2021年3月12日、ホンダは、2022年3月でのS660生産終了と、最後の特別仕様車『モデューロX バージョンZ』の発売を発表した。
しかし、3月30日、ホームページには受注終了の文字が……。わずか3週間弱で1年分の受注が入ったことになる。
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このように普段はあまり販売が芳しくなくても、生産終了宣言をすると、販売が激増するケースは多々ある。
そこで下記の条件に当てはめ、現行モデルで生産終了宣言すると売れそうなクルマについて見ていく。
●生産終了宣言で効果を発揮する条件
・マニアックで希少性がある
・将来的に価値が出てきそう
・伝統や思い入れが強いクルマである
・次期モデルが存在しない
・ほかにない個性を持っている
・今後登場する可能性が低い
※本稿は2021年4月のものです
文/ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年5月26日号
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■間違いなく売れそうな9台
売れそうなクルマ筆頭は、S660と同じ軽オープンのダイハツコペン。
ダイハツ コペン…2014年6月にデビューした現行の2代目コペンはローブ(左2)、エクスプレイ(右1)、セロ(左1)の順に発売し、GRスポーツ(右2)を追加。この豊富なバリーションを讃えたい
というか、このコペン、先代モデルで、生産終了宣言後即完売というのを経験ずみ。
ダイハツは2012年4月に8月いっぱいで生産終了を発表すると同時に、最後の特別仕様車として10周年記念車の10thアニバーサリーエディションを発売開始。
このモデルが約2週間で生産枠がいっぱいとなり、完売したという経緯があるのだ。
現行はローブ、エクスプレイ、セロの3タイプ+GRスポーツというラインナップだが、1モデルずつ生産終了宣言をして、注目度をキープしつつ、次期モデルの開発を進めていただきたいものだ。
生産終了で成功するカギはサプライズも重要だ。
そういう意味では、デビューしたばかりのホンダN-ONEが、6MTの生産を終了します、と発表すれば、S660亡き後、軽唯一の6MT(コペンは5MT)が引く手あまたになるハズ。
ホンダ N-ONE…N-ONEが生産終了宣言すると特に6MTモデルの需要が高まるのは必至。なくなる前に買うべし
ベストカーとしては、N-ONEに消えてほしいのではなく、第一希望は売れてくれること、第二希望は売れなくても長く作り続けてくれることであることを断っておく。
それからサプライズ組としてはスープラ。
トヨタ GRスープラ…スープラは生産終了宣言すれば話題性抜群だが、輸入車扱いのため日本割り当てぶんは少なそう
噂のGRMNを最後に生産終了!! となればバカ売れ間違いなし。ただ、現状でも日本割り当てぶんが少ないため、ファイナルモデルが瞬殺となるのは確定的。
マニアックでコアなファンを持つクルマは絶対に終了宣言後に売れる。その代表格がトヨタのピックアップ、ハイラックスだ。
トヨタ ハイラックス…このクルマでしか味わえないものがあるハイラックスが生産終了となれば潜在的ファンが殺到するはず
ここまで押しが強く、存在感のあるモデルは日本車では稀有で、根強いファンが放っておかないでしょう!!
