■現代における「スポーツカーとは何?」の答え
マツダが2023年に発表したコンセプトカーの「ICONIC SP(アイコニックSP)」は、市販化を目指して開発が進められています。
「ロータリーロケット」と呼ばれたマツダ伝統のスポーツカーは、どのようなデザインで復活するのでしょうか。
【画像】超カッコイイ! これがマツダの新たな「ロータリースポーツカー」です! 画像で見る(85枚)
1967年に発売されたスポーツカー「コスモスポーツ」以来、ロータリーエンジンはマツダを象徴する技術です。
「夢のエンジン」として世界中のメーカーが開発競争を繰り広げましたが、実質的な製品化に成功したのは、世界で唯一マツダのみとなっています。
ロータリーエンジンの特徴は、一般的なレシプロエンジンに比べて軽量・小型でパワフル。
それを活かし、マツダは「コスモ」や「サバンナ」、「RX-7」など、ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーの開発に長年取り組んできました。
しかし、その系譜は2012年、4ドアスポーツカーの「RX-8」の生産終了で一度途絶えますが、そのあいだも開発は中断されることなく水面下で進められ、ロータリーは2023年にコンパクトSUV「MX-30」の発電用エンジンとして、再び我々の前に姿を現しました。
そして同年10月、「ジャパンモビリティショー2023」で、ロータリーエンジンを軸とするプラグインハイブリッドシステム「2ローターRotary-EVシステム」を搭載したスポーツカー、アイコニックSPが公開されました。
スペックは最大出力370ps、車両重量は1450kgと公表されています。マツダは本格的な「ロータリー復活」に向け、狼煙を上げたと言えるでしょう。
そんなアイコニックSPは、“スポーツカーとは、ピュアに乗ってワクワクするクルマ”という考えに基づいてデザインされました。歴代RX-7の開発でも常に課題とされてきた「スポーツカーは何か」という問いに、もっともプリミティブな答えで挑んだのです。
ボディサイズは全長4180mm×全幅1850mm×全高1150mm、ホイールベース2590mm。RX-7の歴代各モデルに近いコンパクトなサイズのなかで、スポーツカーデザインの王道である「ロングノーズ・ショートデッキ」のプロポーションを実現しています。
また、太く継ぎ目のないBピラーや大きくラウンドしたリアウインドウは、コスモスポーツ以来続いている歴史ある意匠。
ヘッドライトもRX-7が最後までこだわり続けたリトラクタブル式です。アイコニックSPのエクステリアは、シンプルながら一目でマツダのロータリーだとわかるデザインに仕上がっています。
また、インテリアには“クルマと人が一体になる歓び”を追求してきた、マツダのスポーツカーならではの工夫が凝らされています。
たとえばシフトスイッチは、楽器の「ビオラ」のような曲線美を持つエクステリアとつながる、弦をイメージとした形状。
さらに、内装の一部にはマツダの地元・広島の名産品である、牡蠣の殻を再利用した素材を使用しています。人と環境がつながる、スポーツカーのサステナブルな未来に向けたメッセージも発信しています。
2024年の初めには「RE開発グループ」が復活し、次世代ロータリーの開発推進が公式にアナウンスされました。
また本年度の入社式会場には、公開時とは異なる白いボディのモデルが展示され、すでに“未来のマツダ”を象徴する存在となっているアイコニックSP。
ロータリーの物語の新たな始まりに、期待が高まります。
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