現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日産「プレセア」はミニ「インフィニティQ45」だった!? 遅れてやってきたバブルなクルマはセンス抜群でした

ここから本文です

日産「プレセア」はミニ「インフィニティQ45」だった!? 遅れてやってきたバブルなクルマはセンス抜群でした

掲載 14
日産「プレセア」はミニ「インフィニティQ45」だった!? 遅れてやってきたバブルなクルマはセンス抜群でした

スタイリッシュセダンの元祖「カリーナED」の対抗馬として登場

「絶世のセダンです」と自ら美しさを誇張するCMとともに、1990年6月に登場した日産「プレセア」。このクルマをひと言で表すと、スタイリッシュなパーソナルセダン(今でいう4ドアクーペ)という新ジャンルを確立したトヨタ「カリーナED」の日産版となる。

大衆車にも存在? 日伊の名デザイナーが手掛けた意外な日産車たち

その前身は日本初の小さな高級車であるローレルスピリット

初代カリーナEDのスマッシュヒットにより、プレセアだけでなく、マツダ「ペルソナ」(ユーノス300)、三菱「エメロード」、ホンダ「インスパイア」など各メーカーが相次いでこのジャンルに新車を投入。さらに同門トヨタからも「コロナ エクシブ」、「カローラ セレス」、「スプリンター マリノ」が用意され、カッコよくてちょっといいセダンは一大ブームとなった。

ただ、流行の移り変わりは早いもので、バブル崩壊以降、ユーザーのクルマに対するニーズがワゴンやSUV、ミニバンといったRVへと移り変わると、居住性の悪さがマイナスイメージに……。21世紀を前にプレセアを含めたほぼすべての車種が生産を終えている。

さて、本題のプレセアだが、まずそのバックボーンから話を進めよう。その系譜をたどると、日産の高級車を扱うモーター店で販売されていた「ローレルスピリット」にたどり着く。

王道VIPセダン像から新時代のプレミアムセダンベースへと路線変更

1980年代に5つあった日産の販売チャンネルには、それぞれの車種展開に合わせたエントリーモデルが用意されていた。プリンス店には「ラングレー」(ミニ・スカイライン)、日産店には「リベルタビラ」(ミニ・ブルーバード)、サニー店には「サニー」、チェリー店には「パルサー」、そして、モーター店は「ローレルスピリット」(ミニ・ローレル)というわけだ。

ベースとなったのはサニーで、エンジン、サスペンションなどのメカニズムは共通であった。威風堂々とした格子グリル、各部に多用されたメッキの装飾、上級車のローレルと同じ上質な2トーンカラー、モケット張りの上質な内装・ドアトリムなどを採用。小さいながらもプレミアムな香りを醸し出していたのが特徴だった。

ただ、小さな高級車というコンセプトは日本に馴染みがなかったこともあり、販売面では苦戦。そのイメージを一新すべく、従来のセダンに求められた威厳のある豪華絢爛路線ではなく、バブル期に日産が目指していた新しいプレミアムセダン像を色濃く受け継いだエントリーモデルとして登場したのがプレセアだった(販売はモーター店とサニー店)。

日本人が持つ繊細さを表現した柔らかなフォルムが特徴

スタイリングはローレルスピリットのエッジが効いた四角四面のボックスタイプから、柔らかな面と線を生かしたスマートですっきりとしたフォルムにチェンジ。横長のヘッドライト(エンジン側に丸く削られた個性的な凹型デザイン)と、グリルを廃した端正なフロントフェイスは、スポーティ&エレガンスを兼ね備えた新世代の高級セダンである「インフィニティQ45」を彷彿とさせ、ミニ・ローレルからイメージを大きく変えたわけだ。また、宝石の重さの単位を表すカラット(Ct)をグレードネーミングとするなど、センスにあふれていた。

サイドビューは、スタイリッシュセダンの定番であるキャビンの小さなハードトップであったが、センターピラーは剛性を確保できるピラードタイプを採用。当時の日産で推進していた「1990年代までに運動性能で世界一を目指す」901活動(正式にはP901)の影響もあり、走りの性能を引き上げることを重視していたため、妥協しなかったのだろう。

