■「ハイエース」は壊れにくい! 絶対的な耐久性が人気の秘密?
いまアウトドアブームの盛り上がりもあって、「キャンピングカー」への注目度が急上昇しています
トヨタが新型「ハイエース」を発売! 239万円から 全車で安全装備を強化
軽自動車から大型バンのキャンピングカーまでさまざまなモデルがあり、ベッドやシンク、トイレなどが装備されたコンプリートカーでなくても、車中泊に不自由ない装備を備えた「キャンパーカスタム」も人気です。
バンをベースとしたキャンピングカー=バンコンに共通することとして、トヨタ「ハイエース」が用いられることが圧倒的に多いという点が挙げられます。
1967年に初代が誕生したハイエースは、キャブオーバー型のバン/ワゴンとして50年以上の歴史を持っています。
現行モデル(H200系)は2004年にデビューし、3回のマイナーチェンジとほぼ毎年のようにおこなわれる一部改良によって中身を進化させていますが、プラットフォームなどの基幹部分は20年近くも変わらぬ超ロングセラーモデルです。
もともと商用車として開発されたこともあって耐久性と積載性に特化させた作りになっており、これが商用はもちろん、釣りやサーフィンなどアウトドアの趣味やキャンプなどの装備の積載に適していることから乗用としても人気となっています。
一方、ハイエースのライバルとして日産「キャラバン」があります。初代モデルは1973年に誕生。車格もスタイルもハイエースと同等で、現行型は2012年に登場した5代目にあたり、2021年10月にはガソリン車、2022年2月にはディーゼル車のマイナーチェンジが実施されました。
現行ハイエースより後にも登場したことから作りも新しく、環境にも配慮した燃費基準を達成するなどクルマの完成度としては引けを取っていません。
キャラバンとハイエースはほぼ同じ装備や車格で、価格差もあまりないのに、なぜキャンピングカーのベースとしてハイエースが圧倒的に支持されているのでしょうか。
自身もハイエースを所有する、業界関係者のY氏に話を聞いてみました。
「ハイエースの強みは圧倒的な耐久性です。カスタムをするということは全体のバランスを崩してしまうことでもあり、何らかのトラブルを抱えやすいのですが、それでも壊れにくいという絶対的な信頼性がハイエースにはあります」
ハイエースの使い方やカスタムにはいくつかの特徴があり、商用車として仕事で使うユーザーはもちろん、エアロなどでスポーティに仕上げる外観重視、キャンパー仕様を望む人は内装を重視するという具合です。
絶対的な耐久性によってさまざまなニーズを受け止めることができる懐の深さにより、キャンピングカーに仕立てるときにも自由度が高いハイエースが選ばれるというわけなのです。
また、Y氏はハイエースのモデルサイクルの長さが、数多くのカスタムパーツを製作するアフターマーケットには有利に働いているといいます。
「プロショップはオリジナルパーツの開発で生計を立てる部分があり、売れるものを作るのが当然です。
せっかく開発したパーツが頻繁なモデルチェンジでフィットしなくなってしまえば、開発コストの回収もできません。
必然的にモデルサイクルが長いモデルのほうがたくさんのノウハウを蓄積でき、パーツの開発もしやすくなるという事情もあります」(業界関係者 Y氏)
つまり、ハイエースはモデルサイクルが長いからこそ、カスタムやパーツの熟成がより進むということのようです。
それなら登場から10年が経過するキャラバンも十分にモデルサイクルは長いと思うのですが、そこに影響してくるのがリセールバリューを含めた市場人気。このリセールバリューに関しても、ハイエースの人気はかなり強いのだそうです。
「ハイエースは人気が高くてリセールも期待できるうえに、モデルサイクルも長い。決してキャラバンが劣っているわけではないのですが、性能や新車価格が同等であれば、カスタムのベースとしてもより人気が高いモデルを選ぶでしょう。
そしてショップ側も人気車種を中心にパーツ開発をおこなうことから、結果として、人気車種のカスタムパーツが豊富に出回り、それがさらにそのクルマの価値を押し上げるという好循環が生まれているのです」(業界関係者 Y氏)
■ハイエースキャンパーに必須のアイテムは何?
