自動車メーカーからの新型車の情報を、最も早く知ることができるのが、各販売店だ。メーカーから入る突然の通達は、専門誌のスクープ予想を大きく超えた、新車情報として発表されることも多い。
発表される新車情報のなかには、「これ、本当にこのまま市販するの?」と驚きを隠せなかったクルマがある。本稿では、元トヨタディーラー営業マンの筆者が、市販化に驚愕したクルマを紹介していく。
GT-R、タイプRはどうなる!? 純ガソリンスポーツカーは生き残れないのか?
文/佐々木亘、写真/編集部、TOYOTA、MAZDA
【画像ギャラリー】メーカー発表にビックリ!! 市販化に営業マンを驚愕させたクルマたち
■衝撃的なグリルを採用した先代クラウン
先代クラウン アスリート。大型のラジエーターグリルはもちろん、写真の若草色などボディカラーも斬新だった
日本の高級車の第一線を走り続けるクラウン。現在では見慣れたデザインとなったが、大型のラジエーターグリルが採用されたのは、この14代目クラウンからである。
ロイヤルの姿にも驚いたが、最も衝撃的だったのは、アスリートに採用された稲妻型のフロントグリルだ。また、ピンクのクラウンが登場し、2013年の箱根駅伝を走行したのは記憶に新しい。奇抜なデザインや色のクラウンを見て、本当にこれをクラウンとして売って大丈夫かと、驚くと同時に心配になった。
発売前、事前受注を取るための営業活動では、デザインに対し批判的な声が多かったクラウン。しかし発表後、新世代クラウンのデザインや色は、しっかりとユーザーに受け入れられた。
ピンククラウンや若草色クラウンも違和感は少なくなり、アスリートのデザインもカッコよく見えてくる。ユーザーはもちろん、売り手側の「クラウン」に対するイメージも、大きく変えた驚きの1台だった。
■まさかの変化に驚かされた現行プリウス
現行プリウス。デザインの奇抜さに度肝を抜かれた。特にライト系統のデザインが個性的だ
大ヒットした3代目からバトンを受け継ぎ、新世代プラットフォームTNGAを採用して大きな話題となったクルマだが、こちらも発表前のスタッフマニュアルを見て、デザインの奇抜さに驚いたクルマだ。
3代目と似ている点は、ボディの形状のみ、ヘッドライトからテールランプに至るまで、プリウスの面影はない。特にライト系統のデザインは、一般受けしないだろうなと、多くの販売店で予想していただろう。
現在では少し個性が削られ、見た目にも落ち着きを見せているが、4代目初期型の登場当初は、「これがプリウスなのか?」と目を疑った。初代から3代目までは、プリウスの進化に驚いたが、4代目は変化に驚かされる結果となる。
■トヨタが軽を売る衝撃!! ピクシスシリーズ
ピクシススペース。OEMとはいえ、トヨタが軽自動車を売ること自体が衝撃的だった
創業以来、長年にわたり登録車を販売し続けてきたトヨタが、2011年に軽自動車の取り扱いを始める。ダイハツからOEM供給を受けスタートしたのがピクシスシリーズの販売だ。
トヨタが軽自動車を扱うということに、販売現場には衝撃が走る。一部では軽自動車の取扱いを待望する声があったのは事実だが、トヨタのブランドイメージが、軽自動車取り扱いによって変化してしまうのではないかという懸念もあった。
ピクシスシリーズの第一弾は、ピクシススペース(ムーヴコンテのOEM)である。トヨタ独自の装備が増えるのかと期待するも、エンブレムをダイハツからトヨタに付け替えただけのクルマが発表された。
エンブレムを付け替えただけの軽自動車を売ると決めた、トヨタの姿勢に驚いた。ピクシスシリーズに求めたものは一体何だったのか、現在も筆者はまだ答えがわからずにいる。
■スポーツカー冬の時代に驚きの市販化!! GRヤリス
わずか2週間で2000台の受注を集めたGRヤリス。驚きと同時にコンセプトカーがそのまま市販車になってくれたという喜びもあるクルマだ
モータースポーツの人気も、最盛期から見ると大きな陰りを見せており、スポーツカーへの需要も少ないなかで、GRヤリスは開発・発表され、先行予約からわずか2週間で2000台の受注を集めた。
ベースとなるヤリスからは想像できないスペックで、レースを基準に考えたクルマを、今の時代によく販売できたなと感嘆する。モーターショーのコンセプトカーが、よくぞそのまま市販車になってくれたという喜びもあるクルマだ。
世界のトヨタが本気になると、こういうクルマをこんな価格で出すのかと、脱帽した。燃料電池車や自動運転レベル4など、驚くトピックスの多い自動車業界だが、ヤリスGRの登場が、ここ数年で筆者に最もインパクトを与えたニュースである。
■コンセプトカーと市販車の壁をなくした3代目アテンザ
3代目アテンザ(現・MAZDA6)。マツダの魂動デザインは高くそびえたっていたコンセプトカーと市販車の壁を越えてみせた
元トヨタ営業マンとして、在職中に驚いた他社のクルマも紹介する。
2010年のロスモーターショーでの「靭(SHINARI)」、2011年にはジュネーブショーでは「勢(MINAGI)」、東京モーターショーで「雄(TAKERI)」が登場する。すべてマツダのコンセプトカーだ。
特に東京モーターショーで発表された「雄」のデザインは美しく、感動的だった。ただ、「コンセプトカーだから、このまま市販化はない」と多くの人は思っていただろう。ところが2012年、アテンザ(現在のMAZDA6)が登場する。その仕上がりは、「雄」そのものだった。
その後もマツダの魂動(こどう)デザインは、コンセプトカーの良さを市販モデルに、しっかりと生かしている。魂動デザインは、これまで高くそびえたっていた、コンセプトカーと市販車の壁を、可能な限りなくしただろう。マツダの勇気ある試みに、心底驚かされた瞬間だった。
* * *
驚きには2種類、ワクワクするものと、心配になるものがある。今までには考えられなかったデザイン・機能などが、違和感として存在するが、その違和感にも次第に慣れて、ごく当たり前になっていくのは不思議なものだ。
市販化に際して驚きを提供してくれたクルマのほうが、話題になり、販売実績も出やすいだろう。クルマの開発には、驚きが不可欠だ。各メーカーには、販売現場やユーザーが、ワクワクする驚きのクルマを、今後も多く生み出していってほしい。
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みんなのコメント
1年半位で生産中止になったと思うのですが、案の定、私が働いてた営業所では1台しか売れませんでした。
あの様な醜くイラつくデザインの最量販の車はないだろ。
マジで嫌なデザイン。早く道から消えて欲しい。