消費税及び軽自動車税の増税に反応した「先食い」も要因のひとつ
「軽自動車離れ」のトレンドが止まらない。乗用車と商用車を合わせた軽四輪は、2014年に227万2790台を販売したのをピークに、2015年は189万6200台、2016年は172万5460台となった。2017年に入ってからも前年同期比では98%台の数字で、着々と減少している。
【2年連続販売台数1位】ホンダの軽自動車「N-BOX」はなぜ売れ続けるのか?
2014年についていえば、同年4月1日からの消費税増税(5→8%)を目前とした3月の駆け込み需要が大きかったことが数字を伸ばした理由のひとつ。なにしろ、3月だけで30万2345台という単月としては歴代最高の数字を残しているほどだ。
さらに、2015年4月1日以降は軽自動車税が7200円から1万800円へと大幅増税されることで2年続けて3月に需要の先食いをしてしまったことが、翌年以降の前年比割れにつながっている面は否めない。
また、2016年には三菱・日産の軽自動車が「燃費不正問題」により一時的に販売休止となっていたことも年間販売を減らした理由のひとつだろう。
とはいえ、すべての軽自動車が低調というわけではない。軽ナンバーワンの人気モデル「ホンダN-BOX」についていえば直近2017年2月に1万9429台も販売している。登録車のトップが1万5958台のトヨタ・プリウスだから大差で総合1位を獲得している。
N-BOXといえばデビューは2011年と決して新しいモデルではない。むしろ2017年にもフルモデルチェンジが噂されているほどだが、それでも日本一売れているクルマなのだ。
つまり、ピンポイントで見れば「軽自動車は売れている」ともいえる。ユーザーのニーズはまだまだ強い。ただ、現実として全体としては軽自動車の売れ行きは下がっている。
統計データを見ていくと、商用車は前年比を超えているが、乗用車の売上が落ちている。この数字から、軽乗用車の不人気モデルが販売全体の足を引っ張っていると考えることができるが、それにしても2016年の落ち込みは説明しきれない。
もうひとつ言えるのは、販売スタイルの変化だ。かつて軽乗用車市場というのはシェア争いが激しく、現実的には販売店へのインセンティブ(販売報奨金)なしでは語れない状況だった。期間内に目標台数を達成するために、いわゆる「未使用車」と呼ばれるナンバーのついた中古車が多量に発生する原因にもなっていた。
そうしたインセンティブに対応した「未使用車」がゼロになったとは言えないが、徐々に減っていることも軽乗用車全体の縮小傾向につながっているのだろう。
2017年にはスズキ・ワゴンRがフルモデルチェンジした。また、前述したようにN-BOXのフルモデルチェンジも期待されている。そろそろ実力で「軽乗用車離れ」の流れを止めるタイミングが近づいているのかもしれない。
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