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トヨタ グローバルの主軸エンジン ダイナミックフォース・エンジンは世界トップの最高熱効率と高出力を両立

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トヨタ グローバルの主軸エンジン ダイナミックフォース・エンジンは世界トップの最高熱効率と高出力を両立

2018年2月26日、トヨタは最新プラットフォームTNGA用の新2.0L 4気筒エンジンと組み合わせた新世代THS IIと、新開発トランスミッションを発表した。今回はまず新開発された2.0Lエンジンと、ハイブリッドシステム(THS II)に関する情報を集約した。

■トヨタの電動化、新世代エンジンの戦略

2018 STIマシンのエンジン、トランスミッションはどうなってるの?

トヨタの新たなパワートレーン戦略には電動化技術の拡大と、内燃エンジンの高効率化、CO2 排出量のさらなる削減という2つの柱がある。電動化技術の拡大については2017年12月に公表され、2025年までにグローバルで販売する全車種を、電気駆動専用車もしくは電動グレード設定車とし、その結果としてエンジン車のみの車種はゼロとすることがアピールされた。

また、2030年頃にはグローバル販売台数の中で電動車を550万台以上、ゼロ・エミッション車であるEV・FCVは、合わせて100万台以上を目指すとしている。

この電動化戦略ではハイブリッド車、PHVがメイン技術と位置付けられているので、2030年時点でもエンジンを搭載したモデルが主流である。

そのため、内燃エンジンの高効率化、低燃費&CO2削減も同時並行的に推進する必要がある。そしてこうした新世代エンジンはTNGA(トヨタ・グローバル・プラットフォーム)に適合させる方針で、TNGAと新エンジン群は、世界各地の工場で生産されることも織り込まれている。

そのため、新世代エンジンはモジュール設計を採用し、開発の工数を低減。TNGAに適合できるように多種類のエンジンやトランスミッションに統一性を持たせることにしている。そのためエンジン製造時の生産設備から加工基準まで、グローバル展開している全工場で統一し、高速かつフレキシブルな製造ラインとすることを目指している。

TNGAに合わせた新しいエンジン、トランスミッションは、エンジンの排気量、気筒数に関わらず搭載角度、搭載位置を共通化し、トランスミッションもエンジンとの結合部、搭載位置を共通化する。

そしてエンジンは2021年までに9種類/17バリエーション、トランスミッションは4種類/10バリエーション、ハイブリッドシステムは6種類/10バリエーションを展開するという。

グローバル市場で新型モジュラー・エンジンの搭載車を2021年までに60%以上にし、その結果として総CO2排出量は2015年比で15%以上削減できるとしている。

■ダイナミックフォース・エンジンのラインアップ

このような戦略の下で新たに開発されるエンジンには「ダイナミックフォース・エンジン」という名称が付けられている。この名称からもわかるように、高効率、低燃費を徹底的に追求すると同時に、ダイレクト感があり、滑らかで気持ちの良い加速性能を目指している。つまり走りと環境性能を両立させるエンジンとして開発されている。

このダイナミックフォース・エンジンの第1弾が、カムリに搭載されたA25A-FKS型、A25A-FXS型の2.5L 4気筒の自然吸気エンジンだ。

第2弾はレクサスLSに搭載されたV35A-FTS型の3.5L V6ツインターボだ。

■2.0Lダイナミックフォース・エンジン

そして、今回新たに発表された2.0L 4気筒の自然吸気エンジンが第3弾となる。この新エンジンは、ジュネーブショーで初公開したレクサスのコンパクトSUV「UX」を始め、今後登場する次期型カローラなど、幅広い車種に搭載され、グローバルで最も大量に搭載されるエンジンとなる。言いかえれば、新世代のダイナミックフォース・エンジンの中でも基幹エンジンであり、TNGA用のベースエンジンというという位置付けになる。

ダイナミックフォース・エンジンは、すべてモジュラー設計になっているが、その特長はボア・ストロークは排気量ごとに可変だが、ボア・ストローク比を一定にし、燃焼特性を統一していることだ。これにより各サイズのエンジン開発のスピード、開発コストを抑えている。

また、基本技術は、ロングストローク・エンジン、アトキンソンサイクル運転、大量EGRの使用、高圧縮比、高タンブル流を発生させることで高速燃焼を行ない、高い熱効率を追求すること、直噴+マニホールド噴射併用のD-4Sの採用などで、これらがダイナミックフォース・エンジンに共通して採用されている。



