カーボンニュートラル燃料を使い、次世代車両の開発を目的に自動車メーカーが参戦しているスーパー耐久シリーズ第4戦は、大分県日田市のオートポリスで5時間のレースが行われた。
トヨタは水素カローラとCNFを使ったGR86、そしてSUBARUがBRZ。そしてマツダがバイオディーゼル燃料を使ったマツダ2で参戦している。
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61号車「SUBARU BRZ CNF concept」トヨタのORC ROOKEY GR86 CNF ConceptはGRヤリスのエンジンを排気量ダウンし1.4Lのターボエンジンに換装している。そしてレース用部品も使用するレースカーに仕上げてある一方、SUBARU BRZ CNF Conceptは市販車技術の延長線上で耐久レースに挑戦するという取り組みを行っている。さらに開発スタッフには若手を起用し、人材育成の目的も持って参戦という異なる狙いを持っている。
カーメーカーが次世代燃料を使用して参戦するST-Qクラスこのオートポリス5時間レースは、前戦のSUGO大会から3週間後の開催でマシンへの改良は最小に留まっているが、GR86 CNF ConceptはSUGOをスキップしての参戦で、その間、大幅な見直しを行なっていた。見直しとされたのはほぼ全領域に渡り、エンジンの改良、ミッションの改良、ブレーキ制御の見直し、さらにボディ剛性を上げる取り組みを行い、14%程度の航続距離延長もできたとしている。
一方、SUBARU BRZ CNF Conceptの小変更では、エアコンの送風路の変更と制御変更を行い、サスペンションではダイナミック性能の磨き上げという視点で、ジオメトリーと剛性というポイントで小変更を行なったという。主にはブレーキング時のリヤタイヤの接地感を上げることと、切り足しをした時のアンダーステアの解消、そしてステアフィールを良くするための剛性アップといった内容だった。
エンジンに関してはSUGOで導入したラム圧を利用した充填効率向上によるパワーアップが成功したため、今回も同様の仕様となっていたが、オートポリスは標高が高いため、SUGOと同レベルのパワーアップはできないということだ。
阿蘇外輪山の北方、標高800mに位置するオートポリス天候に翻弄された予選
予選は目まぐるしく天候が変わりスリックとレインの選択が悩ましいほど。Aドライバー予選で井口卓人はレインでスタートし2ラップ計測後スリックにしている。一方GR86は蒲生尚弥が初めからスリックでアタックをしていた。その結果約1秒3ほど蒲生が先行する結果になった。
井口は「あともう1ラップ速くスリックにしておけば、0.5秒程度はタイムアップできたと思う」と気まぐれな天候に翻弄された判断を悔やんだ。Bドライバーの予選でもレインかスリックか判断しにくい状況で山内英輝はレインタイヤでアタック。計測1周目でライバルと想定されるBドライバー中トップタイムを刻み、早々にピットイン。なんとスリックに履き替えて再アッタクを行った。狙いはAドライバーでつけられたギャップを跳ね返す作戦だったが、とてもスリックではタイムを出る状況ではなく、残念ながらこの挑戦は失敗した。
予選結果はGR86がBRZに0秒968差をつけて総合29位のポジション、BRZは30位からのスタートとなった。
決勝の5時間レース
決勝の5時間レースでは、GR86 CNF Conceptがレース中盤にトラブルを発生。詳細は不明だが燃料系のトラブルということでCNFには関わらない、燃料ポンプ等の問題ということだ。
一方のBRZ CNF Conceptも井口卓人から3人目の廣田光一へドライバー交代するときに、一時的にマシンをピットボックス内に入れている。これはクラッチトラブルで油温が上がったことでエアを噛んでしまったということだった。そのため、エア抜きの対応をしてピットアウトしている。
結果的にBRZ CNF Conceptは127周を回ってゴール。GR86 CNF Conceptはリタイヤとなった。またマツダのバイオディーゼルは107周でチェッカーを受けていた。マツダ2はミッションを第2戦の富士24時間レースからドグ・ミッションに変更しているが、エンジン出力の向上とともに、ミッションのトラブルが発生し、苦労していたが今回は完走を果たした。
次世代車両の開発で参戦するいずれの車両も燃料由来のトラブルはなく、レースカーとしてのトラブルである。本番レースになると量販車開発では遭遇しない領域も出てくるためのトラブルであり、開発全体の底上げにもつながっているのだろう。
次戦は9月3日、4日にモビリティリゾートもてぎ(旧:ツインリンクもてぎ)で第5戦5時間耐久レースが開催される。約1ヶ月のインターバルとなるため、どんなマシンに仕上げてくるのか楽しみに待ちたい。
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