写真以上に衝撃的なカタチ 質感は高い
三角定規と鉛筆だけでピックアップトラックを描いたら、テスラ・サイバートラックのようなカタチが生まれるかもしれない。イーロン・マスクのアイデアへ、誰も反対しなかったのだろう。斬新な姿のまま、アメリカのショールームへ並び始めた。
【画像】「ビースト」は3モーターで845ps テスラ・サイバートラック 競合クラスの剛腕EVたち 全135枚
鋭角なエッジだらけだが、北米では合法的に販売が許可された。キャッチコピーには、どんな惑星でも走れると書かれている。殆どが液体と気体の、土星は無理だと思うが。
イーロン・マスクは宇宙人だ、という説もある。彼の故郷では、これがフォードF-150のような存在なのかもしれない。
冗談はこのくらいにして、凄いカタチのサイバートラックの走りが、筆者は以前から気になっていた。英国や欧州では、衝突安全性を理由に販売が許されていない。しかし、大西洋の向こうでは既に公道を走っている。
実際の見た目は、写真以上に衝撃的。筆者は最後まで馴染めなかった。ボディは隅々まで平面的で直線的。角が尖り、似たモデルが思い浮かばない。タイヤが付いていて、窓ガラスがあるから、クルマだと思える感じ。
見慣れないモノへ否定的な気持ちを抱くことは、珍しいことではない。しかし近寄ってみると、その独自性と質感の高さには唸ってしまう。
品質の不備を指摘した動画などをネットで目にするが、少なくとも試乗車の仕上がりは良い。ちなみに今回の1台はテスラの広報車ではなく、とある協力者からお借りした、通常の量産仕様だ。
スペースX由来のステンレス 見慣れた雰囲気の車内
ステンレス製のボディパネルは、折り目などを境に分かれている。これは、意図的なデザインとのこと。ステンレス材は、イーロンが経営するスペースX社が採用している素材の派生版で、塗装仕上げの一般的なボディより耐久性は高いという。
ガラスは、112km/hで飛んでくる野球ボールが当たっても割れないとか。あいにく、今回は野球ボールを持っておらず試せなかった。フロントガラスは驚くほど巨大。シングルワイパーの長さは、150cm以上ある。
ドアハンドルはなく、センターピラーへカードキーをかざすとドアが開く。姿を表すインテリアは宇宙船のよう、ではなく、意外にも見慣れた雰囲気。テスラらしくミニマリスティックで、18.5インチのタッチモニターがダッシュボード中央に鎮座する。
ステアリングホイールは四角く、機械的に繋がっていない、バイワイヤ制御。車内には殆どボタン類がなく、ドライブやリバースを選ぶのも、タッチモニターを介して行う。ただし、クラクションのボタンは一般的な場所にある。
リアシート用に、センターコンソール後端には9.4インチのモニター。エアコンの操作や、ネットフリックスの鑑賞などができる。ドアパネルには、大きなポケットがある。
内装は、カーペットで覆われたダッシュボードの奥側以外、全体的に上質。センタートンネルがなく、大面積のパノラミックガラスルーフのおかげで、車内は開放的だ。
サイバービーストは3モーターで845ps
北米仕様のパワートレインは、今のところ2択。お手頃な方はデュアルモーターと呼ばれ、合計で600psと72.4kg-mを発揮する。0-100km/h加速は4.1秒で、最高速度は180km/hに設定される。
その上にあるのが、今回試乗したサイバービースト。リア側のモーターが2基になり、845psと119.2kg-mへ上昇する。最高速度は209km/hと驚くほどではないが、0-100km/hダッシュは2.6秒でこなしてしまう。
巨大なフロアの下には、122.4kWhという大容量の駆動用バッテリーが敷かれている。レンジエクステンダー仕様では、更に50kWh拡張される。もっと控えめな性能で充分という人向けに、2025年にはバッテリーが小さい後輪駆動版も登場予定だ。
最大積載量は1134kgで、荷室の奥行きは1852mm。ローリング・トノカバーが備わり、閉めた状態での容量は1591L。フロント側にも、200Lの収納がある。
確認が長くなったが、発進させた第一印象は「威嚇的」。トリプルモーターの威力を確かめたいところだが、今回はオーナーによって、845psを放つビースト・モードが無効にされていた。それでも、スポーツ・モードでも充分以上に速い。
線形的に、狙った速度へ届く。何車線もあるハイウエイの交通を、キビキビと縫うことなど簡単だろう。ピックアップトラックだから、極太のトルクもいつか役に立つはず。
ステアリングの感触は独特で、乗り始めてしばらくは切りすぎていたが、数分後には慣れていた。反応は直感的で、巨大なボディを小さな腕の動きで導ける。
3113kgの車重と弱いブレーキ 速度管理が重要
ピックアップトラックとして、スポーティな操縦性は優先条件になりにくい。一般的な速度域の限り、充分に機敏に回頭はする。
連続するカーブでは、しっかりした速度管理が重要になる。オーバースピードで突っ込むと、尖ったボディで路肩の壁をなぎ倒しかねない。3113kgの車重と、あまり強くはないブレーキを、念頭に置く必要もある。
サスペンションは、前後ともエアスプリング。300mm以上も車高を調整でき、渡河水深は約800mmある。イーロンは、ボートになるほど防水性が高いと主張していた。
20インチと小さくないが、扁平率65のタイヤを履き、乗り心地は良好。路面のツギハギが多い市街地では、重めの車重が影響し、明確な揺れを伴うが。ホイールがボディからはみ出ているから、歩行者の横を通る場合や、ガリキズには普段以上に気をつけたい。
運転席からの視界は、予想より良いものの、死角は多い。サイドミラーが大きければ、より扱いやすくなるだろう。荷台のトノカバーを閉めると、後方を目視できなくなるため、カメラ映像がセンターモニターに表示される。
自律運転システムの利用も、オプションで可能。ステアリングホイール上のボタンでオン/オフを選べ、信号に合わせた発進停止や、車線変更にも対応する。
初めはかなり奇妙に思えたが、高速道路では好調に機能する様子。しかし、カーブが連続する区間では、反対車線へはみ出そうになることが何度かあった。
航続距離は515km 乗りやすいピックアップ
北米でのサイバートラックのお値段は、7万9990ドル(約1240万円)から。サイバービーストは、9万9990ドル(約1550万円)へ上昇する。
電気自動車として、航続距離と充電速度は優秀。サイバービーストでも、一度の充電で515km走れると主張され、最大250kWで充電できる。
尖った見た目だが、試乗が終わる頃には、乗りやすいピックアップトラックだな、と思うようになっていた。全体的に運転しにくいとは感じなかった。充分に理解できたとはいえないし、善良な市民への安全性には疑問が残るけれど。
クルマを返す約束の時間が近づき、ロサンゼルス国際空港近くの高速道路を走っていたら、並走するSUVのドライバーがクラクションを鳴らしてきた。横を見ると、窓を開けて中指を突き立てていた。
◯:ユニークなスタイリング 優れた直進加速 高速域での乗り心地の良さ
△:インテリアが比較的地味 ブレーキの制動力が不足気味 運転席からの死角が多め
テスラ・サイバートラック・サイバービースト(北米仕様)のスペック
北米価格:9万9990ドル(約1550万円)
全長:5683mm
全幅:2032mm
全高:1796mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:2.6秒
航続距離:515km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:3113kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター(前)+ツイン誘導モーター(後)
駆動用バッテリー:122.4kWh
急速充電能力:250kW
最高出力:845ps(システム総合)
最大トルク:119.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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みんなのコメント
宇宙人かもな。上りつめ方が異常。