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ホンダ「ロゴ」は「シティ」の祭りのあとで「フィット」前夜だった!? なぜ「真面目なコンパクト」から個性派「キャパ」「HR-V」が生まれた?

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ホンダ「ロゴ」は「シティ」の祭りのあとで「フィット」前夜だった!? なぜ「真面目なコンパクト」から個性派「キャパ」「HR-V」が生まれた?

軽より安いコスパ最強のコンパクトカーとして登場

 1996年に誕生したコンパクトカーのホンダ「ロゴ」は、系譜でいうと「シティ」の後継車種だった。といってもここで言う直前のシティは2代目で、大ヒットを飛ばしたあの初代ではない。よく言えば、「ワンダーシビック」(3代目)や「アコードエアロデッキ」、初代「トゥデイ」と同系統のロングルーフのスタイルが特徴で、背の高い初代シティとは対照的。前作を否定するのがホンダの得意技とはよく言われたことのひとつで、2代目シティはまさにその典型、代表作だったわけだが、商業的には今ひとつ人気が盛り上がらなかったクルマだった。

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 そんな2代目シティの後継車種がロゴだった。車名ははラテン語の「Logos」(言葉、意味、理性の意味をもつ)を語源とし、当時の広報資料には「乗る人自身を自由に表現するコトバ」とある。また当時の全国希望小売価格は、もっともお安い3ドアBの77.0万円~5ドアLの108.8万円と、同年式の軽だったトゥデイ(84.5~105.2万円)すら上まわる(下まわるというべきか?)安価さで、「オートマチック車で100万円を切る価格設定」と、1996年10月3日付けのニュースリリースでも紹介されている。

真面目を絵に描いたようなクルマだった

 ところでロゴがどんなクルマだったか? というと「真面目を絵に描いたようなクルマ」だったと思う。こういう記事を書くときに筆者はしばしば「GOLD CARトップ・ニューカー速報」のバックナンバーを資料部屋から引っ張り出してひもとくのだが、No.118のロゴの号で試乗記やデザイナーインタビューを担当しており、「意外や普遍性の高いホンダのコンパクトカー」といったトーンでレポートをまとめていた。一方でデザイナーのインタビューは、自分の意見を挟むものではなく、あくまでデザイナーの言いたいことを聞いてまとめる方針の記事だったが、「乗りやすく使いやすい、愛着の湧く飽きのこないデザイン」といった主旨で話が展開していた。

 そうしたなかでロゴの特徴だったのは、3750mmというコンパクトな全長に対し1490mmと全高を高くとったことで、それが当時のVWポロより+55mm、背の高さが自慢だった初代シティよりもまだ20mm高い……などと試乗記のなかでも紹介している。

 それと性能面では、ホンダが「ハーフスロットル性能」と呼んでいた、日常/実用領域(高速道路も含む)が売りのひとつ。「レースと箱根全開はカットした」といった言葉を開発者から聞き出してもいて、試乗車は3速AT仕様だったようだが、「パフォーマンスを無駄なく使い切るつもりで走れば気持ちよいほどだった」などと、ポジティブな締めくくり方をしている。

カジュアルな街乗り車としては好感触だった

 使い勝手のよさについても触れているが、ステアリングポスト右斜め下のポケットにバイブルサイズのファイロファクス(システム手帳)が入った……といったくだりは、今となってはいかにもこの時代らしい。ほかにもコニカビッグミニ(コンパクトカメラ)だとか、試乗中の筆者は当時ハマっていたswatch(腕時計)のおそらくその時点での最新モデルを左腕にはめてステアリングを握っていたり……と、シンプルで使い勝手のいいロゴの演出のために、人知れず仕込みをしていたのが懐かしい。

 決してハイスペックをうたうクルマではなかったが、ちょうどそのころの筆者は自分でクラシック・ミニや初代フィアット「プント」を所有しており、気の利いたコンパクトカーは便利であり乗っていて心弾むことを肌で実感していたから、きっとロゴに対しても(キャラクター的にはかなりプレーンではあったが)、カジュアルで快適なコンパクトカーであることをなんとか伝えたかったのだろう。

「キャパ」や「HR-V」を生み出した功績は大きい

 なお当時のホンダは、このロゴ1本では訴求力が物足りないと判断したのだろう。ロゴ登場の翌々年の1998年になると4月にハイトワゴンの「キャパ」、9月には、まさに今日のSUVムーブメントを先取りしていたかのようなスタイリッシュな「HR-V」を、ロゴと同じプラットフォームの派生車として登場させていた。

 キャパはパーン! と張った大きな面のクリーンなスタイルは魅力だったし、一方のHR-Vはロゴ、キャパと同じ2360mmのホイールベースをもつ3ドアのほかに、ホイールベースを2460mmに伸ばした5ドアも設定。175mmの最低地上高、天地にスリムなボディ形状など、ロゴと較べるといかにもホンダらしい、理屈抜きで遊び心を感じさせる個性的なクルマとして注目されたのだった。

2001年に登場し大ヒットした「フィット」への中継ぎでもある

 そしてロゴといえば、2001年に登場し、大ヒット作となった初代「フィット」がその後継車だったという事実も忘れられない。つまりロゴは今から見ると「フィット前夜」といった位置づけのクルマだったということになる。

 今回の記事化に際しては、あろうことかロゴの最初のカタログ(「Logoのかんがえ」と文字だけの表紙のカタログだった)がどこかに紛れてしまったらしく、発掘できたのは2001年1月版の最終型のカタログ(ホンダマルチマチックSのスイッチがついたキリヌキのステアリングホイールの写真が載った黄色地の表紙のもの)だった。おとなしめのクルマをなんとか若々しく軽快に訴求したい……そんな意図が伝わってくる装丁のカタログだ。

* * *

 なお登場時のプレス向けの広報資料は発見でき、見ると「開発コンセプトは“ちょうどよさ”の徹底追求」と書かれていた。2008年にホンダから初代フリードが登場した際に「ちょうどいい」をキャッチに使っていたが、ロゴのほうがほぼ同じ言葉を先に使っていたことを迂闊にも気づいていなかったことに、14年を経た今になって気づいた次第である。

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みんなのコメント

24件
  • 今のメッキギラギラや造形ボコボコの車をずっと見たあとに、こういうクリーンなスタイルの車を見ると安心感を持つね。
  • キャパとか久しぶりに聞いた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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