いまでも製品化を強く希望!
まもなく開催されるフランクフルト・ショー。きっと、驚くべきニューモデルが目白押しとなることだろう。
まったくもって復活を期待しないクルマ7選 あなたは何台知っている?
そして、もうひとつの花形がコンセプトカー。一般に買うことはできないが、多くの場合、遅かれ早かれ実用化されるテクノロジーの顔見世興行的な意味合いを帯びている。
だが、今回取り上げるのは、市販化が検討されながらも、何らかの理由で断念されたコンセプトカーたち。AUTOCARが選ぶ傑作モデルの数々、というか、できれば自分で買いたかったクルマたちを、一挙紹介する。
メルセデス・ベンツC111(1969)
メルセデスはC111コンセプトを複数製作したが、いずれも実走可能で、新技術や車体設計のテストベッドとしての役割が与えられた。
最初のモデルは、1969年のフランクフルト・ショーで発表。リアミドにヴァンケル・ロータリーユニットを積み、往年の300SLを彷彿させるガルウイングをまとった。
当初は3ローターで280ps、最高速度260km/hとされたが、翌年のジュネーブ・ショーには4ローター/350psの進化版が登場し、最高速度300km/hを謳った。
しかし、石油ショックを受け、燃費に劣るロータリーを断念すると4ローターをディーゼルエンジンに換装。しかし、その後はノルドでの最高速テストに主眼をシフトするなど実験車的要素を強め、やがてフェードアウト。
1992年には後継車種ともいえるC112を発表し、量産化が検討されデポジットも受け付けたが、最終的にはプロジェクト中止が決定された。
シトロエン・シテラ(1992)
今回、シトロエンのコンセプトカーだけでこの企画が成り立つほど、このメーカーは多くの傑作を生みだしてきた。そんな中から選抜したのが、この個性的なシティカーだ。
25年も前に発表されたとは思えない斬新なルックスはもちろん、技術面も注目に値する。このシテラはピュアEVで、航続距離は200kmに達し、最高速度は110km/h。バッテリーパックは最低10年、100万kmを走破する耐久性があるとされた。
ボディはモジュラー構造で、容易にピックアップやコンバーティブル、ハッチバックへコンバート可能な万能選手。しかし悲しいかな、実用化には至らなかった。むしろ現在なら通ったかもしれない企画だが、生まれた時代が早すぎたといえるだろう。
マツダRX-01(1995)
RX-7の後継モデルを想定して誕生したRX-01は、RX-7より小さく、軽く、当時市販されていたターボ版ではなく自然吸気のロータリーユニットを搭載。
実走可能なプロトタイプが製作され、世界的な景気後退のさなか、市場にまだ少なかった手頃な価格のスポーツカーとして市販化が模索された。
しかし、当時のマツダの財務状況ではこれを実現するのは難しく、彼らはロードスターに集中する道を選んだ。それはそれで、今となっては喜ぶべき選択だったともいえるのだが。
ベントレー・ユノディエール(1999)
ベントレーがこれまでミドシップのスーパーカーを市販したことも、それを検討したこともない。
結局のところ、クルー的にはフロントエンジンのラグジュアリーGTが全てであって、これを買収したVWがウイングBバッジを冠したユノディエールもまた、あくまでショーカーでしかなかった。
なにしろ、同時期にVWは、ランボルギーニとブガッティという、もっとスーパーカーにふさわしい名跡をふたつも傘下に収めているのだ。ベントレー名義のスーパーカーなど、市販化されるわけがない。
実際、これはブガッティ名義でのちに発表されるヴェイロンの初期プロトで、シャシーはディアブロからの流用だといわれている。
エンジンは8.0ℓW16で、最高出力は632ps。これは後に量産化されることになるが、出力は大幅に高められ、ベントレーではないブランドのクルマに搭載されることになったのは、説明するまでもないだろう。
セアト・フォーミュラ(1999)
1990年代末、セアトはアイデンティティの確立に苦しんでいた。このスペインのブランドは、VWグループにあってスポーティ部門を受け持っていたが、そのイメージを強化するようなものをほとんど持ち合わせていなかったというのが実情だったのだ。
