■10台目のフロントエンジンV12ワンオフ・モデルが誕生
2020年9月25日、ワンオフ・モデルのフェラーリ「オモロガータ」が、フィオラーノサーキットを周回した。
「ハリアー」を「ランボルギーニ」そっくりにカスタム! その再現度がハンパない!
オモロガータは、洗練されたレーシーな外観に、ロッソ・マグマのボディカラーをまとい、70年の歴史を持つフェラーリの偉大なGTの伝統を色濃く受け継いだモデルである。
●2年の歳月を費やしてついに完成!
フェラーリのワンオフ・モデルは、目の肥えたカスタマーから依頼され、コーチビルダーによって製作される。最新作のオモロガータは、サーキットで頂点を極めると同時に、一般道でもリラックスして走行できる真のジェントルマン・ドライバーのための1台である。
オモロガータのプロジェクトは、最初のラフスケッチをカスタマーに見せてから、2年ほど歳月を要している。フェラーリのレーシングの伝統からSF、現代建築などさまざまな分野からインスピレーションを受けている。プロジェクトスタート時から、時代を超えたシェイプを生み出せるよう、独特な要素に新鮮な解釈を加えた未来的なデザインが生み出されている。
ベースとなっているのは、「812スーパーファスト」である。エクステリアで812スーパーファストの要素をそのまま使用しているのは、フロント ウインドウとヘッドライトだけである。
ロングノーズ・ショートデッキのフロントミッドレイアウトのプロポーションを活かしたデザインを生み出す際にもっとも困難だったのは、ワンオフ・モデルであることを示す自己主張と、フォーマルで抑制の効いたスタイルをバランスさせる点にあった。
まずデザイナーは、フラットになった楕円形グリルを起点として、徐々に広がるフロントのボリューム感を決定。フロントホイールアーチの上で丸みを帯びた魅力的なセクションは、ボンネットを包み込むストライプによってさらに強調され、グリルから自然と押し出されたようにも見える。
■コックピットには、エンジンフェチにはたまらない仕掛けが!!
リアセクションでは、リアクォーターウインドウを取り払い、ボディ同色のリアスリークォーターパネルを採用することで、リア全体のボリュームがさらに強調されている。
また、ダックテール状のリアスポイラーは、ダウンフォースを稼ぐだけでなく、視覚的なアグレッシブさを強調する役割も持っている。
●「250GTO」を想起させるフェラーリらしい美しさ
フラウヴィオ・マンツォーニが率いるデザイン・チームにとって、使い勝手と扱いやすさを一切損なうことなく、公道でのホモロゲーション(認証)のための安全上の制約を満たすことが、常に大きな課題となっている。この課題は、既存のプラットフォームをベースとする場合は、常につきまとうものであるという。
2009年に製作した「P540スーパーファスト・アペルタ」以来、フェラーリは10台のフロントエンジンV12ワンオフ・モデルを開発してきたが、その作業のキーワードとなったのが「ホモロゲーション取得済み」を意味する「オモロガータ」という言葉であった。
いかなるフェラーリと並んでも、すぐに特注のモデルであることが認識できるよう、デザイナーはカスタマーからのオーダー以上に、あらゆるディテールに配慮を施している。ついには、このモデルの専用色として新色レッドを開発するほどだ。
インテリアでは、極めて多くのトリムのディテールが、フェラーリの豊かなレーシングの伝統への結びつきを物語っている。
フルブラックのインテリアに際立っているエレクトリック・ブルーのシートは、レザーとJeans Aundeファブリックを趣味よく組み合わせており、4点式シートベルトが備わっている。
リアクォーターウインドウとサンシェードを故意に取り払ったことで、旧き良き時代のキャビンを想起させる雰囲気を作ることに成功している。
ダッシュボードとステアリングホイールの金属製パーツは、1950年代と1960年代のGTレーサーや、エンジンのカムカバーのような結晶塗装(ちぢみ塗装)、ドアハンドルやF1バッジなどのディテールは、「250LM」や「250GTO」などでよく見られたハンマートーン塗装で仕上げられている。
このようにワンオフ・モデルとしてフェラーリ特有の繊細なデザイン特徴を数多く盛り込みながら、懐古主義には陥っていないのが、オモロガータの素晴らしい点であろう。ここに極めて美しい跳ね馬が、また1台誕生した。
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みんなのコメント
何かもったいないとか、かわいそうだな、と思ってしまう庶民でした。
私はノーマルでさえ一生買えないです。