2022年1月13日に発売となった、トヨタ新型「ノア/ヴォクシー」。順調な売れ行きとなっているようだ。
ノア/ヴォクシーは、先代モデルまではトヨタが商品開発を行い、トヨタ車体が車両製造を担当してきたが、今回の新型では、商品開発から車両製造まで、トヨタ車体が担ったという。
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実は今回の新型ノア/ヴォクシーには、トヨタ車体だからこそできた、数々のアイディア装備が織り込まれている。エクステリアに目がいきがちな新型ノア/ヴォクシーだが、今回はトヨタ車体の工夫の結晶である新型ノア/ヴォクシーの便利装備の数々に注目し、その魅力をご紹介していこう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、ベストカーWEB編集部/撮影:中里慎一郎
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「あればいいな」を廉価で実現した「フリーストップバックドア」
ミニバンのバックドアは大きいため、開ける際にスペースが必要。後方にクルマや壁などがある場所では、荷物の乗せ降ろしに気を使うことがある。電動テールゲートであれば、任意の位置で止めることも可能だが、電動テールゲートは重量が増えてしまう(燃費が悪化する)上に、コストがかかるため上級グレードの装備となることが多い。
今回、新型ノア/ヴォクシーに装備された「フリーストップバックドア」は、ワンプッシュで、バックドアを任意の位置で保持することが可能。電動バックドア付き以外の全グレードに標準装備となる。開度調整機構によって、バックドアの開きと共に伸びていくヒモが、途中で引っ掛かるようになっているという簡単なカラクリだ。使いたくなければ、紐を外せばOK。
「あればいいな」というアイディアを廉価で実現し、標準装備にまでできたエンジニアリング力は凄い、の一言だ。
高価な電動格納式もう不要!! 低コストで実現した「ユニバーサルステップ」
高さのあるミニバンの後席に乗り込むのは、小さな子供やお年寄りには辛いもの。その対策として、これまでは電動格納式ステップが用意されることが多かったが、モーターや制御装置を使用するために高価な装備であることから、ノア/ヴォクシーのような200万円台から売るミドルクラスミニバンでは、設定すらされていなかった。
今回新型ノア/ヴォクシーに装備された「ユニバーサルステップ」は、スライドドアの開きと連動して飛び出す構造。モーターを使用していないので、3万円(税抜)という低コストで実現できた。僅かな隙間に格納されるよう、厚みを薄くしながらも、強度を確保しないとならず、また動作もスムーズに動くよう、試行錯誤して開発したという。
セカンドシートに乗り降りするときに掴む手すりも、「ロングアシストグリップ」も、子供の背の高さで使いやすい位置で、子供の手の握りにちょうど良い太さに調節されている。こうした改良も素晴らしい。
スライドドアの開きと連動して飛び出す仕組みとしたユニバーサルステップ。モーターを使用していないので、3万円(税抜)という低コストで実現できたそうだ
2列目前後スライドが超簡単に!! 「ストレート超ロングスライドシート」
ミドルクラスミニバンの魅力のひとつは、華麗なシートアレンジだろう。2列目シート、そして3列目シートがどう動くか、そしてどのように格納するのかは、注目されるポイントだ。
先代ノア/ヴォクシーでは2列目を前後にスライドさせようとすると、後輪のホイールハウスと2列目シートが干渉するため、一度、2列目シートを横にずらしてから、前後へスライドさせる必要があり、そのスライド操作(横にずらしてから前後に動かす)はシートアレンジに慣れていない方にとっては難しく、使われないことも多かったようだ。また、スライドさせる際にはセンターアームレストを畳む必要があるなど、手間もかかっていた。
そこで今回は、2列目シートのスライドを、前後方向のみに可動するよう改良している。2列目シートバックの骨格構造で出っ張っていたリクライニング機構の配置を変更し、後輪のホイールハウスとのクリアランスをギリギリまで攻めたことで、「超ロングスライド」が実現。サイドテーブルを展開していても、スライド量745mmのロングスライドができるのは驚かされた。
自由度をあえて減らして操作を簡単にしたことで、だれでもカンタンに作動できるようになったことは、2列目シートアレンジの一つの革命といってもよいのではないだろうか。
2列目シートバックの骨格を修正し、出っ張っていたリクライニング機構の配置を変更。干渉することなく、スライド量745mmのロングスライドを実現している
跳ね上げ格納の最終形態!! 「3列目ワンタッチ跳ね上げシート」
3列目シートの格納方法にも驚かされた。先代では固定用のフックを止める必要があった3列目シートの格納だが、今回の新型では、ロックを解除すると、軽い力で跳ね上がり、片手で固定までできる。この3列目ワンタッチホールドシートの出来は、跳ね上げタイプの「最終形態」といってよいだろう。
3列目を床下収納できるタイプ(ホンダステップワゴンは床下収納)も良さはあるのだが、荷室下の広大な収納スペースが残せるので、跳ね上げ式も便利と感じる。また、補器バッテリーをエンジンルーム内に移動したことで、ハイブリッド車でも収納スペースが丸空きのまま、というのは非常に嬉しいところだ。
ロックを解除すると、軽い力で跳ね上がり、固定までできる。先代では固定用のフックを止める必要があった
長年製造を担当してきたことで、アイディアの蓄えがあった
エクステリアデザインに注目が集まる新型ノア/ヴォクシーだが、今回ご紹介したように、細かな改良が多く施されている。しかも、どれも「廉価」で実現してみせているという、ユーザー視点に立ったアイテムばかりだ。どうしてこれほどのアイディアを実現できたのか、その秘訣について、歴代ノア/ヴォクシーの開発を担当してきたチーフエンジニアであるトヨタ車体開発本部長の水澗英紀氏に訊ねた。
「新型ノア/ヴォクシーに新規搭載されるさまざまな技術を、比較的廉価に実現することができたのは、開発プロジェクト全体を(この新型以降)トヨタ本体からトヨタ車体へと移管されたことが大きいと考えています。(トヨタの基幹車種といえる量販車種のチーフエンジニアがトヨタ車体所属であることも、開発プロジェクト全体がトヨタ車体であることも極めて異例)
「これは失敗は出来ない」という、いい緊張感が開発チーム全員に漂っていた気がするのと、長年バンやワゴン、1BOX車を製造してきた経験が生きたなと。トヨタ車体が蓄えていた技術やアイディアを投入できる絶好の機会が訪れた、ということがあったのだと思います。」とのことだった。
現場で実物と向き合ってきたエンジニアたちの知見が、存分に織り込まれた新型ノア・ヴォクシー。こうした中身の進化は、手に取ったお客様に長きにわたって満足感を与え、それはトヨタへの信頼感へと繋がっていく。やはり、トヨタはすごい。
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みんなのコメント
オプションパーツが高過ぎ
先代同士の乗り比べでは、明らかにステップワゴンの方が気持ちよかった。ノア、ヴォクは、悪くはないけど、無機質な感じだったなぁ。
デザインで言うと、新型ステップワゴンのは、特段カッコいいとは思わないけど、ヴォクシーは、顔に違和感があるので、好きにはなれない。
先代が出たときは、キレイな顔立ちだと思ったのに、新型は残念・・