そこに現れたのが、このセアト・フォーミュラである。その方法論は、ロータス・エリーゼやそれをベースにしたオペル・スピードスター/ヴォグゾールVX220と同様のもので、既存車種の活用にとらわれないスパルタンなスポーツカー。リアミドに搭載されるエンジンは、240ps級の2.0ℓ直4ターボ20バルブだ。
メカニズムや構造において、とりたてて過激なテクノロジーが投入されたわけではない。しかし、セアトというブランドにとって、それは市販するにはラディカルすぎるクルマだった。
VWマイクロバス(2001)
最近でも折に触れてタイプ2のオマージュを造りたがるVWだが、その端緒ともいえるのが2001年のデトロイト・ショーに出展されたマイクロバス・コンセプトだ。
評判は上々で、量産型を2003年に生産開始するとのアナウンスもなされたが、結局は立ち消えとなってしまう。
その後も、2011年のブリー・コンセプトや、今年3月のIDバズといった、現代版「ワーゲンバス」のコンセプトカーが、忘れた頃になると登場する、という状況が続いている。
率直に言って、どれでもいいから量産化してほしい。たしかに現行のT6キャンパーはいいクルマだが、路上を明るく彩ってくれるのは、商用車に毛が生えたような四角四面のミニバンではなく、現代版タイプ2のようなクルマだ。
キャデラック・シックスティーン(2003)
コンセプトカーの素晴らしい点は、辻褄合わせの必要がないこと。まさにこのキャデラック・シックスティーンは、そんな美点を体現する一台だ。
GMの最高級部門を担うディビジョンであるキャデラックは、V16エンジン搭載の高級車を本格量産した、世界で唯一のメーカーでもある。1930~40年頃に生産されたV16モデルは、4076台を数える。
その栄光を現代に蘇らせたコンセプトカー、その名もシックスティーンは、既存のV8を応用したV16を積む。排気量は実に13,699cc、最高出力1000ps、最大トルク138.3kg-mを謳うとてつもないエンジンだ。
まあしかし、冷静に考えれば、これが市販化される時代でないことには納得がいく。GM的にも量産するなどとはひとことも口にしていない。
製作されたのは1台のみで、今は米ミシガンのGMヘリテージセンターで来場者の目を楽しませている。
ランチア・フルヴィエッタ(2003)
かつては栄耀栄華を誇った高級ブランド、ランチアだが、今やその影は薄い。イタリア国内専売のブランドとなり、ラインナップはイプシロンのみ。
もしもフルヴィエッタを市販化していれば、状況は異なるものになっていたのではないだろうか。正直言って、このクルマに目新しいテクノロジーは何ひとつ使われていないのだから、量産するのに苦労する材料などなかった。
クライスラー車のバッジを付け替えるよりは手間がかかるかもしれないが、どちらの方が効果的かは推して知るべし、というところだ。
メカニズムは、実績十分なフィアット製コンポーネンツの流用品だ。グループ内の小型車に広く採用されるシャシーに、これまた多くの車種に搭載される1.7ℓガソリンユニットを搭載していた。量産してほしかったコンセプトカーを多数紹介しているが、いろいろな意味で残念度はこれがダントツでナンバーワン。
シボレー・ノマド(2004)
ノマドの名は1954年、コルベットをベースにしたコンセプトカーがルーツ。
その後、シボレーが1955~57年に生産した、いわゆる「トライ・シェビー」の1バリエーションに与えられ、その後もいくつかの市販車にその名の仕様が設定されている。
1999年には、カマロがベースのコンセプトカーが同名で登場するも、さほど注目されずに終わり、その5年後、ポンティアック・ソルスティスなどに用いたカッパ・プラットフォームで製作されたのが、このコンパクトでスマートなシューティングブレークだ。
なお、歴代ノマドは全てワゴンボディである。
この2004年版は、2001年に登場したBMWミニの成功に触発された部分が大きい。レトロルックとリバイバルネームを与えられたこの2ドア・ワゴンを、GMは真剣に量産しようと考えた。
