日本EV協会が主催し、毎年11月3日に開催(過去には別日程もあり)される「日本EVフェスティバル(筑波サーキット)」には、日本中からさまざまな自作EVが集まってくる。その中心はコンバートEVと呼ばれる、エンジン車のエンジンをモーターに換装したモデルなのだが、マシンのユニークさはどれも魅力的。今回はそうしたコンバートEVを中心に、日本EVフェスティバルで見かけたクルマ達を紹介していこう。
【電友1号】
1985年以前の懐かしいF1マシンだけが参戦できる「マスターズF1」が日本で初開催
まず紹介したいのが「電友1号」というフォーミュラカー。アメリカアリゾナ州フェニックで行われたEVレース「APS Electric 500」に参戦するため、日本EVクラブ会長・舘内端氏とその友人たちによって制作された電動フォーミュラマシンだ。レースではクラス3位に入賞。その後は「FIAカップ ソーラーカーレース」にも参戦している。
ベースは鈴木エンジニアリング製のFJ1600で、フロントウイングはF3000、リヤウイングはF3のものを装着。DCブラシ付きモーターを搭載し、バッテリーは鉛で60Ahのものを12個搭載している。しばらく不動となっていたが、EVクラブ員の有志によりレストアされ、今回のEVフェスティバルで走行が披露された。
【VIVIO-EV FR】
「VIVIO-EV FR」の名のとおり、スバル・ヴィヴィオ(前輪駆動)をベースにFR(後輪駆動)へと改造。搭載電池は鉛でモーターはブラシ付きDC。いかにも電動モデルという雰囲気を醸し出すセンターコンソールのスイッチ類が特徴的だ。
レースではクラス2位に入賞。今回のレースはスタート時のアクシデントで赤旗中断、レース時間が1時間から46分に短縮されたが、目標であったドライバー13人全員乗車(規定は5人の乗り替えが義務)を達成した。
【Yccm Mira 2018】
「Yccm Mira 2018」は、ダイハツ・ミラにオートモーティブエナジーサプライのリチウムイオンバッテリーを搭載、ブラシ付きDCバッテリーを採用する。
一昨年は鉛バッテリーを搭載してクラス優勝を果たしたので、今回はリチウムイオンに換装しクラス優勝を目指した。結果はトップに1周及ばずだったが、大健闘となった。
【千葉県自動車大学校EVシルビア】
「千葉県自動車大学校EVシルビア」は、新たにリチウムイオンバッテリーとブラシレスDCモーターを日産シルビアに搭載。モーターがキャビンよりに搭載され、従来エンジンが搭載されていた部分はがらんどうとなっている。クラス5位と順位は最下位だが、8台中3台がリタイヤしたなかで完走を果たした。
【YCCM RX-8】
「YCCM RX-8」は読売自動車大学校の生徒が卒業研究で開発した車両。マツダRX-8のコンセプトである4名乗りという部分を残したまま、EVコンバートとしてのパッケージングを実現させた。バッテリーはオートモーティブエナジーサプライ製でモーターはブラシ付きDCを使用。1時間耐久レースではクラス4位の完走を果たした。
【SIPパワーエレクトロニクスVITZ】
ヴィンテージカーやモータースポーツ車両のEVコンバートを手がけるSIPの「SIPパワーエレクトロニクスVITZ」は、新規デバイスの実証実験をかねてトヨタ・ヴィッツをベースにしたマシンで参戦。
残念ながら8周でリタイヤとなってしまった。来年に期待したい。
【Twin-EV】
「Twin-EV」は櫻星超能電池と東京自動車大学校との共同制作。一般的にEVコンバートはマニュアルミッションモデルをベースに行うが、このスズキ・ツインはATモデルがベースだ。あえて難しいと言われるAT車とのマッチングに挑戦した意欲作。見事にクラス3位入賞を果たした。
【EVロードスター】
東京マツダの有志によって結成されたEVプロジェクトチームによって製造。この「EVロードスター」は、リチウムイオン+ブラシ付きDCモデルだ。かつてマツダのディーラーからは、マツダスピードが生まれ、そしてそれがル・マン優勝への第一歩となった。そのスピリットを感じるプロジェクトといえそうだ。
【GTO-ツインバッテリー】
三菱GTOをベースに軽量化に挑戦したという「GTO-ツインバッテリー」。新車発売当時には、前軸荷重が1トンもあると言われたモデルをどうカスタムしたのか興味津々で見させてもらうと、ボンネット内はドンガラ状態に。すなわちバッテリーなどはすべてトランクに搭載され、ブラシ付きDCモーターはフロア下に収められていたが、カバーがなく回転部分が露出していること言うことで、今回は残念ながらデモ走行のみとなった。
この時点では車両は未完成だったが、完成後は非常に楽しみな1台だと言えよう。
【自動運転カート】
今回で第3回目となる自動運転カートによるタイムアタックが行われた。前回までは担当者がカートに寄り添ってコース上を歩く姿が受けられたが、今回はピットエリアから出たのは起動スイッチを入れるのみが目的。
ちなみに、GPSに制御で進化。81号車は約11分半、平均時速約5.5km/hでコース1周を達成し、82号車は残念ながらコースアウトでリタイヤとなってしまった。
【TSF-18E】【KF-04EV】
「何でもEV展示」には2台のバギーのようなモデルが展示され、デモンストレーション走行も披露された。このモデルは「学生フォーミュラ」と呼ばれるもので、自動車関連が学校や大学などで、実習ために制作されたフォーミュラマシンである。
ゼッケンE-13のトヨタ東自大の「TSF-18E」は快調に走ったが、ゼッケンE-7のKURAFT「KF-04EV」は、1コーナー先で停止、リタイヤとなってしまった。
【KPCEV-07】
「何でもEV展示」には栃木県立鹿沼高校物理部が製作した「KPCEV-07」はキックボードのようなスタイルの折りたたみ式EV。ブラシレスDCインホイールモーターを採用、バッテリーはなんとパナソニック製のエネループを使用した。使わないときは折りたたんで持ち運びもできるそうだ。
【ツインモーターキッズERK】
日本EVクラブでは子供向けのプロジェクトとして子供向けの電動カートを使った勉強会を行っている。そうしたなかで生まれたモデルがこの「ツインモーターキッズERK(エレクトリック・レーシング・カート)」。レーシングカートもゴーカートも、リヤのシャフトは1本で左右輪は結合されているが、この「ツインモーターキッズERK」は、左右輪を分離それぞれにモーターを取り付けている。モーターを並列に接続することで、コーナリング時のトラクションも上手に稼げるという。また、リヤ左右がつながっていないことでハンドル操作もビックリするぐらいに軽くなっているという。
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