■かつて一般的だった「車載工具」は装備されなくなっている
クルマのラゲッジルームの中などには車載工具というものが収納されています。
しかし、具体的にどのような工具が装備されているかを見たことがないという人もいるかもしれません。どのような工具があり、どのような時に使うのでしょうか。
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ラゲッジルームの中などに、スペアタイヤなどと一緒に車載工具として、ドライバー、ペンチ、スパナやレンチなど複数の工具が袋にまとめられ、標準装備されていました。
これにより、ユーザー自身でもライト類の球切れやパンク時のタイヤ交換といった、軽整備や応急的な作業ができるようになっています。
具体的な内容としては、上記のような工具に加え、輪止めや牽引フック、ホイールにセンターキャップが装着されるモデルでは、専用のレンチが入っています。
欧州車の一部は、プラグレンチや六角レンチなどが備わっている場合もあり、消耗品や定期交換部品などが脱着できるようになっています。
しかし、現在はドライバーやスパナなどの工具が装備されていないクルマも多くなってきています。
その理由として、クルマ自体がメンテナンスフリー化したことで、ユーザーによる整備が必要なくなったことが挙げられます。
また、そもそもクルマの性能が上がったり構造が複雑になったりしたことで、専門的な知識を持たない一般ユーザーが簡単に触れるものではなくなったという点も、工具が不要になった理由のひとつです。
特に、ハイブリッドシステムを搭載するモデルは、エンジンや補機(エンジンに付随する機構)などに高電圧のケーブルが配されるなど、一般ユーザーが作業すると危険が伴う場合があります。
さらに、以前は標準装備されていたスペアタイヤも軽量化や省資源化の観点から、代わりに応急修理キットが装備されるようになったことも理由として挙げられ、タイヤ交換の際にクルマを持ち上げるジャッキやナットを緩締するレンチが不要になりました。
例えばトヨタ「シエンタ」は、タイヤを固定する輪留め、ホイールナットレンチ、ジャッキ、ジャッキハンドルなどタイヤ交換に必要な工具が搭載されていないといいます。
このように、新車販売時点でそもそも搭載されていない車種も増えていますが、車載工具は装備義務がないため、クルマに載っていなくても違反になることはありません。
特に整備や点検などメンテナンスをディーラーや修理工場などに依頼する人であれば、車載工具を使う機会もほとんどないと考えられます。
もし車載工具をクルマに載せておきたいという人は、必要に応じてディーラーなどに依頼すれば車載工具セットを購入できるほか、ホームセンターなどで必要な工具をそろえるのも良いかもしれません。
ただし、自宅に置いている工具をそのまま載せるのはやめましょう。
ハサミやカッターナイフなどの刃物やマイナスドライバーを車内にそのまま無造作に放置したりすると、警察の取り締まりを受ける可能性があるためです。
例えば、刃が一定の長さを超えるハサミやカッターナイフなどを理由もなく携行することは、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法違反)によって禁止されています。
ほかにも、マイナスドライバーやバール、ドリルなどは特定侵入工具とされ、大きさによっては特殊開錠用具所持禁止法、いわゆる「ピッキング防止法」に抵触することになります。
車載工具は必要なものだけを選び、袋やケースにまとめてラゲッジスペースなど適切な場所に保管することが大切です。
※ ※ ※
近年はクルマの性能が上がって構造が複雑化したことでユーザーが簡単に整備できなくなったことから、車載工具が装備されないクルマも増えています。
自分のクルマに車載工具が装備されているかどうかを見たことがないという人は、一度確認してみるのも良いでしょう。
しかし、実際に使う機会はあまり多くないと考えられるため、自分で積極的にクルマの整備や点検を行う人以外は、車載工具がなくてもあえて買いそろえる必要はないと言えます。
万が一のためにそろえておきたいという人は、法に抵触しないようにまとめておきましょう。
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パンク修理キット積んでいても、使えるようなこと一度もない