インテリアは素材もデザインも徹底吟味し7種類から選べた

パワートレインやサスペンションがサニーと共通なのはローレルスピリットと変わらないが、ホイールベースは70mm延長され、エンジンもサニーにない2Lを設定(そのほか、1.5Lと1.8Lを用意)。サニーの上級車という立ち位置は変わっていない。

個性的な外観に負けず劣らず入念に仕上げられたのがインテリアだ。曲面を多用した優美なダッシュボード、世界初のブルーに光るマリーンブルーメーターもさることながら、素材やデザインはデザイナーが徹底的に吟味している。

上級のCt.IIでは素材、形状はツイード、モケット、本革&専用クロス(オプション)、スポーツ(オプション)の4種類のシート、さらにスポーツを除き、それぞれ2つのカラーから選択可能と計7種類から選べるなど、「新たな時代の小さな高級車に相応しい贅沢なものを作ろう」というこだわりが細部まで行き届いていた。バブル期は自動車エンジンニア、デザイナーらにとってつくづく幸せな時代だったと思う。

さらなる上級化は果したが独自性が薄れた2代目

1995年に2代目へとモデルチェンジするが、バブル崩壊と日産の経営不振の影響を受け、ベースとなるサニーとの部品共用化を含めたコストダウンが進んだ。そして、営業サイドからの要望(ネガ潰し)でフロントフェイスは一般的なグリル付きとなり、リアコンビネーションランプの大型化など王道セダン路線にやや回帰。不満が多かった居住性を改善するため、ホイールベースも80mm延長されている。

さらにエアバッグ、ABS、ブレーキアシストなどの安全装備の標準化を積極的に図るなど、高級パーソナルセダンらしい装備も盛り込んだ。だが、初代の持っていたプレーンな美しさ、洗練された雰囲気は影を潜め、ひと目でプレセアと分かる個性は薄れた。

こうなるとプレセアを積極的に選ぶ理由は減り、上述したとおり、バブル崩壊とともにパーソナルセダンのマーケットも縮小。さらには日産リバイバルプランによる車種整理も重なり、1999年に御役御免となってしまった。

ただ、仮に2代目のデザインが飛び抜けてカッコよかったとしても、クルマに求めるニーズの多様化という時代の流れに逆らうことは難しく、終焉を迎えることを免れなかっただろう。宝石の名前のとおり、インパクトのあるデザインで輝きを放った1台だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

