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大胆な見た目だけじゃない DSオートモービルズ DS3 Eテンスへ試乗 156psへ小改良

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大胆な見た目だけじゃない DSオートモービルズ DS3 Eテンスへ試乗 156psへ小改良

BEVの改良で新たな顧客の獲得を目指す

フランスのDSオートモービルズは内燃エンジンから完全に手を引き、バッテリーEV(BEV)のみを提供する自動車メーカーへ進路をとる。フランスだけでなく、自動車業界へ与える影響は小さくないだろう。

【画像】大胆な見た目だけじゃない DSオートモービルズ DS3 Eテンス 競合のBEVと写真で比較 全122枚

一方で、ステランティス・グループのこのブランドは8年前の2014年にスタートしているが、認知度は余り高くない。英国では多くの国民にとって馴染みが薄く、まだシトロエンの上級ブランドだと受け止めている人も少なくないようだ。

確かに、当初はその特別仕様という設定ではあった。DSオートモービルズとしてはこの状況を受け入れがたく、意欲的なモデルで変えたいと考えている。

その一歩となるのが、コンパクト・クロスオーバーのDS3に与えたリフレッシュ。従来までは内燃エンジンが主力の設定だったが、バッテリーEV版のEテンスの能力を改善させ、新たな顧客層の獲得を目指している。

このクラスでのライバルとなるのは、キアe-ソウルやヒョンデ・コナ・エレクトリック、プジョーe-2008など。競争は徐々に激しさを増しているが、プレミアムなポジショニングや快適な乗り心地、豪華な内装などでリードしたい構えだ。価格も張るが。

お気づきかもしれないが、このモデルは従来までDS3クロスバックを名乗っていた。だが2023年から英国ではDS3へ改名されている。あえてクロスオーバーだと触れる必要がなくなったのだろう。

156psの新モーターと51kWhの新バッテリー

改良で得た駆動用モーターは、ステランティス・グループの各ブランドが採用する新しい156psのユニット。従来から20psほどパワーアップし、低回転域での静寂性を高めたという。最大トルクは27.1kg-mある。

駆動用バッテリーは、オペル・モッカ・エレクトリックと同じ51kWhのもの。4kWh容量が増え、航続距離は77kmも長い402kmが主張されている。急速充電能力は最高100kWに対応。10%から80%までの充電は最短30分でこなせる。

通常のAC充電器の場合は11kWまで。5時間半でまかなわれる。

このサイズのモデルとしてはトルクが太めなこともあり、DS3の発進加速は勢いがいい。だが、高速道路で追い越しをかけるような場合では、もう少し力が欲しいと感じるかもしれない。

そんな時は、ノーマルとエコに並んで設定された、スポーツ・モードを選ぶのがベター。デフォルトで設定したいと思える、低速域でのトルク感が得られる。80km/hから120km/hへの中間加速は、5秒ほどでこなせるという。

全体的なドライビング体験は落ち着いたもので、ドライバーへの訴求力が高いというわけではない。それでも、全体的な印象には優れる。

DS3の特徴といえるのが、フォーミュラEチームが開発に関わったという、回生ブレーキシステム。アクセルペダルだけで加減速をまかなえる、ワンペダル・ドライブも可能なほどの制動力を違和感なく生んでくれる。ペダル操作に対するバランスは優秀だ。

他の追随を許さない大胆なデザイン

サスペンションは、一般的なダンパーにコイルスプリングという組み合わせ。特性はソフト寄りで路面の凹凸をしなやかに受け流してくれるが、コーナーで気張るとボディロールが大きめに生じる。

つづら折りの区間が得意とはいえない。路面が荒れた環境では、落ち着きに欠ける印象を残す可能性はありそうだ。

DS3を好きになるかどうかは、スタイリングが強く影響するはず。大胆な見た目は他を圧倒するレベルで、マイナーチェンジに合わせてブラック・アウトされたフロントグリルを獲得。デイタイムライトも大きくなり、フロントマスクの表情はキリリとした。

「クロームメッキの使用量が少ないほど、プレミアム感が増します」。とは、DSオートモービルズのデザインディレクター、ティエリー・メトロス氏の言葉だ。

車内で新しく獲得したアイテムは、DS4と同じデザインのステアリングホイールと、10.3インチのインフォテインメント用タッチモニター。上級トリムグレードに設定される、ナッパ・レザーシートの座り心地は素晴らしい。長時間でも疲れにくいと思う。

リアシート側の空間は、あまり広くはない。内燃エンジン版も同様だから、駆動用バッテリーの増量が影響しているわけではない。インテリアのデザインには特別感が漂い、素材の質感もリッチなだけに少々惜しい。

見た目で人を惹きつけるだけじゃない

新しいDS3の英国価格は、3万7200ポンド(約595万円)から。試乗したオペラ・グレードの場合は、4万2700ポンド(約683万円)へ上昇していた。

DS3 Eテンスは、その見た目で人を引きつけるクルマといえる。しかしステランティス・グループの後ろ盾で、実際の内容もしっかりアップデートされている。気になる点はゼロではないものの、訴求力は間違いなく高められたといえるだろう。

DSオートモービルズ DS3 Eテンス・オペラ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万2700ポンド(約683万円)
全長:4118mm
全幅:1791mm
全高:1534mm
最高速度:150km/h
0-100km/h加速:9.1秒
航続距離:402km
電費:6.8km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1600kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:51.0kWh(実容量)
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:156ps
最大トルク:27.1kg-m
ギアボックス:−

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