2021年8月にホンダの高級ブランドとなるアキュラからの復活が発表され、いわゆるチラ見せも行ってきたインテグラのプロトタイプが発表された。
40代以上のクルマ好きなら、インテグラと聞けば、「カッコインテグラ(1989~1993年の2代目)」や200psの1.8L、直4VTECを搭載したDC2型初代インテグラタイプR、220psのDC5型2代目インテグラタイプRを思い出すことだろう。
ちょうどいい200psの1.5LターボのシビックSi登場も日本では……。次期型シビックタイプRと三部体制下でのホンダスポーツ戦略を占う
これまでのインテグラと、今回発表され、15年ぶりに復活したインテグラとは何が違うのか? ボクらが待っていたインテグラなのか迫ってみたい。
文/永田恵一
写真/ホンダ
[gallink]
■新型アキュラインテグラのエクステリア
復活するインテグラはサイズ感や5ドアボディという点、全体的な雰囲気から日本で販売される現行シビック5ドアのアキュラ版となることが確実だ。
このポジションはかつてのインテグラに近いが、かつてのインテグラは世代によって異なるにせよ3ドアクーペ、4ドアハードトップ、5ドアハッチバックといったボディタイプを持っていたこともあり、シビックとは明らかに別のクルマに感じられた。
1985年にデビューしたクイントインテグラ5ドアハッチバック。最初に3ドアハッチバックが発売され翌年には4ドアセダンが追加された
1995年発売のインテグラ タイプR 4ドアハードトップ(DB8型)。同時に発売された3ドアクーペのDC2型は当時FF最強のハンドリングマシンと称された
2001年に登場したDC5型インテグラ タイプR 3ドアクーペ。4ドアハードトップは廃止され2Lになったエンジンは220ps/21.0kgmへとパワーアップされた
このことを思うと、復活するインテグラはシビックとの差別化がかつてのインテグラより弱い感は否めない。ただ、アメリカで販売されるシビックは日本と異なり4ドアセダンなので、アメリカでのシビックとの差別化は十分されているのだろう。
という背景もあり、復活するインテグラのエクステリアは側面から見たシルエットは現行シビック5ドアに非常に近く、フロントマスクはアキュラのアイデンティティとなるフレームレスペンタゴングリル、サーキットのシケインをイメージしたヘッドライトに付くデイライトが目立ち、リアビューはアキュラらしいシャープでスポーティな雰囲気が特徴だ。
新型アキュラインテグラのサイドビュー。復活するアキュラバージョンのインテグラは5ドアハッチバックのボディとなり、日本で販売される現行シビック5ドアと同様のシルエット
新型アキュラインテグラのフロントビュー。フロントマスクはアキュラのアイデンティティとなるフレームレスペンタゴングリル、ヘッドライトはサーキットのシケインをイメージしたデイライトを装着
新型アキュラインテグラのリアビュー。現行シビックの落ち着いた大人の雰囲気とは違い、アキュラらしいシャープでスポーティな雰囲気
また、運転席側ヘッドライトと助手席側テールランプのそれぞれ下側にはエンボス(浮き出し)加工でインテグラのロゴが入り、この点はタイプRが加わった3代目モデルを思い出させる演出となっている。
なお、プロトタイプに塗られるイエローのボディカラーは3代目インテグラにあったフェニックスイエローをオマージュしたものだ。さらにルーフ、ドアミラー、リアスポイラーなどはブラックとなっており、サイドビューのインテグラのデカールも含め市販車に設定されるのかも気になるところだ。
インテリアに関する情報はまったくないが、現行シビック5ドアのアキュラ版ということもあり、おそらく現行シビックをグレードアップしたものとなるだろう。
■走りのスペックはこうなる!
パワートレーンは発表された6速MTに加え、CVTも設定されると思われる1.5リッターターボで、発表には「ハイアウトプット」という記載があり、182馬力となる日本のシビック5ドアのエンジンを基準に考えると200馬力程度までパワーアップされそうだ(6速MTとCVTで異なるチューニングとなることも考えられる)。
また、6速MTにはコーナー脱出時などの駆動力を高めるLSDが付くのに加え、ブレーキはブレンボ、タイヤサイズは日本のシビック5ドアより1インチ大きい19インチと、復活するインテグラはノーマル状態のままサーキットなどのスポーツ走行も楽しめるクルマに仕上がっているに違いない。
新型アキュラインテグラのホイールから見えるブレーキシステム。19インチのホイールにアキュラのロゴが入った黄色いブレンボのキャリパーがのぞく
アメリカでのインテグラへのレーシングイメージは強い。11月20日、カリフォルニア州にて開催されたRADwood SoCalカーショーで10台のヘリテージレースカーのインテグラと共に展示して待望の復帰を祝った
復活するインテグラはアメリカ・オハイオ州のメアリーヒルズ工場で生産され(インテグラがアメリカで生産されるのははじめてだそうで、これは少し意外だ)、価格は日本円で約343万円からとなる3万ドルからで、アメリカでは来年前半に発売される予定だ。
■インテグラの日本導入はあるのか!?
新型アキュラインテグラ プロトタイプのフロントビュー。ベースはシビック5ドアだが正面から見たイメージはアキュラ色が強くとってもスポーティ
発売前ながら復活するインテグラの今後の展開を予想すると、アキュラではNSX、ラージスポーツセダンのTLX、ラージSUVのMDXとタイプSを展開しているのもあり、インテグラにもタイプSが加わる可能性は十分ある。
もしインテグラにタイプSがあるなら、現行シビックにもタイプRが設定されることもあり、シビックタイプRをベースにアキュラのブランドイメージも反映したマイルドな方向のキャラクターとなりそうだ。
また、日本のシビックへの追加が公表されているハイブリッドがインテグラにも設定される可能性も十分あるだろう。
インテグラの日本導入に関しては、インテグラがクーペボディであればあり得たかもしれないが、インテグラがシビックに非常に近い5ドアなのに加え、アメリカ生産なのを考えると絶望的と言わざるを得ない。
ただ、インテグラに搭載される1.5リッターハイアウトプットターボ、LSD付の6速MT、ブレンボのブレーキといった走りの機能を移植した、よりスポーティなシビック5ドアが加わるというのは少し期待できるかもしれない。
なお、インテグラは2021年9月に中国でも広州ホンダから登場している。中国のインテグラはアメリカのインテグラ同様のイエローとターコイズのボディカラーこそ目立つが、アメリカのシビック4ドアセダンそのもので、2つのチューニングがある1.5リッターターボを搭載する。
広州ホンダから発表された中国版インテグラ。こちらはアメリカ版シビック4ドアセダンをベースに中国向けにモディファイされる
広州ホンダから発表された中国版インテグラのリアビュー。中国には広州ホンダと東風ホンダがあり、前者からインテグラ、後者からシビックと各々からシビックベースのクルマを販売する
中国においてホンダは現地生産などの事情で東風ホンダと広州ホンダがあり、それぞれで兄弟車となるほぼ同じクルマを販売しており、日本で言えばかつてのディーラー系列のような関係だ。
シビックは中国において東風ホンダで販売されており、広州ホンダにもシビックに相当するモデルが必要なため、それが中国のインテグラのようだ。
いずれにしても絶版から15年が経ちながら、日本にはあまり関係なさそうなものの、アメリカと中国で復活するインテグラは突然の再登板とはいえ幸せなクルマである。
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みんなのコメント
日本人って限定発売好きだからね。