■可変バルブタイミング“シフト・カム”搭載 BMWの新型水平対向エンジンが見せた凄味
次年のニューモデルがお披露目される2輪界のビッグイベントであるケルン及びミラノのモーターショーが開催されるより前に、早くもBMWモトラッドは新しい水平対向エンジンを搭載した新型「R1250GS/R1250RT」を発表。同時に「R1250GS」のメディア試乗会をポルトガル・ファロ近郊で行ないました。
BMWで一番ちいさなバイク 普通二輪免許で乗れる「G 310 R」の存在感
現在販売されている、水平対向エンジン搭載の「R1200GS」、今年モデルチェンジをした並列2気筒エンジン搭載の「F750/850GS」、そして単気筒エンジン搭載の「G310GS」と、3タイプ用意されている「GS」シリーズの長兄であり、最も売れているモデルでもあります。
1923年、BMWは「R32」で水平対向2気筒エンジン搭載のモーターサイクルを世に出して以来、エンジン、単板クラッチ、トランスミッションケース、そしてドライブシャフトで動力を後輪に伝えるレイアウトを頑なに守ってきましたが、現行の「R1200GS」が登場した2013年、エンジン形式はそのままに次世代ユニットに大きな変革が与えられました。
ポルシェやスバルなどのクルマにも搭載されている水平対向エンジンですが、2013年のモデルチェンジの際にエンジンサイズをコンパクト化し、クランクケース内にミッションと多版クラッチを内蔵しました。また、吸気方式を横方向から空気を取り込む“サイドドラフト”から、上から下方向へ空気を吸い込む“ダウンドラフト”へと変更し、冷却方式も同社製水平対向エンジンとして初めて水冷を採用。パッケージとしても大きく走りが磨かれたのが特徴でした。 この吸排気のレイアウトがあったからこそ、新型エンジンでは可変バルブタイミング機構を搭載することが可能となりました。“SHIFT CAM”(シフト・カム)と呼ばれるこの機構は、低速側、高速側で2種類のカム山をもった吸気側カムシャフトが、ライダーのアクセル操作や5000rpmを境に可変させる制御となっています。
その可変方式は至ってシンプルで、カムシャフトの片方のエンドを延長し、そこに可変作動用のガイドを設けます。必用に応じてピンがそのガイドの溝に入ることでカムを左右にスライドさせ、低速から高速、高速から低速側へと吸気カムを可変させるのです。
エンジン本体も低速域での走行フィーリングや燃費性能を向上するため、先代の1170?から1254?と排気量を84?アップ。ボア×ストロークも見直されています。最高出力は9%アップの136PS/7750rpm、最大トルクは14%上乗せした約15kg-m/6250rpmで、内部パーツも静音性向上のためサイレントカムチェーンを採用するなど細かな変更が行なわれました。
今回のモデルチェンジの目玉はあくまでエンジンです。外観も細かな意匠変更が加えられましたが、シャシ周りのセッティング変更もありません。電子制御デバイスでは、坂道での発進をサポートするヒルスタートコントロールを応用し、停車時に車体の傾斜を感知すると、自動でブレーキをホールドして停車を維持してくれる機能が加わっています。
■頼もしすぎて嬉しさと楽しさに包まれる、エンジンフィーリング
さあ、走り出しましょう。進化はすぐに体感できました。まずは発進時。アイドリングから僅かにスロットルを開けた2000rpm程度の領域でも豊富なトルクが車体を着実に押し出してくれます。まるで車体が軽くなったかの印象です。
そして2500rpmを目処にシフトアップ。4速にシフトしたあたりで市街地スピードを維持します。この時のトルクの余裕は1250?というより1400か1500?のエンジンに乗っているよう。振動もなくスムーズなエンジンフィーリングは、まるでハイブリッドモーターでアシストされているような自然な力感です。
この排気量ゆえ実は5000rpm以上を日常域で多く使う場面はありません。低速側カムの領域でも存分にその恩恵に浴することがわかります。むしろこの領域でのエンジン特性が頼もしすぎて嬉しさと楽しさに包まれます。試乗前日に行われた製品説明で「これまでの1200?エンジンとは別物です」と話していた開発エンジニアの自信溢れる言葉の意味がよくわかりました。
■バルブタイミングの切り替わりも極めて自然
では、もう少しアクセルを開けてみましょう。ワインディングに入ります。ギアによっては5000rpm以下でも充分な加速と、路面を掴むトラクションを得て操る楽しさを享受します。エンジン特性に豊かなトルクが上乗せになったことで、まるでバイクがコンパクトになったような一体感を感じます。ひと言、スゴイ!
ここまででも満足感が相当に高い「R1250GS」ですが、その実力は高速側のカムに切り替わる5000rpm以上でもさらに続きます。シフトダウンし、エンジン回転を高めます。5000rpmを越える時、切り換えタイミングを注意深くさぐりますが音、加速感の変化など一切解りません。
それどころか、一直線に駆け上がるエンジンの回転、それにともなって正比例するように溢れてくるトルク。アクセルを開けるのに躊躇はいりませんが、その加速感は今までの1200ccモデルとは比較になりません。もちろん「R1200GS」も相当に速かったですし、文句はありませんが……。
エンジンばかりか、旋回性も意のまま。サスペンションも従来通り、という説明でしたが、細かなアップデートでもされたのか、路面からの衝撃吸収性は抜群。今回のテスト車にはブリヂストン製の「バトラックス・アドベンチャーA41」が装着されていましたが、乗り心地、旋回性、グリップ感とも上質。
また、ブレーキのタッチ、制動力とも設定はあいかわらずライダーに忠実で、山道を切り取るのが楽しいことこのうえない「R1250GS」。もう走るのが楽しくてしかたありません。
そのイメージを描いたままオフロードへ。メッツラーの「カルー3」というダート用タイヤを履いた「HP仕様」で走ります。車体の軽さ感はここでも健在で、巨体がウソのように軽々と加速し、旋回します。
オフロードで求められる低速域でのコントロール時に扱いやすく、マイルドに取り出せる大きなトルクがモノをいいます。アクションのためにトラクションコントロールを切っても、アクセル操作に忠実なので、まったく恐くない走りを楽しめます。「R1250GS」は、じつに完成度が高い。
結論を急げば、またもや他社のライバル車たちは「GS」に強烈なカウンターパンチをくらわされたな、という印象です。現状、国内での販売時期、仕様、価格などは未定とのことですが、仕様に関しては、多くのオプションを装備するこれまでの日本仕様と同様と予想します。
来年にはこの驚きの「R1250GS」が日本を走り出すことでしょう。日本の道で試すのが楽しみでしかたありません。待ち遠しい一台です。
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