国が建設 通行無料
東北中央道の福島大笹生(おおざそう)IC 米沢北IC間35.6kmが、2017年11月4日(土)15時に開通します。同時に、「米沢南陽道路」(米沢北IC 南陽高畠IC)も名称変更し東北中央道の一部に。東北道の福島JCTから米沢北ICを経て、南陽高畠ICまで約46kmが1本につながります。
日本最長約30kmの「私道」! 行き交うクルマも規格外、なぜできた?
今回開通する福島大笹生IC 米沢北IC間は、福島・山形県境にまたがる山間部に位置し、国道13号やJR奥羽本線(山形新幹線)と並走。国が整備した「直轄高速」として無料で通行でき、途中には米沢八幡原IC、米沢中央IC(いずれも山形県米沢市)も設けられます。どのような道路なのか、国土交通省東北地方整備局 山形河川国道事務所に聞きました。
――福島大笹生IC 米沢北IC間の開通により、交通はどう変わるのでしょうか?
福島 米沢間(福島大笹生IC 米沢八幡原IC間)の所要時間は、現状約40分から20分に短縮されます。米沢 山形間(米沢八幡原IC 山形JCT間)は、2018年に南陽高畠IC以北の未開通区間が開通すると、現状約60分が50分程度となります。
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現在、東北道を利用し東京から山形へ向かうには、村田JCT(宮城県村田町)から山形道を利用するルートが一般的です。東北中央道の未開通区間である南陽高畠IC 山形上山IC間を建設中のNEXCO東日本東北支社によると、福島JCTから山形市の最寄りICまでは山形道経由(山形北IC利用)で95kmですが、南陽高畠IC 山形上山IC間の開通後は東北中央道経由(山形中央IC利用)で80kmに短縮されるといいます。
いまなお「難所」栗子峠を貫く新トンネルの「実力」
今回開通する東北中央道の福島大笹生IC 米沢北IC間について、再び山形河川国道事務所に話を聞きました。
――この道路にはどのような特徴があるのでしょうか?
全線が片側1車線で、最高速度は70 80km/hとなっています。最大の特徴は、福島・山形県境を貫く全長8972mの栗子トンネルです。東北では最長、全国でも5番目に長い道路トンネルで、並行する国道13号よりも標高の低い場所に通しています。これにより急勾配や急カーブが緩和されるほか、複数のトンネルを通過していたのが1本になり、悪天候にも強くなります。
――現在の国道13号にはどのような問題があるのでしょうか?
国道13号の県境部は、連続雨量が180mm以上、降雪時風速が秒速16m以上で通行止めとなる「事前通行規制区間」に指定されており、悪天候による通行止めが年平均4回発生しています。10月23日(月)にも台風の影響で通行止めになったばかりです。ここが通行止めになると、たとえば福島から米沢へ向かう場合、北の宮城県白石市、七ヶ宿町を経由する国道113号に迂回しなければならず、通常1時間のところが2時間を要します。
加えてこの区間は、冬季における大型車の立往生が年平均で130台発生しており、じつに東北全体の約8割を占めます。これは特に福島側において顕著で、東京方面からチェーンを付けないで峠を上ってきた車両に多くみられます。東北中央道の開通により、冬季も安全な通行が確保できるようになります。
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山形河川国道事務所によると、栗子峠は昔からの「難所」だといいます。「現在の国道13号東栗子トンネル、西栗子トンネルが1966(昭和41)年に開通したときも、交通状況はかなりよくなりましたが、それから約50年が経ち、車両は大型化、高速化しています。今回の栗子トンネルは、時代の要請に沿ったもの」だと話します。
福島、山形、秋田を結ぶ東北中央道、全通するとどうなる?
そもそも東北中央道は、常磐道に接続する相馬IC(福島県相馬市)から福島、米沢、山形を経て、秋田道に接続する横手IC(秋田県横手市)に至る道路で、現在は細切れに開通している状態です。その整備効果について、国土交通省山形河川国道事務所は次のように話します。
「道路のリタンダンシー(多重性)が確保され、たとえ東北道が寸断されても、東北中央道から秋田など日本海側の高速道路を経由して青森に出る、といったことが可能になります。東日本大震災では太平洋側のルートが寸断され、日本海側から太平洋側にアプローチするルートの重要性が認識されましたが、そのような東北地方における“横軸”と“縦軸”の道路を相互に結ぶことで、広域的な通行経路の選択が可能になります」(山形河川国道事務所)
東北中央道のうち国土交通省が建設を進める区間では、福島県内の相馬玉野IC 霊山(りょうぜん)IC間17km、山形県内の大石田村山IC 尾花沢IC間5.3kmも、2017年度中の開通が予定されています。NEXCO東日本が建設中の南陽高畠IC 山形上山IC間24kmは、2018年度開通の予定です。
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