけて、道路特定財源(道路の建設や整備を行う財源確保のための税金)として設定されました。「道路の恩恵を受けるのは自動車ユーザーだから、道路の建設や整備に必要な費用も、自動車の税金でまかなう」という受益者負担の考え方に基づきます。

 道路特定財源の制度は、2009年に廃止されました。そうなれば同制度に基づく自動車取得税や自動車重量税も、課税する根拠を失います。道路特定財源制度の廃止と併せて、これらの税金も廃止せねばなりません。

 ところが今でも「道路を造るから税金をください」と言いながら、道路への使用に限らない一般財源に切り換えて自動車ユーザーから徴税を続けています。

 この筋の通らない徴税を続ける理由を、国は「財政事情が厳しいから」としています。厳しい財政事情のフォローを自動車ユーザーに押し付けているのです。

 また「消費税率が10%に引き上げられた段階で、自動車取得税を廃止する」といわれますが、代わりに「環境性能割」(燃費課税)という新しい税金を導入するといわれています。

 そこで「環境性能割」について国土交通省に尋ねてみました。

「『環境性能割』の概要はまだ正確には決まっていませんが(おおむね取得税に似た内容とされています)、自動車ユーザーから徴収する税金の数は従来と同じです」とのことです。

 結果的には税金の名称が変わるだけなので、消費増税の分だけ、ユーザーの負担が増える可能性が高いといえるかもしれません。

 この点についてトヨタや日産の新車販売店にも尋ねてみたところ、「今の売れ筋車種は、ほとんどエコカー減税の対象車です。特に最近はハイブリッド車が増えており、購入時に納める税金の大半が免税(100%の減税)です。問題は2019年10月に予定される消費増税です。これは税込み価格を大幅に高めるので心配です」という反応でした。

■今の自動車税制は妥協案?

 国は道路特定財源を一般財源として残し、今後も自動車ユーザーから徴税を続けたいと考えているのです。

 ただし一方的に徴税するだけでは、自動車業界の反発が大きくなるので、自動車取得税と自動車重量税に適用されるエコカー減税と、自動車税のグリーン化特例を生み出しました。

 エコカー減税は、主に2020年度燃費基準の達成度合いに応じて、購入時の税金を減額する制度です。達成度合いの高い車種は、購入から3年後に車検を受ける時の自動車重量税も免税としますが、中心は購入時です。

 そのために道路特定財源の徴収を続けながら、新車の販売促進にも加担できます。国と自動車業界にとって、Win Winの妥協案が、道路特定財源の一般財源化とエコカー減税のセットといえるでしょう。

 この犠牲になるのは自動車ユーザーです。購入時点ではエコカー減税によって税金が減額されたり免税になっても、減税ないし免税期間終了後は本来なら納める必要のない「元・道路特定財源」をキッチリと徴税されます。

■残酷な二者択一を迫る今の自動車税制

 そしてさらに酷いのは、初度登録から13年を超えた古い自動車の増税です。13年を超えた乗用車の自動車税はおおむね115%に高まり、軽自動車税は最大180%まで増えます。

 自動車重量税も同様で、小型/普通車で見ると13年の経過が139%、18年を超えると154%に達します。

 国土交通省に増税の根拠を尋ねると「エコカー減税と同様で、環境性能の優れた自動車に乗り替えることを促進するのが目的です。13年という期間は平均耐用年数(自動車の平均寿命)と同等です」と説明しました。

 しかし新しい自動車に乗り替えさせることが、エコに繋がるとは限りません。自動車は製造/流通/使用/廃棄というすべての過程で、化石燃料を消費したり排気ガスや二酸化炭素を生み出すからです。

 そして何よりもこの増税制度では、古い自動車を使うユーザーの生活が無視されています。公共の交通機関が未発達な地域では、高齢者が13年を超えた自動車を使って、通院や買い物をしているからです。

 生活するために自動車が必要だから、仕方なく古い車両を使っているのです。この車両に重税を課して「多額の税金を納めるか、それとも新しい自動車を買うか、どちらかにしますか?」と残酷な二者択一を迫るのが、今の自動車税制といえます。

 国と自動車業界のことだけを考えて、最も尊重すべき人達を犠牲にする、福祉に逆行する税制といえるかもしれません。

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