「トヨタの最高級車、ショーファーカーのセンチュリーにSUVの新モデルが登場するのか」とウワサされていた新型センチュリーが登場した。そうしたトヨタ車のダイバシティー(多様化)はしかし、今に始まったことではない。直近では、新型クラウンがそうであった。何しろ、クラウンのロイヤルカスタマーを驚かす、クロスオーバーモデルを第一弾として発売し、セダン、スポーツ、エステート(ステーションワゴン)をラインナップ。クラウンはセダン(と、過去にはエステートも存在)という概念を覆す展開であり、まさにクラウンの多様化そのものだった。
センチュリーSUVはSUVにあらず?
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クラウンクロスオーバー
が、新型センチュリーがSUV・・・というのは、じつは間違いだ。前後2つのモーター(フロントモーター+後輪側e-Axle)と、V6 3.5Lエンジンを組み合わせたPHEVであることにも驚かされ、そのエクステリアデザインはこれまでのセンチュリー以上の迫力、押し出し感あるもので、超高級SUVと呼べるベントレーのベンテイガやロールスロイスのカリナンにイメージは重なる。とはいえ、新型センチュリーの開発陣は決してセンチュリーのSUVを作ろうとはしていない、というのである。
新型センチュリーの発表会では「新しい世代の台頭もあって、センチュリーにもチェンジが必要。次の100年へのセンチュリーが必要であり、継承と進化、匠の技を日本の伝統美とともに唯一無比の存在として、多様なニーズに応える日本車のフラッグシップを目指した」と説明されていた。
さて、新型センチュリーの堂々としたボディサイズを見てみよう。先に、新型センチュリーの登場を機にトヨタのHPにセンチュリー(セダンタイプ)と表記される従来のセンチュリーのサイズを紹介すると、全長5335×全幅1930×全高1505mm WB3090mm、最低地上高135mm。定員5名。室内長2165×室内幅1605×室内高1185mmだ。パワーユニットはトヨタお得意のハイブリッドで、駆動方式は伝統の後輪駆動となる。
センチュリー(セダンタイプ)
センチュリー(セダンタイプ)
一方、新型センチュリーのボディサイズは全長5205×全幅1990×全高1805mm WB2950mm、最低地上高185mm。50mm。定員4名。室内長2145×室内幅1605×室内高1245mm。パワーユニットは前後2つのモーター(フロントモーター+後輪側e-Axle)と、V6 3.5Lエンジンを組み合わせたPHEVとなる。
“SUVと呼ぶなかれ”の新型センチュリー
新型センチュリーの全高1805mmはたしかにクロスオーバーSUVのカローラクロスと同等で、最低地上高185mmはコンパクトクロスオーバーモデルのライズと同じ。四輪駆動でもあるのだが、だから新型センチュリーがSUVと決めつけるのは、すでに説明した通り、間違いなのである。
つまり、乗降性と後席2人掛けとした車内の居住性、快適性を追求した結果、最低地上高185mmと全高1805mmに導かれたことになる。スポーツカーの乗降性が示すように、フロア、シートの位置はむしろ低いほうが乗降はしにくい。適度な高さにフロア、シート位置があり、全高に余裕があるほうが乗降性に有利なのである。そして室内空間は分かりやすい。天井が高いほうが解放感があるのは当然で、居住性、快適性が高まるのは、ミニバンの新型アルファードを見ても明らかだろう。とくに新型センチュリーに想定外のスライドドア仕様が発表されたことからも、センチュリー(セダンタイプ)以上に、乗降性に気遣っていることは間違いないところ。そのスライドドアを成立させるためにも、1805mmという、ホンダ・オデッセイ(全高1820mm)に近い全高は不可欠の要素だったと推測できる。
後席が4人乗り、つまりセパレートタイプのシート(乗車定員4名)である点は、センチュリー(セダンタイプ/乗車定員5名)と大きく異なるパッケージの考え方だ。
しかも、リヤスライドドアの設定はもちろん、後席の快適性、居住性に関してSUVではまずない77度のフルリクライニングが可能である点、ラゲッジルームの広さにあまりこだわっていない点、キャビンとラゲッジルームの間に、通常、SUVにはない隔壁(静粛性にも貢献)があるところも、新型センチュリーが”SUVではない”ことの証明ではないだろうか。ちなみに新型アルファードのエグゼクティブラウンジ仕様のシートリクライニング角度は70度であり、新型センチュリーの後席リクライニング角度はそれよりあり、よりリラックスできるということだ。
もちろん、PHEVゆえ、AC100V/1500Wコンセントも完備。車内での仕事、趣味の没頭にも役立ってくれるに違いない。
よって、新型センチュリーはどこかSUVの臭いは感じさせるものの、決してセンチュリーのSUVではなく、車体の堂々感の演出はもちろんのこと、乗員の快適性、とくに後席の居住性に徹底的にこだわった結果として、最低地上高185mm、全高1805mmが与えられた、ウルトララグジュアリーでありながら悪路走行にも特化したレンジローバーとは立ち位置がまったく違う、時代とユーザーの多様化に対応したカテゴリーレスとも表現できる、日本車の、日本のフラッグシップカーとした誕生したことになる。“SUVと呼ぶなかれ”の新型センチュリーである。
新型センチュリー
文/青山尚暉
写真/トヨタ
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みんなのコメント
コンバーティブルにもできるようだから、ユーザーのわがままにどこまで応えられるか。提案できるかが肝だと思う。
コストダウン
そして価格は2800万円
こりゃ儲かりまっせ