内外装が公開された新しいトヨタ「クラウン」のセダンはいかに? 実車を見たサトータケシがリポートする。
新しい時代のフォーマル
トヨタの新しい“アソビグルマ”は上質だ──新型クラウン・エステートを隅々までチェック!
10月6日から10月8日にかけて、東京港区の「六本木ヒルズ」で開催された「CROWN STYLE PARK」というイベントで、4つのスタイルのトヨタ・クラウンが勢ぞろいした。
2022年7月の発表会以来、4台が公の場にずらりと並ぶのは、これが初めてだ。
まず目を惹いたのが、これまでクラウン・セダンと呼ばれていたモデルが、クラウンという車名になっていた点だ。
ミュージシャンの故プリンスが一時期、「the Artist Formerly Known As Prince(かつてプリンスと呼ばれたアーティスト)」と、名乗っていたけれど、それにならうと、クラウンはかつてクラウン・セダンと呼ばれたクルマだ。
で、かつてクラウン・セダンと呼ばれたクラウンは、多くの意味で4つのスタイルのクラウンの中で異質の存在だ。
まず駆動方式がFR(フロントエンジン・リヤドライブ=後輪駆動)。ほかの3つのスタイル、すなわちクロスオーバー、スポーツ、エステートがすべて4WDを採用するのに対して、“クラウン=FR”の伝統を継承した。
パワートレインが、ハイブリッドとFCEVの2本立てになっているのもトピック。FCEVとは電気自動車の一種。水素を燃料に、FC(Fuel Cell=燃料電池)で発電した電気でモーターを駆動して走る。走行時に発生するのは水だけだから、クラウン初のゼロエミッション車ということになる。
全長5030mm、ホイールベース3000mmというサイズ感も、ほかの3スタイルに比べてひとまわりデカい。ややこしい書き方になるけれど、つまり、クラウンのなかでクラウンだけ基本骨格が異なるのだ。
デカい4ドアセダンのFCEVと聞いて、トヨタ「ミライ」を連想する方も多いだろう。実際、FCEVのパワートレインはミライと共通という。ただし、ミライに比べると全長で55mm、ホイールベースで80mm、クラウンのほうが長い。
これが何を意味するか? といえば後席のスペース拡大で、官公庁や企業のショーファーカー需要にも応える。もしかするとパトカーも、このクラウンになるかもしれない。
基本骨格が異なりながら4台並んだときに統一感を感じるのは、シュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)の頭部を思わせる、薄くて横方向にワイドなヘッドランプまわりの造形が共通しているからだろう。トヨタが「ハンマーヘッド」と、呼ぶこの顔を中心に据えることと、キャラクターラインに頼らないシンプルな面で構成する手法が4スタイルで共通しているので、4ドアセダンもSUVもクラウン・ファミリーの一員に見える。
真横から見ると、FRらしい伸びやかなシルエットがわかる。ただし昔ながらの、古臭いセダンには見えない。
ボディ後端に向かってきれいに落ちていく、クーペのようなルーフライン。水平方向のラインを軸とする、シンプルですっきりとしたモダニズム建築のようなたたずまい。そして前述のハンマーヘッド。ライト(明かり窓)が片側に3つ、左右で計6つとなる6ライトのスタイル……こうした要素が組み合わさって、新しい時代のフォーマルを表現する。
トヨタの清水竜太郎チーフエンジニアが、「自信がある」と、言い切った乗り心地のよさと静粛性の高さがどれほどのものか。2023年11月に正式発表されるから、その頃には実力が明らかになるはずだ。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
とは言え、
クロスオーバーもセダンも、なんかピンとこない
さっさと諦めて日本車らしく5ナンバー、直6、ペリメーターフレームのふわふわな乗り心地のクラウンに回帰すべきなんだよ