よりスポーツ走行に主眼を置いたサーキット仕様車
2024年2月10~12日にインテックス大阪で開催され、21万人を超えるクルマ好きで賑わった「大阪オートメッセ(OAM)2024」。王道の国産車に負けじと輸入車のカスタムカーも会場を彩るなか、大阪のプロショップ「トライアル」ブースは2台のアバルト「595」を展示しました。そのサーキット仕様車について詳しく見ていきます。
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ストリートでも十分に恩恵があると好評
ひとつはお馴染みHKSが欧州車に向けたブランドとして立ち上げた「VIITS」(ビーツ)のパーツで、乗り手や走行ステージを選ばないオールマイティなストリート仕様に仕上げたデモカーだ。トライアルが製作したのは、一般道も視野に入れつつ、よりスポーツ走行に主眼を置いたサーキット仕様となる。
パワー系はHKSのエキゾーストシステムとブーストコントローラー、そして入念にセッティングを重ねたオリジナルECUが主軸。正確なパワーやトルクこそ未計測だがブーストは1.6~1.7kgf/cm2にアップさせ、低速トルクの向上とブーストの立ち上がり特性を改善した味付けだという。
サーキットでのタイムや扱いやすさに影響するのは当然として、試乗したユーザーからは「ストリートでも十分に恩恵がある」と好評。高められたパワーを受け止めて路面へ伝えるサスペンションは、サーキットでの速さと楽しさを追求したHKSの「VIITS-R」(ビーツアール)だ。オーソドックスな「VIITS」のスプリングが前後とも5kg/cm2なのに対し、前16kg/cm2&後9.5kg/cm2と引き締められたハイグリップタイヤとの相性もいい。
上質な乗り味を損なわないマシンメイク
減衰力30段調整式/全長調整式/ピロアッパーマウントといったスペックは両モデル共通だが、サーキット仕様車は「VIITS-R」の専用スプリングLVSやキャスター調整などの機能でさらなる走行性能を追求している。またトラクションを稼ぐためOS技研のスーパーロックLSDを装着し、コーナー立ち上がりで車体をグイグイ前へ引っ張るようにセットアップ。足まわりはトーヨータイヤのモータースポーツ用ラジアルタイヤ「プロクセスR888R」をセレクトし、今後サーキットでテストを重ねつつ足まわりをさらに煮詰める予定とのことだ。
室内は左右のシートをフルバケット式に交換。運転席はレカロの最高峰「プロレーサーRMS2600A」で、助手席はスタンダードな「RS-GS」と使い分けている。デモカーといってもワンオフや特別な加工は一切なく、誰でも手に入れられる市販パーツだけを組み合わせた、上質な乗り味を損なわないマシンメイクの巧みさは、老舗チューニングショップならではの手腕だろう。
ちなみにターゲットとしている岡山国際サーキットでは現時点で1分54秒台、ただしこれはサスペンションが通常のビーツだったときのタイムだ。「VIITS-R」と「プロクセスR888R」の投入によって、どれだけの進化を遂げるのか続報を待ちたい。
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