傑作アニメが大いに影響「超絶オシャレなキッチンカー」の代名詞的存在とは? 所有者“ならでは”の苦労も
傑作アニメが大いに影響「超絶オシャレなキッチンカー」の代名詞的存在とは? 所有者“ならでは”の苦労も
乗りものニュース
『NDロードスター』に輝くチタンブルー! ブリッツのオールチタン製エキゾーストシステム「ニュルスペックF-Ti」がラインナップ追加
『NDロードスター』に輝くチタンブルー! ブリッツのオールチタン製エキゾーストシステム「ニュルスペックF-Ti」がラインナップ追加
レスポンス
バニャイヤ、逆転タイトルに向け勢い付けるポールポジション獲得! 引退戦エスパルガロ2番手|MotoGPソリダリティGP予選
バニャイヤ、逆転タイトルに向け勢い付けるポールポジション獲得! 引退戦エスパルガロ2番手|MotoGPソリダリティGP予選
motorsport.com 日本版
6速MTあり! 全長4.5m級“ちょうどいいサイズ”の「新型スポーツカー」が凄い! 480馬力“直6ツインターボ”×FRのみってサイコー! 新型「BMW M2」どんなモデル?
6速MTあり! 全長4.5m級“ちょうどいいサイズ”の「新型スポーツカー」が凄い! 480馬力“直6ツインターボ”×FRのみってサイコー! 新型「BMW M2」どんなモデル?
くるまのニュース
名付けて「ザ・直線番長」! 大排気量でツーリングもラク 気になる個性派「大型スポーツクルーザー」3選
名付けて「ザ・直線番長」! 大排気量でツーリングもラク 気になる個性派「大型スポーツクルーザー」3選
VAGUE
乗用車とはちょっと違う! 独自の進化を遂げるトラック用スタッドレスタイヤ
乗用車とはちょっと違う! 独自の進化を遂げるトラック用スタッドレスタイヤ
WEB CARTOP
東北初! トーヨータイヤ・ファンミーティング in 宮城が11月24日に開催
東北初! トーヨータイヤ・ファンミーティング in 宮城が11月24日に開催
レスポンス
11/23(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
11/23(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
Auto Prove
日本最後の「トロリーバス」いよいよ今月末に廃止…「本当に残念」「昔乗ったなあ」の声も!? “ほぼ電車”な激レア風景 立山でラストランイベントも
日本最後の「トロリーバス」いよいよ今月末に廃止…「本当に残念」「昔乗ったなあ」の声も!? “ほぼ電車”な激レア風景 立山でラストランイベントも
くるまのニュース
カワサキの名車「シェルパ」17年ぶり“新型”で復活! オフから高速まで使える「新・万能マシン」って最高!「ゆったりツーリング」に最適な新型「KLX230シェルパ」発売へ!
カワサキの名車「シェルパ」17年ぶり“新型”で復活! オフから高速まで使える「新・万能マシン」って最高!「ゆったりツーリング」に最適な新型「KLX230シェルパ」発売へ!
くるまのニュース
メルセデスAMG『GT』新たなエントリーモデルが登場、電動ターボ搭載で約1600万円から
メルセデスAMG『GT』新たなエントリーモデルが登場、電動ターボ搭載で約1600万円から
レスポンス
マカオGP予選レース:大雨で赤旗中断となったレースをマクラーレン育成ウゴチュク制す。日本人最上位はトムスの中村仁
マカオGP予選レース:大雨で赤旗中断となったレースをマクラーレン育成ウゴチュク制す。日本人最上位はトムスの中村仁
motorsport.com 日本版
[DSP大全]「メインユニット内蔵型DSP」で低音をスッキリさせるテクニック!
[DSP大全]「メインユニット内蔵型DSP」で低音をスッキリさせるテクニック!
レスポンス
全長4.2m! スズキ斬新「コンパクト“3列”ミニバン」がスゴイ! “ガバッと”開く「画期的ドア」採用&リムジン級「めちゃ広ッ」空間! ラウンジのような「エアトライサー」とは?
全長4.2m! スズキ斬新「コンパクト“3列”ミニバン」がスゴイ! “ガバッと”開く「画期的ドア」採用&リムジン級「めちゃ広ッ」空間! ラウンジのような「エアトライサー」とは?
くるまのニュース
オペルの新型電動SUV『グランドランド』、EVは最大700km走行可能…欧州発売
オペルの新型電動SUV『グランドランド』、EVは最大700km走行可能…欧州発売
レスポンス
国内カテゴリー“2冠”を引っ提げF2挑戦も、苦しむ宮田莉朋。欧州での経験値不足は想像以上に大きい?「そこが一番難しい」と中嶋一貴
国内カテゴリー“2冠”を引っ提げF2挑戦も、苦しむ宮田莉朋。欧州での経験値不足は想像以上に大きい?「そこが一番難しい」と中嶋一貴
motorsport.com 日本版
旅好き「NICO girls」にバイク女子の「スノコイメージガール」がサポートするのはHOPPY team TSUCHIYA…白と黒ではなくピンクでした
旅好き「NICO girls」にバイク女子の「スノコイメージガール」がサポートするのはHOPPY team TSUCHIYA…白と黒ではなくピンクでした
Auto Messe Web
メルセデス・ベンツ日本、GLE・GLEクーペ・GLSに「黒」で統一した限定車
メルセデス・ベンツ日本、GLE・GLEクーペ・GLSに「黒」で統一した限定車
日刊自動車新聞

みんなのコメント

14件
  • 24年前、本当に綺麗な女子新入社員が「お父さんにもらった」と言って乗っていた。
    絶世のセダンというプレセアのキャッチコピーとリンクして私にとってプレセアの株は爆上がって固定された。
    街中で見ないので忘れてかけていましたが、また明確に思い出した。
  • トミカリミテッドヴィンテージで出して欲しいです!!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

142.2203.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

38.099.8万円

中古車を検索
プレセアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

142.2203.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

38.099.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村