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三菱「パジェロミニ」 本格志向の軽「パジェロ」が果たした役割とは?

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三菱「パジェロミニ」 本格志向の軽「パジェロ」が果たした役割とは?

軽自動車というカテゴリの、ガチの「パジェロ」

「パジェロ」や「RVR」などのヒット車でRVブームのけん引役した三菱が、気軽に乗れるRVとして、1994(平成6)年12月に発売したのが、軽RVの「パジェロミニ」です。

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 すでに市場には、ライバルとなるスズキ「ジムニー」が存在しましたが、「パジェロミニ」は、街中からアウトドアまで、幅広く使える乗り心地と使いやすさを追求したモデルでした。スタイルは3ドアボディのみで、三菱を代表する本格オフローダーの「パジェロ」の雰囲気を備えつつ、丸形のヘッドライトがキュートなマスクを持ち、生意気にもフロントバンパーにグリルガードも装着するなど、まさに「やんちゃ坊主」と呼びたくなる愛嬌のあるものでした。

 しかし、そこは「パジェロ」一族の末っ子らしくメカニカルな部分は、兄貴分の「パジェロ」で培ったノウハウが盛り込まれており、全車に新開発の4WDシステムを搭載。決して、なんちゃって4WDではなく、シンクロ機構付きトランスファーとフリーホイールクラッチ機能付きのフロントデフを備えることで、80km/h以下なら走行中にも2WDと4WDの切替を実現したほか、4WDは、HIとLOの2種類のギアを持ち、幅広い領域で4WDを使えるという本格的なもの。パワーユニットは、660 の4気筒エンジンを搭載し、52psの自然吸気仕様と64psのターボ仕様を設定。トランスミッションは、5速MTと電子制御3速ATから選択できました。

 さらにボディ構造も、普通車同様にモノコックボディではあるものの、フレーム構造の要素を盛り込むことで、強固で軽量なボディを実現。インテリアも機能性を追求したほか、電子方位計や高度計などを組み合わせたマルチメーターも設定するなど、まさに小さくとも「パジェロ」の世界観を見事に実現していました。

女子ウケ抜群、結果大ヒット! 新たな市場のパイオニアへ

「パジェロミニ」の愛嬌あるスタイルと機動力を示すべく、CMには、アニメキャラクターの「トム&ジェリー」が登場。そのコミカルなCMは、まさに「パジェロミニ」の姿を上手く反映していました。111万8000円からという手頃な価格も有り、「パジェロミニ」は、大ヒット。扱いやすくて頼りになる本物の性能、そして愛すべきスタイルから、特に女性からの支持を強く受け、より求めやすい2WD仕様車も登場。さらに基本を共有しながら、拡大されたバンパーやフェンダー、新開発の1Lエンジンを与えた「パジェロジュニア」が追加されたのも、この小さな「パジェロ」が新たな市場を開拓したことを物語るエピソードでしょう。

 ちなみに、「ジュニア」はその後、「ミニ」の派生ではなく、「小パジェロ」として開発し直され、1998(平成10)年に「パジェロ イオ」へと進化します。

 高い人気を誇りながらも「パジェロミニ」は、わずか4年弱の1998年10月に第2世代へと進化。これは、軽自動車新規格に対応が目的で、初代の良い部分を受け継ぎ継ぎながらボディのサイズアップと共に、衝突安全性能の向上が図られました。

実は最近まで売っていた…?

 フルモデルチェンジしてももちろん、愛嬌あるスタイルはしっかりと継承。2000(平成12)年には、20 30代女性をターゲットにした特別仕様車「スヌーピー・エディション」を設定するなど、2代目となっても女性ファンを持ちつづけました。

 わりと、最近まで売っていたような……と思ったあなたは正解。実は、2013年1月まで販売されており、13年の長きに渡る歴史の幕を閉じたのでした。その間、日産自動車へOEMも行われ、日産「キックス」の名でも販売されていました。

 ライバルとなる「ジムニー」のフルモデルチェンジがささやかれ出したいま、好敵手であった「パジェロミニ」の復活を夢見てしまいますが、他車とのプラットフォーム共用の難しさも生産終了の理由のひとつであったことから、現実は厳しいといえます。

 ただSUVブームの中、「パジェロ」でつちかったオフロード性能をもっと気軽に味わえる小型SUVがあっても良いのではないのと考えてしまうのも本音。そんな想いを駆り立ててくれる、最も身近で愛らしい「パジェロ」は、まさに小さな巨人といえる本物でした。



【写真】「パジェロミニ」のインパネまわり

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