車の最新技術 [2023.04.24 UP]
【トヨタ bZ4X】ユーザーの声を反映したアップデートを無償で実施【石井昌道】
文●石井昌道 写真●トヨタ、石井昌道
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bZ4Xが発売から約1年のタイミングでソフトウエアのアップデートを行うことになった。ユーザーからの声を反映したもので、これから販売する車両が最新仕様になるのはもちろんのこと、すでに納車されている車両にも無償でアップデートを施す。
ユーザーからの声を反映した無償アップデートを実施したbZ4X
ユーザーからの指摘、問い合わせで多かったのは3点で、1.急速充電に関する件(1日あたりの急速充電回数/SOC80-100%までの充電時間の長さ)、2.メーター上の航続距離(メーターで残航続距離0kmになるタイミングが早い)、3.メーター表示(充電容量表示のわかりづらさ/エアコン使用時における航続距離の大幅減少)となっていて、これらに対する改善に取り組んだ。
急速充電に関しては、バッテリー劣化が早まらないようトヨタではマージンを大きくとっていた。具体的には出力150kWの急速充電器でSOC10から80%まで充電する回数を1日あたり2回程度に制限していたところ、2倍に増やしたという。これに関しては出力150kWの急速充電器がそもそも少なく、1日に4回も充電することは稀なので、実用上の問題はなくなりそうだ。またSOC80%以上での充電時間を約20~30分短縮した。
メーター上の航続距離は、直近の電費、バッテリー残量、エアコン損失係数などから割り出して表示しているが、これまではゆとりをもった早めの充電を促すべく航続距離0kmになるタイミングを早めにしていた。ところがこれがユーザーからは不評。たとえば、航続距離が50kmと表示されているから、40km先の充電ポイントまでは大丈夫だろうと走らせていたのに、たどり着く前に0kmになってしまって大いに不安になった、などのシチュエーションがあった。0km表示になるタイミングを少し遅らせれることで対応している。
画面右下にバッテリー残量が「%」表示されるように改良された
メーター表示はバッテリー残量を新たに%表示するようになった。これまではエンジン車の燃料計と同様に、バーグラフ状の表示だけだったが、残量および航続可能距離が気になるBEVではやはり不評。おそらく市販BEVで%表示がないのは bZ4X/ソルテラぐらいだった。自分が担当している当サイトの連載、EVテストでも%表示がないことは、かなりわかりづらいと指摘させていただいが、ようやく改善されたというわけだ。
もう1つは、エアコンのON/OFFで航続可能距離が変わることで、それ自体は他のBEVでもあるが、bZ4Xのそれは差が大きすぎるという指摘があり、より実態に合わせた表示にしたという。
バッテリーの劣化を抑制すること、早めの充電を促すこと、航続可能距離を辛めに示すことなど、いずれも初めての本格普及BEVを送り出すにあたって石橋を叩いて渡るかのごとく、マージンを大きめにとりすぎていた傾向があり、それが実態に即さず、改善を施したということだ。
bZ4X
ところで、EVテストでbZ4X 4WD/ソルテラ4WDを取り上げたときに、急速充電が思うように電気が入らなかったことがある。ソルテラ4WDのほうを外気温7℃で航続可能距離168kmという状況で海老名サービスエリア上りの出力90kWの急速充電器を30分しようしたが、充電されたのは23.6kWh(平均出力47.2kW)に過ぎず物足りなかった。単純計算ならば45kWhが入る出力で、これまで2年間のEVテストでの実績ではアウディRS e-tron GTが39.2kWhが充電できた(平均出力78.4kW)。
バッテリーが低温のときは電流が流れにくく、大電流ではバッテリーが傷んでしまうので、急速充電を抑制するのは致し方ないが、トヨタのホームページでBEV実用情報を確認すると、出力90kWの急速充電器を使った場合、外気温10~30℃のときに比べて外気温0℃では20%程度、外気温-10℃では45%程度は充電量が減るとあった。アウディRS e-tronGTの39.2kWhという実績に対して23.6kWhは約40%減なので、外気温7℃でも-10℃付近の判定になっていたと推測できる。
ちなみに、同時にテストしていたbZ4X 4WDは同じタイミングで出力40kWの急速充電器を30分使用して17.9kWhを充電(平均出力35.8kW)できたので順調だった。また、別の日に外気温15℃のなかで、bZ4X FWDを同じく海老名サービスエリア上りの出力90kWの急速充電器を30分使用したところ、34.7kWhが充電された(平均出力69.4kW)。これも比較的に順調だった。
外気温に影響されることが多く、けっこう差が出てしまうのだが、今回のアップデートで何らかの変更はない。充電時のサーマルマネージメントを緻密にするなど、今後の改良にも期待したいところだ。
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