しかし、シボレーを大衆車ブランドとして固定するプランが持ち上がり、プレミアム性を持たせた商品であるノマドはその方針にそぐわないとして、市販化が見送られたのである。
フォード・シェルビーGR-1(2005)
今や流行遅れに見えるクローム仕上げを別にすれば、かのデイトナ・クーペを彷彿させるシェルビーGR-1のルックスはなかなかにたくましい。
そして、単なるはったりのハリボテではなく、その長いノーズには613psを叩き出す6.4ℓV10を搭載し、6段MTを介して後輪を駆動するスーパースポーツだ。
パフォーマンスに関して、フォードの公式アナウンスはなかったが、確信できる。コイツは、かなり速い。
ホールデン・エフィジー(2005)
50’sのホットロッドを思わせるこれは、GMのオーストラリア部門であるホールデンの作品。これを市販したところで、売れる台数はたかが知れているかもしれない。
しかし、なんてカッコいいんだろう! ほとんどのコンセプトカーは未来志向で、このエフィジーに関しても、ディテールを観察するとモダンなテイストがふんだんに盛り込まれているのがわかる。しかし、その真に目指すところは、古き良き時代への回帰だ。
ベースとなっているのはC5世代のコルベットで、エンジンは654psのV8スーパーチャージャー。脚回りには、電子制御エアサスペンションが奢られる。
オーナーが近付くとドアは自動で開き、キャビンにはタッチパネル式のコンソールや、3000Wの大出力サウンド・システムなどが装備されている。
インフィニティ・エッセンス(2009)
日産のプレミアム部門であるインフィニティが欧州に上陸したのは、北米で産声を上げてから20年を経てのことだった。その時、彼らは新たなデザイン言語を編み出し、それを世に示すショーケースとして製作されたのがエッセンスだ。こんな言語なら、学習するのも悪くない。
複雑さとシンプルさが同居するエッセンスのデザインは、クラシックなスポーツカーに通じる要素を含んでいる。すなわち、長いボンネットとコーク・ボトルに喩られるボディラインだ。
見た目命のエッセンスだけに、メカニズムへの興味は二の次といったところだが、念のために触れておこう。440psの3.7ℓV6に、158psの電気モーターを組み合わせるハイブリッドシステムを搭載している。
ダッジ・ゼオ(2009)
ダッジから何を選ぶかで、編集部の意見は二分した。しかし、もう一方の候補だったサーキットは、所詮はロータス・ヨーロッパをEV化しただけのものだということで、このゼオを紹介することになった。
ピックアップ・トラックやSUVでおなじみのダッジ・ブランドだが、2008年のデトロイト・ショーにはEVファミリーカーを出展すべく、このクルマを製作した。
ファミリー向けEVと聞くと、ダルなものかと思うだろうが、侮るなかれ。272psの最高出力と400kmの航続距離もさることながら、0-97km/h加速が5.7秒という、クルマ好きも納得のパフォーマンスを備えているのだ。
ジャガーC-X75(2010)
早いもので、ジャガーC-X75がパリ・サロンで華々しデビューを飾ってから、もう7年も経ってしまった。
それ以来、このスーパー・ジャガーは『007』シリーズで銀幕を彩り、少数限定ながら生産目前まで行きながら、突如として計画中止となってしまったのは、今でも惜しまれるばかりだ。
本来のプランは、ウィリアムズF1の協力を得て250台を生産する予定だったが、2012年にジャガーは突然尻込みし、世界的な景気後退を受けて、C-X75の販売は難しいだろうと表明したのだ。
実に残念だが、これはジャガーなりの保険だ。かつて、同じく世界が不況に見舞われたとき、XJ220をトーンダウンさせて市場に送り出し、顧客に訴訟を起こされたことをご存じの読者もおいでだろう。
それを踏まえれば、同じ轍を踏みたくないとジャガーの首脳陣が考えたとしても責めることはできない。
ルノー・デズィール(2010)
史上最も美しいコンセプトカーはと問われたら、このクルマが思い浮かぶかもしれない。
どのアングルから見てもパーフェクトで、7年前に導入されたルノーの当時最新だったデザイン言語に則したものだとひと目でわかる。この流麗な2座EVに連なる市販モデルを、いまだにルノーが造りえていないのは、まったくもって理解に苦しむところだ。
