■ちっちゃくて安価、それでも立派な実用車
純エンジン車が公道を走れなくなる前に──というのはいささか気が早すぎると思うが、実際問題として、筆者のような中高年の身体がうまく動かなくなる前に乗っておきたいクルマ……というのはいくつかあるものだ。
【画像】機能美が魅せる個性「クラシックミニ」を見る(12枚)
筆者にとってその筆頭格のひとつがクラシックミニ、というか「元祖ミニ」である。
賢明なるVAGUE読者諸兄には今さら過剰な説明は不要と思われる、世界的名作だ。
1956年のスエズ動乱をきっかけとする石油価格の超絶高騰を受け、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が掲げた「人々には粗末なバブルカー(2人から3人乗りのマイクロカー)ではなく、ちゃんとした大衆実用車に乗ってもらいたい」との崇高な理念に基づき、アレック・イシゴニス率いるチームが開発した革命的小型FF車。それが、今日では「クラシックミニ」と呼ばれることが多い、BMW製ではないほうのミニである。
あくまで英国および欧州の大衆が日常的に、そして実用的に使うことを主眼に開発された元祖ミニではあるが、その車体の動きは「青春」そのものだ。俊敏で、快活で、躍動的。そんな「若者の肉体」から生まれるムーブまたはフィールとほぼ同じものを、元祖ミニのドライバーは味わうことができる。
だからこそ元祖ミニは──もちろんその類まれなるデザインの良さもあってだが──2021年の今日も「名車」として世界中のカーガイから愛されているのだ。
とはいえミニはきわめて小さなクルマであり、また小さなクルマであるがゆえにノイズとバイブレーションおよびハーシュネス(車体が凸凹を通過する際の衝撃と振動)は相当なモノだ。
それゆえ、年をとってくると──もちろん70歳になっても75歳になっても運転できなくはないだろうが、ミニを積極的に「ぜひ運転したい」とは思えなくなってくるはず。単純にきわめて小さなクルマに「よっこいしょ」といいながら身体を折り曲げつつ乗り込むのはキツイだろう。
だからこそ、まだある程度元気なうちに、身体がまあまあ動くうちに、そしてけっこう暑苦しいビートとオーラを発するクラシックミニというクルマに対抗できるだけの「元気」があるうちに、それに乗っておきたいのである。
筆者は今50代の前半ゆえ、今のところミニが持つ潜在的なパワーに対抗できるだけの元気および身体機能を有しているとは思っている。だが10年後は、ハッキリいって自信がない。乗るなら……たぶん「今」なのだ。
■個性的な見た目で中古価格は上昇中
しかしながら、そんなクラシックミニの中古車相場はこのところ高騰している。
いや、相変わらず車両価格40万円とか50万円ぐらいの個体も流通してはいるが、それは基本的にはボロボロの「ベース車両」であり、購入後のメンテナンス(というかもはやレストアに近い何か)を前提としているものだ。
「買ってそのまま普通に乗れる」といった類のコンディションの物件は、理想をいえば車両価格250万円以上、やや甘く見積もったとしても150万円以上の予算が必要となるのが、昨今のクラシックミニの相場事情である。
10年ほど前までは、フタケタ万円の予算でもまあまあいい感じの物件を買うことができ、100万円以上も出せば「かなりいい感じのモノ」が探せただけに、「クラシックミニに250万円」というのは、正直抵抗を感じなくもない。
しかし覆水盆に返らずではないが、終わったこと(過去の中古車相場)をいつまでもくだくだと気にしていても、物事は何も始まらない。
昔のことはスッパリ忘れ、「クラシックミニというある種の世界遺産が200万円台で買えるなんて嬉しいじゃないか! だって、たとえば初代BMW『M3』を今から買おうと思ったら1000万円以上はするし、シトロエン『2CV』だって今や200万円以上が相場なんだからね!」と、やせ我慢をしながら明日を見つめるのが、われわれ大人がとるべき所作であるはずなのだ。
ちなみに、ここでいっていることはすべて「ローバー製のクラシックミニ」を念頭に置いている。初期の「オースチン ミニ」や「モーリス ミニ」の昨今の相場は200万円台どころではなく、400万円以上あるいは600万円以上となるのが一般的だ。なかには1200万円のプライスタグが付いている1960年代の「モーリス ミニ トラベラー」もある。
まぁそういったリアルクラシックの方面に進みたいディープなマニア諸氏はそれでいいとして、筆者のごとき「クルマは好きだけど、決してディープなマニアではない」といった人物であれば、ローバーブランドの後期クラシックミニで十分である。「青春そのもの」としかいいようがない素晴らしい身のこなしと存在感は、ローバーのミニであっても十分に、というか十分以上に、味わうことができるのだ。
いずれにせよ、わが肉体と精神がクラシックミニというクルマが持つ“パワー”に対抗可能なうちに、手に入れねばならないとは思っている。
そしてその残り時間は──中高年諸氏にとっては「ガソリンエンジン車に乗れなくなるまでの時間」よりも、おそらくは短い場合が多いはずだ。
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みんなのコメント
しかし、乗れば分かる。めちゃめちゃ面白い車だから。あのダイレクト感クィック感…好きな人はハマると思う。
色んな車を乗り継いでるけど、もう一度乗りたいと思わせる貴重な車。
あと、カメラを趣味でしているけど、これだけ被写体として完成された車ってなかなかないよ。大抵絵になる(笑)
可愛くてカッコイイだけで選ぶと後悔するかも
基本、50~60年代のクルマなのでパワステは付いてませんから操舵するには少しでも車を動かさないととてもステアリングは回りません。乗り心地はのべつ幕なしピョンピョン跳ねる、オイル管理はシビアで忘れるとすぐ機嫌を損ねます。