サーキット志向の「BMW M2コンペティション」をさらに軽量化した上でチューンドエンジンを搭載した「BMW M2 CS」が発表された。このモデルをM2コンペティションのオーナーである木村氏がドイツで試乗した。(Motor Magazine 2020年8月号より)
6速MTが標準。オプションで7速DCTを設定
2019年秋のロサンゼルス国際オートショーは、私にとって非常に興味のあるイベントであった。理由はBMWM社がM2 CS(クラブスポーツ)を世界初公開したからである。
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実はこの年、私は北米でM2コンペティションを購入したのだ。理由は近くにミッドオハイオというアメリカでは珍しいスポーツ走行を楽しめるロードコースがあって、そのスポーツドライブに相応しいモデルだったから。
さらに搭載されている3L直列6気筒ツインターボ、すなわち珠玉のSユニットが厳しい排出ガス規制のせいで、そろそろ市場から消えてしまうのではないかと考えたからである。それゆえに、新たにこのシリーズのトップに送り込まれたM2 CSを観察しようと考えていたからである。印象的なミザノブルーを纏ったM2 CSは、カーボンを多用したボディから力強いオーラを発しており、それ以来、いつ試乗ができるか心待ちにしていた。
しかし、目の前に現れた試乗車は、シンボルカラーのミザノブルーではなくてやや地味なアルピンホワイトと呼ばれるパールホワイトであった。ちなみにM2 CSのボディカラーはこの他にサファイヤブラックとホッケンハイムシルバーの合計4色を設定する。
まず目に入るのはMシリーズに共通の中央がつながったブラックキドニーグリル、そしてその下部には中央と左右にエアスプリッター付きのエアインテークが広がる。重量を50%カットしたボンネットの下には、1.5kgのU字型ワンピースカーボン製ストラットタワー強化バーに囲まれて3L直列6気筒ツインターボエンジンが見える。最高出力は450ps、最大トルク550Nmを発生する。
組み合わされるトランスミッションは標準で6速MT、オプションで7速DCTが用意されており、0→100km/hの加速は前者が4.2秒、後者は4.0秒と発表されている。また最高速はどちらも280km/hだ。
アルカンターラやレザーそしてカーボン製のシートやインテリアトリムはM4から移植されたもので、ドライバーの前方にはM2で見慣れた2連丸型アナログメーターが並ふ。速度計は300km/h、回転系は8000rpmまでスケールが広がっている。
スポーツ心をときめかせるスパルタンな乗り味
今回の試乗車は6速MT。バックスキン製のステアリングホイール右側にある赤いスターターボタンを押すとタコメーターの針は弾けたように目覚め、やや長めのシフトレバーをローに押し込み、軽いクラッチを操作して1速、2速とアクセルルペダルを踏み込んで行くと、あっという間にレッドゾーンへ、気が付くととんでもないスピードが表示されている。
ここでちょっと気になったのはシフトダウン時に回転を合わせてくれるレブコントロールだが、わざわざMT車を選ぶドライバーにはやはり余計なお世話だと思う。もうひとつ、シフトレバーはあと5mm短くするとシフトストロークと操作性を含め私には理想的だ。
直6エンジンのスムーズさ、振動とサウンドはエモーションを喚起しアドレナリンを発散する。ドライブモードをスポーツそしてスポーツ+にするとピックアップは一層鋭くなり、ステアフィールもクイックでシャープに変化する。
標準のミシュランパイロットスポーツカップ2を装備したシャシは硬く、路面の不整形状がはっきりと、ドライバーのお尻にダイレクトに伝わってくる。ただ、一般道やアウトバーンなどスムーズなサーフェスで、速度を上げて行くと不快さは薄れ、200km離れたサーキットまでのツーリングも可能になる。ちなみに頻繁なサーキット通いをしないオーナーは日常性を考えると、タイヤはパイロットスーパースポーツの方が合うかもしれない。(文:木村好宏)
■BMW M2 CS主要諸元
●全長×全幅×全高=4461×1871×1414mm
●ホイールベース=2693mm
●車両重量=1625[1650]kg(EU準拠)
●エンジン= 直6DOHCツインターボ
●総排気量=2979cc
●最高出力=450ps/6250rpm
●最大トルク=550Nm/2350-5500rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=6速MT[7速DCT]
[ アルバム : BMW M2 CS はオリジナルサイトでご覧ください ]
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