長い歴史、その財産を持つかぎられたモデルは確実に売れる。いや、これは売れてくれなきゃ困るレベルだ。
次期モデルはSUV化されるというきな臭い噂のあるクラウン、400Rの追加で注目を集めたが再び影が薄くなったスカイラインの2台は、まさに日本の宝。
トヨタ クラウン…SUVのクラウンもFFのカムリもいらん! 欲しいのはFRセダンのクラウンじゃ、という人は多い
日産 スカイライン…幾度も消滅説が出ているが健在のスカイライン。かつての神通力はないが、スカイラインという車名の重さは否定できない
消滅するとなれば、究極のドメスティックヒーローゆえ国葬もあり。
トヨタ、日産とも生産終了の際は、高らかに宣言し、華々しいファイナルモデルを設定。で、終了イベントで大々的に全国行脚。これくらいやってほしい、いや、やるべき。
この2台には及ばないがオデッセイもビッグネーム。
ホンダ オデッセイ…今でこそ影の薄くなったオデッセイだが、多くの旧型旧々型ユーザーがいるため、生産終了宣言によって販売は確実に伸びるハズ
存在感が薄れてても、歴代乗り継いでいる人も少なくないので、なくなるとわかればフォロワーは絶対いる。
次期モデルの存在しない可能性の高い2台も生産終了宣言すれば売れそう。
C-HRのような奇抜なデザインを売りにしているクルマは、次期モデルが存在しない=当面古臭くならない、ということでユーザーは安心して買うことができるので、そのぶん需要は増す。
トヨタ C-HR…次期モデルが存在せず消滅の可能性のあるC-HR。本当なら、ユーザーにはそれがいい方向に作用する可能性あり
シリーズ一番人気なのに消滅しそうなヴォクシーは、『煌ファイナル』の登場に期待。エンブレムに『煌』の文字を象(かたど)るのもウケそう。
トヨタ ヴォクシー…シリーズで一番売れているのに消滅する可能性が高いヴォクシー。人気の「煌」のスペシャルファイナルバージョンをお願いします!
■ちょっと「ベタ」な3台
GRヤリス、GT-R、NSXの3台に共通するのは、日本よりも欧米での注目度が高い点だ。
それゆえ生産終了宣言をすれば、日本よりも海外で大騒ぎとなること必至。
日本車なのに日本の割り当てぶんも少ないんだろうなぁ、と危惧しております。
トヨタ GRヤリス……ホモロゲ取得に必要な2万5000台を売れば生産終了の可能性アリ。今後出てこないクルマだから殺到すること必至
日産 GT-R&ホンダNSX……GT-R、NSXとも日本より海外のほうが大騒ぎになるだろう。ともに高額でしかも将来的にプレ値も期待できるため、富裕層が熾烈な争奪戦を繰り広げることになる
■大変失礼! 生産終了宣言しても売れないかも!? なクルマたち
余計なお世話だが、生産終了宣言しても売れないかも、なクルマについても見ていこう。
日産 マーチ…マーチほどのビッグネームが苦しんでいるのは見ていて辛い。今のままでは生産終了宣言してもクルマ雑誌が騒いで終わり!?
三菱 ミラージュ…ミラージュは苦戦しているが、2度のビッグマイチェンの敢行、特別仕様車の積極設定など、苦境打破へのひたむきさは応援したくなる
まず、売れそうなクルマと決定的に違うのは、そのクルマでしか堪能できないものがないこと。つまり代用が利いてしまう。
RC Fは日本では唯一無二の存在ながら、BMW M4を筆頭にそちらに客が流れている。
レクサス RC F…絶滅危惧種の高性能ハイパワーFRクーペと話題となる素養はあるが、BMW M4などドイツ勢の存在が大きな足かせに
マツダ6…次期モデルはFRセダンになるマツダ6。生産終了宣言しても大幅進化した新型の魅力には勝てない
それと存在感。忘れ去られたような存在になっていれば話題になったり、売れるのは難しい。これはビッグネームについてもしかり。失地回復にもがくのも得策ではない。
トヨタ ヴェルファイア…性能ではなく顔の好き嫌いで明暗がわかれたので、生産終了宣言しても好転は難しそう。そんななかで年内には宣言を出す!?
ホンダ インサイト…デザインはカッコいいし、走ってもいいクルマだけど、日本人の琴線を刺激せず存在感が薄い
あと、フェアレディZのように、すでに次期モデルのプロトが公開されていて、そのモデルが期待度MAXとなれば、生産終了宣言をしてもそれほど効果は見込めない。
日産 フェアレディZ…昨年次期型のプロトタイプを公開したため、どうしても現行という人以外なびかないのは当然
レクサス CT…いつまで売るの? まだあったの? というのが大方の見解。これでは盛り上がりは期待できない
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