実現のためにルノーは、今よりスポーティなイメージを確立するか、パフォーマンス志向のサブブランドを用意することが必要なのかもしれない。もっとも、後者はアルピーヌの復活により、ほぼ閉ざされた道となったが。
アウディ・アーバン・コンセプト(2011)
オープンボディとクローズドボディが用意されたアウディのアーバンコンセプトは、まるでソープボックス・レーサーで、実際に動力を積んでいるのか訝しんでしまうようなルックスだ。
しかし、これがしっかりと電気の力で走るのだ。シートは前後に1座ずつのタンデム・レイアウトで、メッサーシュミットKR200の四輪版といったところ。
特にクローズド仕様のボディが、戦闘機のキャノピーのように開いて乗降するスタイルなのも、半世紀前のバブルカーを連想させる。
極限まで軽量化するべく、ボディはカーボンファイバーで造られ、たった20psながら最高速度100km/hをマーク。アウディは当初、2013年から999台限定で生産すると発表したが、その後は知らんぷりを決め込んでいる。
キャデラック・エルミラージ(2013)
今回、1社で2台取り上げたのはキャデラックだけだが、先に紹介したシックスティーンも、このエルミラージも、それほどに衝撃的で魅力的な、しかしながらそれぞれに全く異なるデザインの持ち主。
加えて、どちらもラグジュアリーでありながら、パフォーマンスも文句なし。1台に絞れというのは無理な相談だ。エルミラージはまた、けばけばしい派手さで着飾ることを選ばなかった、上品さもたまらないところだ。
お披露目の場が、超高級車が美を競い合うペブルビーチ・コンクール・デレガンスだったというのも、この極めてエレガントな4座クーペにはふさわしいではないか。
とはいえ、500psの4.5ℓV8ツインターボを積む超高級クーペは、たしかにエコなクルマではない。野暮な話だが、いかに優美で魅惑的でも、大勢が燃費だけでハイブリッド実用車を選ぶ世の中では商品として成立しないのだ。
ミニ・スーパーレッジェーラ・ヴィジョン(2015)
これこそ、てっきり市販されるのだと思ったクルマだが、BMWは発表当時、それに一切言及しようとせず、今なお沈黙を守り続けている。
往年のカロッツェリアの名を受け継いだトゥーリング・スーパーレッジェーラがスタイリングを担当し、イタリア・コモ湖畔で開催されたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで発表されたそれは、喝采で迎えられた。
その好評ぶりは、BMWに市販化を検討させたに違いないのだが。もし量産されるなら、ディテールは多少トーンダウンするだろうが、基本的には大きく変えないでほしい。もちろん、屋根が一切備わらないままでは困るが。
DS e-テンス(2016)
これに関しては、ショーモデルで終わると決めつけるには早すぎる。今年初めに、AUTOCARではこのe-テンスの量産化は近いとお伝えしているように、遠くない将来に実現する可能性を見込んでいる。
なんといってもこのクルマは、そのルックスだけでも訴求力がある。ましてや、フォーミュラE参戦のノウハウが活かされたであろう402psの電気モーターを積むとあれば、魅力は十分すぎるほどだ。
アキュラ・プレシジョン(2016)
攻撃的なテイストを強めたデザインで独自性を打ち出そう、という自動車メーカーは実に多い。
しかし、このアキュラのコンセプトカーほどあからさまなのは滅多にない。プレシジョンは、ホンダの高級車部門がデトロイト・ショーで発表したラグジュアリー4ドア・クーペ。ホンダといえば、これまでもショーモデルを市販化してきた実績があるものの、ここまで過激なデザインはなかったのではないだろうか。
アキュラは、パワーソースなどの詳細を一切明らかにしていない。しかし、ライバルのレクサスをルックスのインパクトでは上回っているだけに、これに近いデザインの量産車が遠からず世に出るのではないかと予想されるところだ。
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