この新しい2.0Lエンジンは、先に市販された2.5Lエンジンと同様に、エンジン車用のベースエンジンと、ハイブリッド用の2種類が設定されている。

基本的なスペックは、1986cc、ボア×ストロークは80.5mm×97.6mmのロングストローク・タイプで、ボア×ストローク比は1.2。圧縮比は、ベースエンジンが13.0、ハイブリッド用は14.0といずれもレギュラーガソリン仕様ながら高圧縮比だ。

出力はベースエンジンが171ps/6600rpm、205Nm/4800rpm、ハイブリッド用は145ps/6000rpm、180Nm/4400rpm。なおこのエンジンは横置き搭載されるが、前方吸気・後方排気のレイアウトになっている。ほぼ同様の技術コンセプトを採用しているマツダのスカイアクティブG 2.0Lは156ps/199Nmで、出力、トルクともにこのダイナミックフォース・エンジンが上回っている。

このエンジンは、高効率・低燃費だけではなくパワー、トルクも追求しているので、吸気マニホールドはストレートタイプで、バルブ挟み角も従来より拡大しているが、燃焼室はコンパクトなペントルーフ形で、ピストン・トップはわずかな凸型になっている。

大流量のストレートな吸気マニホールドにもかかわらず、強いタンブル流を引き出すため、吸気ポートのバルブシート部にレーザー溶接クラッド(突起)を備えている。この突起で吸気流を剥離させ強いタンブル渦を発生させている。

吸気側カムシャフトは、アトキンソンサイクルを行なうため広角作動で作動速度の速い電動式可変カム(VVT-iE)、排気側は通常の油圧式可変カムを装備する。また、カムシャフト駆動はチェーン式だ。

動弁系は小型の油圧ラッシュアジャスターを備えている。またピストンはオイルジェットによる油冷式。そしてピストンは側面を鏡面加工し、レーザー加工によるクロス溝加工を採用し、その外側は樹脂コートにして低摩擦・焼つき防止を図っている。

冷却系は、電動ウォーターポンプとヒーター付きサーモスタット、可変容量オイルポンプにより冷却損失の低減と早期ウォームアップを行なう。またシリンダー間ドリル穴による冷却水通路を確保し、シリンダー間の冷却のばらつきを抑制する。

シリンダーヘッドにはEGRクーラーを一体化し、再循環排気ガスの温度を低減できるようにしている。もちろん低負荷時にはバルブのオーバーラップも最大化し、排気側から逆流する内部EGRも使用し、さらに外部からもEGRを加えるという大量EGRを使用することでストッロルバルブ開度を大きくし、ポンピング損失を抑制する。

このエンジンの最高熱効率はベースエンジンが40%、ハイブリッド用は41%と世界トップレベルの水準にあり、熱効率の高いゾーンも従来より大幅に拡大されている。さらに新開発のトランスミッションを採用することで、この熱効率の高いゾーンを有効に利用できるようにしている。

同時に、アクセルに相応するリニアで気持ち良い加速特性も実現しているとされ、グローバル市場を前提とした基幹エンジンにふさわしい仕上がりになっている。

■2.0Lエンジン+ハイブリッド

ハイブリッド専用にチューニングされたエンジンとTHS IIを組み合わせたハイブリッドも展開される。新しいダイナミックフォース・エンジンとTHS IIの組み合わせは、すでにカムリに採用されているが、今回の展開もその技術がベースになっている。

ハイブリッド・システムでは、パワーコントロールユニット(PCU)が刷新され、これまでのプリウスの1.8Lハイブリッド用より20%の小型化と10%の軽量化が行なわれ、トランスアクスル上にコンパクトに搭載されている。

トランスアクスルに内蔵されるモーターも改良され、出力は60kW(82ps)/207Nmから80kW(109ps)/202Nmへとより高出力・高速化が行なわれている。さらにモーターの改良や減速ギヤの改良により、従来のハイブリッドシステムより抵抗損失を25%低減している。

バッテリーは容量6.5Ahのニッケル水素式に変更はないが、従来のセル数168個、総電圧201.6Vからセル数180個、総電圧216.0Vにセル数と電圧をアップした。

そして、電池パックの構造の見直しと、冷却システムのコンパクト化により、コンパクトなサイズにまとめている。

この新しいハイブリッドシステムは、加速時の制御も改良され、高い燃費性能はキープしたまま、加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、アクセルの踏み込みに対してリニアで伸びのある加速感を実現しているという。



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