大風呂敷にあらず、トヨタが新型EVのコンセプトを発表
新年早々、1月7日(月)から12日(金)にかけて、アメリカのラスベガスで「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2018」が開催されました。いわゆる家電の展示会ですが、最近は自動運転技術関係なども最先端のエレクトロニクス技術を扱うということで、自動車メーカーやサプライヤーも競うように数多く参加するようになっています。
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そんな「CES2018」の最大の話題は停電でしょう。砂漠の街であるラスベガスに2日間も大雨が降ったため、雨漏りするホテルや展示会場が多数発生。さらに電気施設が雨にやられて、展示会場のホールが停電に。私(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)もプレスルームに荷物を置いて、なにげなく様子を見に外へ出たら、ホールがロックアウトされて戻れなくなるというトラブルに見舞われました。ちなみに停電もロックアウトも2時間ほどで解消されましたが、最先端の家電ショーで停電とは、まさに珍事でした。
一方、自動車関連で最も注目すべきものはトヨタの「e-パレット・コンセプト」。これは簡単に言ってしまえば、自動運転機能を備えた箱型のEV(電気自動車)です。
何がすごいかといえば、まず、そのコンセプトです。ただのガソリン自動車の代替品としてのEVではありません。「MaaS」と呼ばれる新しい考えのクルマです。「MaaS」は、「Mobility-as-a-Service」の略で、「サービスとしてのモビリティ」や「モビリティのサービス化」を意味します。乗り物を売るのではなく、移動をサービスとして売る。所有するのではなく利用するのです。
夢物語ではない、「e-パレット」が描くモビリティ社会の姿
具体的に「e-パレット・コンセプト」は、タクシーのように人を送迎するだけでなく、無人での配達や、移動店舗、移動オフィス、移動ホテルのように、さまざまな用途に使うことができ、基本的には個人向けではなく商用がメインとなります。低床・箱型で、全長4mから7mの、3サイズのモデルをラインアップ。「CES2018」で公開されたのは、全長4800×全幅2000×全高2250mmのものでした。
純粋なEVですが、マツダのロータリー・エンジンを発電機に使ったレンジエクステンダー仕様も存在するとか。レンジエクステンダー付きであれば、航続距離も相当に伸ばすことができます。また、マツダのロータリー・エンジンは、ガソリンではなく水素を燃料にして回すこともできますので、燃料を水素にすれば、さらにクリーンなモビリティとすることも可能です。
そして、もうひとつ驚くべきは、すでに「e-パレット・コンセプト」を利用するパートナーが決まっていることです。パートナーは、アマゾン、ピザハット、ウーバ(Uber)、ディディチューシン(Didi Chuxing)、それにマツダです。アマゾンとピザハットであれば、デリバリーでの利用でしょう。また、ウーバとディディチューシンは、世界的なライドシェアの会社ですから、こちらで利用するなら人の送迎となります。
コンセプトだけであれば、いくらでも大きな夢を語ることができますが、「e-パレット・コンセプト」は、すでにパートナーも確定済み。現実化を前提にした、ニュービジネスの発表だったのです。
売りものは「クルマ」から「移動」へ?
思い返してみればトヨタは、昨年秋の「東京モーターショー2017」で「すべての人に移動の自由を」と、ライドシェアなどに積極的な姿勢を見せました。昨年9月にはデンソーおよびマツダと組んで電気自動車を開発する会社を設立。12月にはパナソニックと車載用電池事業の協業の検討を発表。同じ12月には、新たなモビリティサービスの創造提供を行うトヨタモビリティサービス株式会社も設立。矢継ぎ早の動きの最後のピースとして登場したのが、「e-パレット・コンセプト」というわけです。
トヨタは、こうしたサービスを2020年代前半にアメリカをはじめ、さまざまな地域でスタートさせたいといいます。また、2020年の東京オリンピックには、一部機能を搭載した車両も登場させるとアナウンスしています。
世界各地で無人EVによる、新サービスがスタートすれば、世の中のクルマに対する見方にも変化が生まれることでしょう。呼べば自動で自分のもとに走ってきて、目的地まで送ってくれる。この新サービスが、便利で簡単で低コストであれば、当然、多くの人が利用するようになります。また、ライバルもトヨタの独占を許すわけもありませんから、競合するサービスが登場するはず。競争があれば、進化も進み、さらに便利に低コストになります。そうなれば、クルマは「所有するもの」ではなく、「利用するもの」という考えが広まる可能性は大きいでしょう。そしてその先では、自動車メーカーは「クルマを売る会社」ではなく、「移動を売る会社」となるかもしれません。
世の中を変え、自動車メーカーの存在意義さえも変化させる。そんなポテンシャルを持った発表が「e-パレット・コンセプト」だったのです。
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