新車試乗レポート [2022.09.16 UP]
【試乗レポート マツダ CX-60】クルマ好きの期待に応える上級SUV
文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス
マツダ 新型CX-60販売開始 カラー/機種別の受注状況発表
マツダの新たな上級車モデルの幕開けを告げるミッドサイズSUV「CX-60」の発売が開始された。まずは注目の直6クリーンディーゼルエンジンとマイルドハイブリッドを組み合わせた「e-SKYACTIV D」搭載グレードを2022年9月15日より販売をスタートし、2.5Lガソリン車やクリーンディーゼル車、待望のPHEVについては、本年12月以降の販売開始となる予定だ。今回は、新型車のトップバッターとなる「e-SKYACTIV-D」の試乗レポートをお届けしよう。
初期受注は順調。人気グレードはディーゼルに集中
マツダ CX-60
先行予約を6月24日より開始したマツダの新SUV「CX-60」の出だしは好調だ。約2か月半で月販計画台数2000台の大きく上回る8726台を受注。購入希望者は、マツダ車からの乗り換えが57%と半数を超えるが、他銘柄の43%のうち20%が輸入車だというから、新たな顧客層の獲得にも繋がっているようだ。年齢層は、トップが40代の26%に、ニアピンで50代の25%となる。それ以降は30代が20%、20代以下と60代以上がそれぞれ14%だというから、幅広いユーザーが獲得できていることが分かる。パワートレインの人気は、マツダの得意分野であるクリーンディーゼルエンジンに集中。受注全体の8割にも上り、そのうちでマイルドハイブリッド「e-SKYACTIV D」が43%とトップ。発売タイミングが最も早いのも後押しにはなっていると思うが、同エンジンのグレードは全て500万円越えなのに、この人気は凄い。それだけ経済的かつエコ。そしてパワフルな走りが楽しめるSUVへの期待が高いのだろう。その注目株に試乗することが出来た。
CX-60は新開発パワートレイン搭載モデルの第1弾
マツダ CX-60
まず大きな特徴となるパワートレインだが、「e-SKYACTIV D」は、新開発の3.3L直列6気筒エンジンに、48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせたもの。現在のマツダ車は、排気量を問わず、直列4気筒エンジンに集約されてきたが、これはエンジンとトランスミッションを横置きとする前輪駆動車であるため。新ラージプラットフォームは、エンジンとトランスミッションが縦置きの後輪駆動車の構造を基本とするため、排気量の大きいマルチシリンダーエンジンの搭載が実現した。
いうまでもなくマツダのクリーンディーゼルの立役者である4気筒の「SKYACTIV D 2.2」の知見もしっかり活かされており、マツダが高性能ディーゼルエンジンの理想とした1シリンダー当たりの排気量は、いずれも0.55Lと同じ。ここに3.3Lというゾロ目の排気量の秘密があるのだ。また6気筒エンジンは、構造上バランスが良く振動が少ないにもメリット。パワフルになるだけでなく、快適性も高いエンジンが目指されているというわけなのだ。ハイブリッド機能は、マイルドなのでアシスト領域はアイドリングから低速領域までと限定的となるが、エンジン負荷の低減とエネルギー回生で燃費向上に貢献する。通常の3.3Lのクリーンディーゼルとなる「SKYACTIV-D3.3」とはスペックが異なり、最高出力が+23psの254ps、最大トルクが+50Nmの550Nmとなるのは、キャラ付けの違いによるものなのだ。そこに12ps/153Nmのモーターアシストが加わることで、同じ4WD車(サンルーフ非装着車)の比較で+2.6kmの21.1km/L(※WLTC)の低燃費を実現させている。
高効率化には、新開発の8速ATも一役買っている。ポイントは、通常のATにある動力伝達機構に、トルクコンバーターではなく、MTのようにクラッチを用いたこと。これによりトルコンによるエネルギーロスが抑えられ、よりダイレクトな変速も実現。またトランスミッションの小型にも貢献し、マイルドハイブリッドやPHEVの搭載のスペースを稼ぎ出している。
これまでのマツダデザインとテイストが異なるエクステリア
マツダ CX-60
CX-60のスタイルは、迫力満点だ。他のSUVのスタイルの表現にも使われていたが、威風堂々という言葉が頭をよぎる。肉厚なボディは頼りがいに満ちており、長いボンネットは力強いエンジンの存在を意識させる。ただこれまでの躍動感に満ちていたマツダSUVとも雰囲気が異なり、静的な印象が強い。たたずむ姿を例えるならば、まどろむ猛獣というところだろうか。その一方で、ルーフラインとガラスエリアを流麗に仕上げることで、マツダらしいスポーティさもしっかりと感じさせてくれるのは、他のマツダ車との共通する部分でもある。それはマツダらしい走りのSUVであることをアピールするアクセントなのだろう。そんなCX-60をマツダは、「ドライビングエンターテイメントSUV」と表現しているのだ。
