初代ディフェンダーがデビューしたのは1948年。以来、2016年まで70年近くも生産された超長寿モデルが、フルモデルチェンジを受けて新型として生まれ変わった。初代モデルは農場や作業現場で、あるいは移動診療所として大活躍した元祖"はたらくクルマ"だった。はたして2代目は、いかなるモデルに仕上がったのか。
この程度の勾配なら苦もなく登る。
圧倒的なオフロード性能新型ディフェンダーの試乗会会場は、ちょっとした興奮に包まれていた。「マジで買う」と、評論家たちが顔を紅潮させているのだ。実は、筆者も同じ気持ちだった。では、ディフェンダーのどこがそんなにすごいのか。まずはオフロードセクションのインプレッションからお伝えしたい。
ディフェンダーのモデルチェンジにあたっての大きなトピックは、悪路に強い屈強なラダーフレーム構造を、ほとんどの乗用車が採用するモノコック構造に変更したことだ。ちなみにメルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラーは、ラダーフレーム構造にこだわり続けている。したがってマニアからは、「ディフェンダー、日和ったか」という声も聞かれた。ところが─。
ディフェンダーは絶壁のようにも見える登り勾配を、壁面にへばりつくスパイダーマンのように登り切り、凸凹路では大きくサスペンションを伸び縮みさせながら、匍匐前進する。悪路でもボディはミシリとも言わず、ドライバーは片手ハンドルの鼻歌まじりだ。モノコック構造になっても、悪路での走破性能は圧倒的だ。
「それほどの走破性能は日本では不要」という声はごもっともです。しかしですね、この能力の高さを経験すると、600m防水のダイバーズウォッチを眺めるときのようにニヤリとしてしまう。銀座の中央通りを流していても、じぶんのなかの冒険心を感じることができるのだ。
街中では快適さに驚愕とはいえ、それだけなら「マジで買う」というほど盛り上がらない。「いいクルマ」と「じぶんが買うクルマ」との間には、深くて暗い河がある。オフロードを離れて街に出ると、「こいつと暮らしたい!」という強い思いが湧いてくる。
興奮のあまり順序が逆になってしまったけれど、簡単に新型ディフェンダーのラインアップを解説しておきたい。まず日本に導入されるのは、5ドアボディのロングホイールベース版の「110」。追って、「110」より435mm短いホイールベースに3ドアボディを組み合わせる「90」が導入される予定だ。エンジンは、現状では2ℓの直列4気筒ガソリンターボのみ。これからディーゼルやハイブリッドが追加される予定。
街中でまず感じるのが、圧倒的な乗り心地のよさ。4本の足が、太極拳の達人のように大きくゆったりと動き、路面からのショックを角のとれた丸いものに変えてしまう。「110」に標準装備されるエアサスペンションが効果的に機能している。しかも乗り心地には不利に働く、雪道や未舗装路も想定したオールテレインタイヤでこれだけ快適とは、びっくりのひと言だ。
極低回転域から力を発揮する2ℓ直4エンジンと、シームレスに変速する8速ATの組み合わせは、大柄なボディを粛々と上品に走らせる。これだけ上出来だと、レンジローバーを食っちゃうのではないかと余計な心配をしたくなる。
機械としての出来がこれだけいいうえに、刷新された内外装のデザインには新しい時代に接する喜びがあり、フロントマスクにはロボコンのような愛嬌もある。世界的に品薄状態が続いているというのも納得だ。
比べるならこの2台ジープが師匠でゲレンデがライバル 第2次世界大戦で目覚ましい活躍を見せたのが米軍のジープだった。ジープに刺激を受けて、イギリスではランドローバーがディフェンダーを、ドイツではメルセデス・ベンツがGクラスを開発した。つまりディフェンダーから見ると、ジープが師匠でGクラスがライバルということになる。
ジープの末裔となるジープ・ラングラーと、メルセデス・ベンツのGクラスは、ともに2018年にフルモデルチェンジを受けた。そしてどちらも、伝統のラダーフレーム構造を継承した。はしご型の屈強なフレームにサスペンションなどを取り付け、そこにボディを被せるのがラダーフレーム構造。走行中の衝撃をラダーフレームががっちりと受け止めるため、悪路に強く、耐久性にも優れる。一方、卵の殻のようなモノコック構造は、衝撃を分散できるという利点がある。
モダンで快適になったメルセデス・ベンツGクラス
現行のGクラスは、先代に比べて大幅に乗り心地がよくなっている。そのポイントは、フロントサスペンションをリジッド(固定式)から独立懸架のダブルウィッシュボーンに改めたこと。もうひとつ、ステアリング形式を従来のボールナット式から現代的なラック&ピニオン式に変更したことが、ドライブフィールのモダン化につながった。見た目をキープしつつ、中身は刷新された。
頑固一徹を貫くジープ・ラングラー
現行のジープ・ラングラーは、先代モデルと並べて"間違い探し"をしなければ違いがわからないぐらい、エクステリアデザインを変えなかった。走らせてみても、圧倒的な悪路での強さは変わっていない。悪路でも乗り心地がいいのがこのクルマの特徴で、悪路を数時間、場合によっては何日も走る、本気の人向けのモデルだ。ただしインテリアは現代的になっており、使いやすくなった。
LAND ROVER DEFENDERディフェンダー110のラインナップは、「ディフェンダー」(589万円~)、「ディフェンダーS」(663万円~)、「ディフェンダーSE」(732万円~)の3グレード構成。オプションで3列シートを選ぶことができる。
SPEC 全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm
ホイールベース:3020mm 車両重量:2240kg
エンジン排気量:1995cc 最高出力:300ps/5500rpm
最大トルク:400Nm/2000rpm
乗車定員:5名(オプションの3列シートを選べば7名)価格:¥5,890,000~(税込)
Photos エリック・ミコット Eric Micotto
Words サトータケシ Takeshi Sato
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