以前のハイエースのカスタムは、ローダウンやエアロパーツ装着など外装重視の傾向が強かったのですが、最近は、外観はほぼノーマルで、内装にこだわりのカスタムを施すキャンパー仕様が人気だそうです。
実際、キャンピングカーのコンプリートモデル(フルカスタムした状態で販売されるクルマ)の約3分の1がハイエースバンをベースとしており、コンプリートモデルまではいかなくても、車中泊やアウトドアに最適な装備やカスタムをしていくのが現在の主流となっています。
「キャンピングカーのコンプリートモデルはやはり高額で、1000万円以上というものもあります。
そこまで一度にお金は出せないけれど、好きなパーツを選んでコツコツと仕上げていき、最終的に自分の目指すキャンパー仕様に仕立てる人が増えています」(業界関係者 Y氏)
キャンパー仕様のハイエースで欠かせないアイテムとして、車中泊で快適に過ごすためにも「FFヒーター」は必須だとY氏はいいます。
FFヒーターはエンジンをOFFにしても稼働でき、かつクルマの燃料タンクから燃料を共有できる別働のヒーターです。
キャンプ地は冬でなくても気温がグッと下がることが多く、夜間の車内を快適に過ごすためにも外せない装備です。
「キャンプでは、車内で快適に過ごすための寒さ対策と暑さ対策をどう構築するかがポイントになります。
電源が確保されたオートキャンプ場ならともかく、大自然のなかでは常にエンジンをかけておくわけにもいかないので、そんな状況でも車内を半袖で過ごせるほど暖かくなるFFヒーターは、車中泊には欠かせない装備のひとつです」(業界関係者 Y氏)
そのほかにも、冷蔵庫と電子レンジはキャンプにあると便利です。ただし冷蔵庫は24時間稼働させるため、かなり電力を消耗するのがネックですが、キャンプでの調理は一大イベント。食材を新鮮に保つためにも、冷えたビールのためにもぜひとも揃えたい装備だそうです。
「もうひとつ欲しい装備は『フラットベッド』です。基本的にハイエースは荷物積載用をバン、4列シートなどで人員運搬用モデルをワゴンと位置付けているのですが、バンでも純正のシートではアレンジしても完全にフラットとはいえません。
そこで完全にフラットな床面になるフラットベッドを装備する人が多いです。
最近はボックス型で収納も考えたものもあり、車内の荷物整理と快適な睡眠スペースの確保を両立してくれます」(業界関係者 Y氏)
ちなみに、多くのキャンピングカーが税金面で安くなるといわれる「8ナンバー(特殊用途自動車)」を取得していますが、キャンパーカスタムでは登録変更するために必要な装備一式を搭載するほどお金をかけるメリットは少ないそうです。
丈夫で広い車内空間を持つハイエースだからこそ、あまり手をかけなくても十分キャンパーとして活用できるのでしょう。
「個人的には、キャンプする場所によっては悪路を走行することもあるので、燃料費が安く燃費のいいディーゼルエンジンと4WDの組み合わせがおすすめです。
それにキャンパーカスタムは、自分の手(予算)が出せるところから仕上げていけばいいですし、外観はノーマルだっていいんです。
そんな振り幅の広さもハイエースの人気の秘密だと思います」(業界関係者 Y氏)
※ ※ ※
長く乗っても壊れない耐久性と、中古車市場でも安定した人気を誇るハイエースはカスタムしなくても十分楽しめますし、アフターマーケットからリリースされる豊富なパーツを自分なりに組み合わせてカスタムする楽しみもあります。
ハイエースのキャンピングカーの購入を検討しているのであれば、一度レンタルしてみることをおすすめします。
自分にとって何が必要で、どんなカスタムにしたいかが見えてくると思いますし、何よりワイドボディのロングなどはかなりの大きさになることから、駐車場での取り回しやサイズ感を購入前に体験しておくのが良さそうです。
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みんなのコメント
後発のキャラバンの方がクルマとしての性能は高いが、モデルサイクル長いのと、天下のトヨタ故の販売力の差から、カスタムパーツが豊富でありユーザーには利点が多い。
リセールも購入価格からしたら言うほどではない。
ハイエースが人気で売れたら、在庫切れでキャラバンも代用で売れる。
購入価格、値引き踏まえたらもっと差は縮まる。
当たり前のこと。
性能や耐久性の差は日本で感じることは通常ない。
ハイエースが良いから皆さん選んでるだけです。
逆に後発の日産は、もっと良い車を出して欲しいかったですけど期待を裏切られましたね。