Mクラスミニバン御三家の一角を担うセレナがフルモデルチェンジを果たした。進化したインテリアやプロパイロット2.0のミニバン初採用など見どころは山ほどあるのだが、ここでは磨きのかかったシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」について掘り下げてみよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/奥隅圭之、ベストカーWeb編集部
きめ細かい充放電にタマげた! 日産新型セレナのe-POWERがもっと「できる子」に!
エンジンを極力かけない制御に
新型日産セレナ
新型セレナのパワートレインだが、2L・DOHCのガソリンエンジンとe-POWERの2種類。とはいえセレナを狙っているユーザーには、圧倒的なドライバビリティや静粛性、経済性に優れるe-POWERが候補の中心となっているはず。
改めてe-POWERとは、エンジンを発電機として使い、そこで作った電気でモーターを駆動して走るシリーズハイブリッドの一形態だ。先代セレナにも採用されていた技術だが、新型セレナではあらゆる点が進化し、新世代のe-POWERに生まれ変わっている。
まず違うのは発電機として作動するエンジン。先代セレナの1.2Lともエクストレイルの1.5Lとも異なる1.4Lの直列3気筒DOHCエンジンHR14DDe型を始めて採用し、より柔軟かつパワフルな充電制御に対応した。最高出力でみると先代のエンジン出力は62kW(84ps)だったが、これが72kW(98ps)へとパフォーマンスを高めている。
発電機がパワーアップしたためモーター出力も高まった。従来の100kW(136ps)という最高出力は120kW(163ps)まで強化されており、多人数乗車も余裕でこなす動力性能を身に着けたといえる。
では具体的に乗ってどこがいいのかというと、まず、エンジンのかかる頻度が劇的に減り、EVにように走れるシーンがものすごく増えたことだろう。先代セレナは「バッテリーが切れないようにこまめに充電(=エンジン作動)します」という考えだったが、新型セレナは「バッテリーが少なくなるまでできるだけ充電しません」という制御へとポリシーを変えたのだ。その結果ドライブ中にエンジン音を聞く場面が減り、EV感覚の移動がいっそう楽しめることになった。
ならば「エンジンかかるとうるさいのか」と思うかもしれないがそこも心配は無用。剛性の高いブロックやクランクシャフトを採用してエンジン自体の静粛性を高める一方、遮音ガラスやインシュレーターを使って車体の遮音性能もアップした。車内が静かなことは疲労やクルマ酔いにも効果的なので、小さな子供のいる家族でも楽しいドライブが楽しめるはずだ。
ルートを先読みして賢く充放電!
充放電制御の見直しでEV走行の頻度が高まった
もうひとつ、新型e-POWERのすごいところが、カーナビでルート設定を行うと、ルート上の充放電区間を先読みし、目的地付近(およそ500m)でEV走行ができるよう発電制御を自動でコントロールすることだ。
たとえばルートの途中に下り坂があれば、その手前の上り坂でできるだけバッテリーを使い、下り坂でエネルギーを回生する。ここでは渋滞状況やエアコンの作動状況なども考慮されるというから、非常に賢い充電コントロールといえる。現行ノートが採用している路面状況による発電制御(ロードノイズが高い路面ではエンジンをかけ、滑らかな路面ではエンジンをかけない)も、もちろん盛り込んでいる。
最後にe-POWERの経済性だが、もっとも燃費に優れるXでWLTCモード燃費が20.6km/L、XVとハイウェイスターVで19.3km/Lとなっている。どちらのグレードでも、高速道路モードより市街地や郊外モードのほうが燃費がいいという点はさすがハイブリッド。ロングドライブも余裕でこなせそうだ。
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