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ハンドリングと実用性の融合 G20型 BMW 330d Mスポーツ・ツーリング 試乗

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ハンドリングと実用性の融合 G20型 BMW 330d Mスポーツ・ツーリング 試乗

3シリーズ・ツーリングという高いハードル

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)BMW 3シリーズを上回るステーションワゴンを生み出すことは難しい。長距離移動も優雅にこなす走りと、ドライバーが得られる高い満足感、快適性や大きなラゲッジスペース。1987年以来、ライバルモデルは、これらすべてを兼ね備える必要がでてしまった。

【画像】G20型 サルーンとツーリング 全53枚

欧州の場合、4ドアサルーンではないBMW製ツーリングは、中流階級にとってのステータスシンボルでもある。過度にならない程度に目を引くアピアランスだけでなく、それに見合う内面も必要となる。ランボルギーニのようなパフォーマンスは必要ないが、か細い加速では物足りない。今の時流に合わせて、燃料をがぶ飲みするようなエンジンも望まれていない。

前置きが長くなったが、5代目となるG20型3シリーズのツーリングが登場した。先代はすでに、充分以上に優れたオールラウンダーとして、広く認知されていたと思う。G20型のエンジン・ラインナップは、150psを発生する4気筒ディーゼルエンジンを搭載した318dから、ツインターボで過給される374psの直列6気筒を搭載する4輪駆動のM340i xドライブまで、幅広い。

BMWがM3ツーリングを生み出す可能性は、i3のモデルチェンジ以上に可能性は少なさそうだ。でもアルピナからB3ツーリングがラインナップされるだろうから、ある程度の需要は満たせるだろう。そのかわりに、プラグイン・ハイブリッドモデルが登場する。65kmほどの距離をEVとして走行が可能だという。

ハンドリングとパフォーマンスはそのままに

ラインナップの中でもたくましいエンジンには、4輪駆動に8速ATが組み合わされるが、中間グレードなら3ペダルのFRも選択は可能。特に320dの人気は高くなるはず。ツーリングの場合は実用性にも抜かりはなく、オプションとして滑りにくいラバー製の荷室カバーも装備できる。リアシートは40:20:40の2分割が可能で、電動で倒せるようになった。

加えて、テールゲートに固定されたリアガラスは単独で開閉することも可能になっている。BMWが最近可能にしたこの便利な機能を、知らない人もまだ多いようだ。

どのグレードを選んでも3シリーズ・ツーリングの満足感は高いだろう。以前のロードテストでは、われわれは新しいG20型3シリーズ・サルーンの備える望外に良いハンドリングとパフォーマンス、質実な内容に最高得点を与えている。そこへツーリング・ボディが、僅かなダイナミクス性能の低下と引き換えに、大きなラゲッジスペースを上乗せしてくれる。リアシートを倒せば、同クラスでも上位につける1510Lの容量が付いてくる。

サルーンとのボディ構造の変化に伴い車重も増えているが、ステアリングフィールにも違いが現れている。BMWはフロントサスペンションのブッシュを意図的に柔らかいものを選択した。ノーズの動きをやや穏やかにすることで、マスの増えたリアの安定性が悪化することを防ぐためだ。

車重が増えたぶん、タイヤへの負担も増加

だが、アンチロールバーは硬めのものが組み合わされ、若干マイルドになった挙動の印象は悪くない。サルーンほどではないものの、330dは充分にクイックに、コーナーの連続するような道でも容易に駆け抜けてくれる。

今回の試乗車は、英国では標準装備となるアダプティブMスポーツ・サスペンションと、19インチのホイールという組み合わせではなかった。18インチ・ホイールを履いていたわけだが、結果としてタイヤの柔軟性とボディコントロール性とのバランスが引き立つセットアップになっていた。

ピレリ・チンチュラートP7というタイヤは、わたしなら交換するかもしれない。直進性も良く静かなのだが、330dほど速く甘美なハンドリングを備えたエステートには、グリップ力が足りていない印象だった。

その理由は、特に大きくなったボディにある。全長も全幅も全高も先代より大きくなっており、高速走行時のドライブフィールは、期待するほどに直感的なものではなくなっている。事実、E39型の5シリーズツーリングよりも全幅は大きくなっているほど。

といっても3シリーズ・ツーリングは極めて好印象なことに変わりはない。2993ccのディーゼルエンジンはアウトバーンの追い越し車線でもスムーズで平静。200km/h以上の速度域へと難なく加速させ、車内では日常会話が楽しめるほどにノイズが少ない点も美点だ。

満タン時の航続距離は1150km以上

フロントガラスの取り付け構造が良くなったことに加えて、Aピラー内には発泡フォームが充填され、アンダーボディが密閉構造になったことが効いているのだろう。走行時の洗練性を大きく改善している。目隠しをして乗っていると、ワンランク上の5シリーズかのようにも感じられる上質さがある。ただし、リアシートは快適ながら、乗り心地の面でやや角の立つところがあるようだった。

BMW 330dの燃料タンクは59Lの大きさがあり、燃費換算で高速走行時の航続距離は1150kmを超えることになる。さらに燃費で勝る320dなら、その距離は実に1300km以上となり、計算上は英国のロンドンからフランスのル・マンまでを往復できる。

突き詰めれば、ツーリングよりもサルーンの方が、パフォーマンスの面では優れていることには違いない。より正確で機敏な身のこなしの差異には、敏感なドライバーなら出発して一番初めのコーナーを曲がっただけで気づくだろう。だとしても3シリーズ・ツーリングの持つ訴求力は相当に高い。

わたしとしては、330dほどの圧倒的なパフォーマンスは必ずしも必要だとは思わない。秀逸なハンドリングを備えつつも、サルーン以上のラゲッジスペースも必要だと考えるドライバーには、BMW 3シリーズ・ツーリングは、検討リストの上位に入っておかしくないはずだ。

BMW 330d xドライブ Mスポーツ・ツーリングのスペック

価格:4万3065ポンド(559万円)
全長:4710mm
全幅:1830mm
全高:1470mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:17.8-18.5km/L
CO2排出量:140-146g/km
乾燥重量:1745kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツインターボ
使用燃料:軽油
最高出力:264ps/4000rpm
最大トルク:59.0kg-m/1750-2750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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