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AIは「駆けぬける歓び」を奪うのか?「BMW iX3」デザイン責任者が語る「共生」と、「ノイエ・クラッセ」の“空力デザイン”哲学【独占インタビュー】

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AIは「駆けぬける歓び」を奪うのか?「BMW iX3」デザイン責任者が語る「共生」と、「ノイエ・クラッセ」の“空力デザイン”哲学【独占インタビュー】

BMW「iX3」デザイン責任者オリバー・ハイルマー氏にインタビュー

初の新型ノイエ・クラッセ・モデルであるBMW「iX3」。この最新EVは多岐にわたる分野で技術的な飛躍を果たしており、今後登場する全てのBMWモデルは、採用する駆動システムにかかわらず、ノイエ・クラッセがもたらす技術を受けることになる。ル・ボラン編集部では、BMWでコンパクトクラスとノイエ・クラッセ、そしてBMW Mのデザイン部門を統率するオリバー・ハイルマー(Oliver Heilmer)氏に単独インタビューを行い、次世代BMWのデザインに迫ってみた。

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ノイエ・クラッセの「新しいデザイン言語」とは?

ル・ボラン:ノイエ・クラッセの新しいデザイン言語をiX3から用いているとのことですが、その一番のポイントはどんなところでしょうか。

オリバー・ハイルマー氏(以下敬称略):最初の「ノイエ・クラッセ」、いわゆるBMW 1800の非常にクリーンで、そしてスポーティでエレガントなデザインに注目しました。そしてこのBMW 1800が、その後最初の3シリーズとして生まれてきました。それが今日でも続いていることがとてもダイナミックであり、スポーティであり、エモーショナルなクルマなのです。

そこで、そのエモーショナルでエレガントなものを現在のノイエ・クラッセで表現したいと思ったわけです。さらに不必要な機能を減少させていくというか、軽くしていきたいとも思いました。

垂直グリルのiX3、水平グリルのi3。ノイエ・クラッセが示す「多様性」

ル・ボラン:まもなくセダンタイプのi3もデビューすると思いますが、iX3と共通するところ、しないところを教えてください。

ハイルマー氏:i3においても、インテリアとしてはだいたい同じような感じになります。パノラミックビジョンもありますし、それからスポーティなステアリングもそうだと思います。これは全ての今後の新しいモデルに共通するものとなります。

ただエクステリアはちょっと違いまして、それぞれのキャラクターがあります。iX3には垂直なキドニーグリルが採用されましたが、i3では水平なグリルとなっているのが特徴です。昔のBMW 328や507から、インスピレーションを得たようなグリルですね。BMWには深いバリエーションがあり、そしてどちらもBMWを象徴するグリルだと思います。

リサイクル素材は「制約」ではなく「インスピレーション」

ル・ボラン:iX3には、リサイクル素材をたくさん使用しているようですが、こうしたサステナブルな素材を使うことは、デザインの自由度として制約なのか、それとも新しいインスピレーションを与えるものなのでしょうか?

ハイルマー氏:後者の方だと私たちは捉えています。というのも、新しい素材、それからリサイクルの素材には、多くのパートナーやサプライヤーたちがいます。その方々と協力しながら一緒に作っていますので、デザインすることについてはそれほど難しくなく、インスピレーションを与えてくれると思っています。それからまた、あまり知られてないかもしれませんけれども、ホイールも70%はリサイクル素材が使われていますよ。

ル・ボラン:そうなんですか。ホイールといえば、このカバーされたデザインはやはり空力を考えたものでしょうか。

ハイルマー氏:その通りです。まずできるだけ軽くしたいということと、エアロダイナミクスを考えています。そして、なんといってもエレガントなデザインだと思いませんか(笑)。

航続距離800km達成の鍵。「空気抵抗」との闘い

ル・ボラン:800kmの航続距離を達成するために、デザインする上での苦労を教えてください。

ハイルマー氏:ご存じの通り、航続距離というのは、エアロダイナミクスと密接に関係します。それぞれのパーツ一つ一つを突き詰めていく必要があり、もちろん、デザインという観点からいきますと、最も苦労したのは空気抵抗でした。

フロントからコーナーに向けて空力のことを考えていたんですね。そこでこのようなショルダーが生まれました。例えばルーフラインも、ルーフが低くなれば低くなるほど、そしてリアがドロップしていれば(落ちていれば)、空力がすごく良くなるわけです。

と、今は2つのことを説明しましたけれども、まだ色々たくさん、エアロダイナミクスを考えてデザインしました。

難しいのはやはり、このキャラクターを強く出していくと同時に、空力を改良していかなければならない。この2つをいっぺんにやっていくということが非常に難しかったと思います。ですので、このプロセスを遂行するために、エアロダイナミクスのエンジニアと一緒に協力してやってきました。様々な実験をしながらどれが一番効果的かということを試していきました。そうして、最終的には目標を達成できたのです。

AIは「信頼」が第一。ドライバーをサポートするツールとしての進化

ル・ボラン:BMWの「駆けぬける歓び」というドライバー中心の思想と、パーソナルアシスタンスとしてのAIを使った技術は両極に位置するようにも思われます。どのように共存して、進化していくのでしょうか。

ハイルマー氏:AIは私たちをサポートするもので、ドライビングやパーソナライゼーションのための一つのツールとして考えています。今いろいろ試している段階ではあるのですけれども、やはり信頼というものが一番大事です。全てをAIにまかせるのではなく、ドライビングダイナミクスを考慮しながら、一つのツールとして活用できればと思います。

私たちはよく「シンバイオティック」(共生・共存・まとまっている)という言葉を使います。共に生きる、それがクルマと人間との関わりであり、ドライビングダイナミクスにおいても通じるものがあると思います。AIを使うことによって、どのようにそれをBMWから感じてもらうものに適用していけるのか、ということも考えていきます。

ル・ボラン:最後に日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。

ハイルマー氏:私は幸運にも、もう既にiX3を運転することができたのですが、非常にファンタスティックな、素晴らしいドライビングの経験でした。まさに、「シンバイオティック」を感じました。本当に今までのベストなドライビング経験だったと思っています。ですので、皆さんもドライブするのを楽しみにしていてください。

■『ル・ボラン』2025年12月号「なぜドイツ車なのか?」はこちら

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文:LEVOLANT LE VOLANT web編集部

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