カーボンニュートラルの実現のため、今後ますます普及していくとみられるB(バッテリー)EV。走行中にCO2を排出しないBEVですが、自動車のライフサイクル全体でCO2排出量を評価する「LCA(Life Cycle Assessment)」においては課題があるだけに、バッテリーのリユースやリサイクル、再製品化は、BEVの価値を高める重要なテーマです。
自動車メーカー各社は、リチウムイオンバッテリーのリユースに積極的に取り組み、すでに多くの実証試験が行われ、使用済みバッテリーを利用した製品の販売も始まっています。BEV用バッテリーにおける、メーカーの最近の取り組み動向について、ご紹介します。
弱点になるか? 長所になるか?? BEV普及の鍵を握る中古バッテリー再利用への活路
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:NISSAN、4R ENERGY
BEV用バッテリーの寿命目安は「8年間または16万km」
リチウムイオンバッテリーは、使用頻度や使用環境などによって劣化具合は異なりますが、一般的には、バッテリーが空(カラ)から満充電を繰り返すような急速充電を多用したり、バッテリー温度が上がるような環境条件や運転条件で使うと劣化が進みます。劣化が進むと、充電できるバッテリー容量が徐々に減少し、満充電での走行可能距離が短くなってしまいます。
BEVのバッテリー寿命としては、一般的には、満充電時のバッテリー容量が70%に低下した時点を目安とされており、これを基準にして、ほとんどの国内メーカーは、バッテリーの保証期間を「8年間、または16万km」に設定しています。こういう事態を想定して、日産は2010年の初代リーフの発売前に、「4R(フォーアール)エナジー」というバッテリーのリユースビジネスの会社を設立し、早くから使用済みバッテリーのリユースの検討を開始しています。
また、リチウムイオンバッテリーには、リチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタル(希少金属)が使用されていますが、BEVが増えていく今後20年間の間に、レアメタルは最低でも数十倍は必要と予測されており、今後BEVがさらに普及していくためには、このレアメタルの確保も重要な問題となっています。
フォーアールエナジーは、日産と住友商事によって2010年9月に設立。写真は日本初の使用済みEV用バッテリーの再製品化専用工場(福島県双葉郡浪江町)
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中古バッテリーの状態に応じてリユース
市場から回収されるバッテリーの劣化具合はさまざまなので、劣化状態に応じてリユースの対応も変わってきます。劣化の状況とそれに対する対応は、次のように3つに大別することができます。
「状態の良いモジュール」は、安価な交換用として再製品化
バッテリーの状態は、バッテリーを構成する複数のモジュール(単電池セルの集合体)の残存容量で判断します。劣化の進行はモジュールごとに異なり、劣化度合いの判定は、最も劣化の進んだモジュールの容量で判断しているようです(安全上の理由とのこと)。バッテリー容量が例え60%と判断されても、他のモジュールには実用可能な70%以上のモジュールが多く残存していることが多く、そうした状態の良いモジュール同士を再び組み直して再パッケージ化をして、安価な交換用バッテリーとして再製品化しています。
「中間状態のモジュール」は、他の電源装置としてリユース
BEVのバッテリーは、2トン前後もあるような重たい車体を動かすため、大容量のバッテリーを使っていますが、劣化してBEV用としては使えなくなったバッテリーであっても、(劣化の状態によりますが)他の電源装置に使うことは可能。たとえば、運転時間の短い小型BEV向けや、災害時のバックアップ電源のような定置型電源などに活用されます。
「状態の悪いモジュール」は、リサイクル
従来は、焼却してスラグ化処理して道路の基盤材など、バッテリーとはまったく違う用途に使われることが多かったようですが、現在はバッテリーからレアメタルなどの原材料を効率よく回収する方法が試みられています。現在は、まだ処理が複雑でコストもかかりますが、さらなる改良によって、燃やさずCO2を発生させないレアメタル回収法が開発されています。
日産リーフのリチウムイオンバッテリー。バッテリーパックは、バッテリーセルの集合体であるモジュールを複数配列した構成
ますます用途が広がっているリユースバッテリー
多くの自動車メーカーは、すでに10年ほど前から、使用済みバッテリーを太陽光発電や風力発電と組み合わせて、自社の工場や販売店などの非常用バックアップ電源や施設の電力消費の平準化のために活用しています。欧州では、使用済みバッテリーを使った蓄電装置による充電ステーションも登場しています。
自動車メーカーだけでなく、電池メーカーや電力会社、電機メーカーなども、自動車メーカーとタイアップしたり、自動車メーカーから使用済みバッテリーを買い入れて、多種多様な商品をつくり出しています。フォークリフトやゴルフカート用バッテリー、定置型電源、ポータブル電源、バックアップ電源などに活用しているほか、身近なところではコンビニや自販機にも使われています。このような取り組みによって、(コストの問題はあるものの)使用済みバッテリーの多くがリユースできるようになっています。
リーフの使用済みバッテリーを利用した日産自動車、JVCケンウッド、フォーアールエナジーが開発したポータブル電源
◆ ◆ ◆
「走行時のCO2はゼロだけど、バッテリー製造時や廃却時にCO2が出るよね」といわれ続けているBEVですが、様々な形でバッテリーのリユースが実現できれば、より環境にやさしいクルマとなることができます。バッテリーのリユースやリサイクルは、性能やコストと同じように、BEVにとって最重要テーマなのです。
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みんなのコメント
リーフは初代、二代目と電池の温度管理が朴訥で、頑丈な金属容器に密封した上で、その金属ケースに外から風を当てるだけなので、中の電池は一旦高温になるとなかなか冷えないし、ユニット毎の温度差も生じて寿命に差が出る。
で、バラして程度の良いユニットだけを取り出すなんてことが起きる。
ちゃんとしたBEVなら水冷式で冷媒の水が金属ケースの中の熱をラジエターへ移動させて積極的に温度管理できるし、流路と充放電を管理することで全てのユニットの温度が同じになるようにきめ細かく制御してる。
結果、各ユニットの劣化も均一に進み、バッテリー全体の寿命も長くなる。
何より問題なのはBEV一本に的を絞っていた各国でバッテリー規格の統一に関する議論がなされないこと。
内燃機関廃止を覇権争いや政争の具に使われていると感じるのは自分だけなのかな。