身長を入力するだけで最適なドライビングポジションに自動調整
マツダ CX-60
ドライビングエンターテイメントSUVを感じさせる機能のひとつが、シートの自動調整機能だ。この機能は、運転席に着座し、身長を入力するだけで、システムがドライバーに最適なシートポジションを提案してくれるもの。同時に、ステアリングやミラーなども自動的に調整するというから至れり尽くせり。もちろん、最適なポジションをメモリーしておくと、次回以降は、乗車時に自動的にシートを合わせてくれる。これまでシートポジションのメモリー機能は存在したが、ドライビングポジションの提案をしてくれるものは初体験である。ドライビングポジションの重要性を知っていても、最適な位置を探ったことのある人は限定されるのではないだろうか。特に家族でクルマを共有する場合、少し位置がおかしくとも、気にせずに運転してしまうことも多いはずだ。提案されるポジションは完璧なものではないが、自身にフィットする位置の目安となる意味は大きい。この機能がドライバーの運転への姿勢や考えにも影響を与え、安全運転に貢献するのではと期待が膨らむ。他モデルにも、ぜひ展開をしていって欲しいと願う。
マツダ CX-60
大きな車体を感じさせない運転のしやすさ
マツダ CX-60
水平基調のコクピットと広いガラスエリアによる視界の良さは、全幅1890mmというサイズをしっかりとつかむことができ、ボディサイズから想像するよりも、ずっと運転はし易い。シートも包み込むようなフィット感があり、快適かつ安定した運転姿勢が保持できる。ステアリングやペダルの操作系は、重めにセッティングしてあり、ドライバーの的確な操作が行えるように仕上げられている。これだけステアリングの据わりがしっかりしていると、新東名高速道路のような長い直線が続く状況でも、車線中央維持アシストなどの機能を使わずとも疲れは少ないはずだ。
当日は、あいにくの雨模様であり、パワフルさを楽しむシーンは限定されたが、その吹け上がりの良さは、さすが直6と嬉しくなる。今回、エンジンのパワフルさをより実感できたのは、高速よりもワインディングだった。強力なトルクで、上り坂でも、1.9tあるボディを軽々と加速させてくれる。これだけパワフルならば、レジャーで、キャンピングトレーラーなどのけん引を行いたい人たちも満足させることが出来るだろう。クラッチを用いた8速ATは、強く加速時にリズミカルなビートを刻み、変速をしてくれる。その感覚は、通常のトルコンATにはないスポーティな味わいだ。もちろん、通常の走行時、滑らかな変速が特徴のトルコンとの違いはあるが、特に違いを感じさせることはないだろう。
マイルドハイブリッドの存在も気になるシーンはなく、存在を意識するのは、エンジンと切り離され、エネルギー回生を行うシーンのみ。ただそれも車内で音楽を楽しんでいれば、ほとんど気が付かないだろう。そのくらい自然に制御され、まさに燃費向上の縁の下の力持ちとなっている。
まとめ
マツダ CX-60
CX-60は、単なる上級SUVではなく、クルマ好きや運転好きの期待に応えるマツダ流の味わいのあるSUVを目指していると感じだ。その落ち着き有るビジュアルからは、王道的な上級SUVのキャラクターを連想させるが、そのイメージとリンクするのは、ドライバー以外の快適な移動を楽しむ乗員だ。ドライバーにとっては、紛れもないドライバーズカーであろうとする。だから走りのキャラクターは、SUV的というよりも4ドアクーペ的と言った方が良いかもしれない。もちろん、重量級マシンであるため、ロードスターのようなナチュラルな対話ではないが、インフォメーションの良いクルマである。強いて言えば、ちょっと操作系や足回りがハードな味付けに思えること。その点は好みが分かれるだろうから、できれば試乗をおススメしたい。もちろん、馬が合えば、新たなSUVの世界を楽しませてくれるだろう。まだ今回はマイルドハイブリッド「e-SKYACTIV D」に試乗したのみ。プレーンなクリーンディーゼル「SKYACTIV-D3.3」やパワフルなPHEV、そしてラージプラットフォームで最も軽量なガソリン車も用意される。それぞれの走りの個性についても、出来るだけ早く皆さんにお伝えしたい思う。
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みんなのコメント
トヨタに金落とす人に気がしれない。
営業に馬鹿にされリコールまみれの車種を買い
車検では手を抜かれ、庶民からかき集めた金は朝鮮へ、、、、
数は出ないんだよね。
いいワインの味は庶民にはわからないのと同じで
いい物が売れるわけじゃないって言うのがなんとも残念。
庶民向けのワインばかり種類増えても困るんだよね。